13話 つつき癖
悠の短距離と、優妃の長距離とは当然一緒に走るわけでなく、ましてや男女は別でした。
悠はグラウンドに意気揚々を、隠しながら踏み入れてから、並ぶ銀杏の木を見ていたらそれを諭されてしまった。
「あぶなかった。」
ハードルを持ってくる後輩たちの物音が聞こえてきた。
立ち尽くしながらウトウトしていた。トラックを示す紐の直線を利用してスタートとゴールに線を引く彼らを見ながら、ストップウォッチを取りに行った。
朝は快晴だったのに、弁当を食べ終わり準備を始めたころにはどんより曇ってきたから、へんにぼーっとする。
職員室の勝手口からすぐ手が届くところに、ボール紙でできた箱があり、確定事項のように三つ無造作に置かれている。黄色いストップウォッチ。
本当は五つあり、陸上部は3つ使える。短、長、ハードル。
ギリギリの数だ。
隣に置かれている、ビビッドな花の写真のカレンダーを見て悠は、こういう時、花の妖精は何をしているのだあろうと変な感傷に浸った。
その数秒後のこと。
ー#####ガララララララ#####ー
勝手口が元気に開き、覚えのある柔軟剤の匂いが微かにして目が覚めた。
「メメ。」
メメは丸い目でまっすぐ悠を射抜いてから
「優妃って呼んでよ。みんなに説明するの面倒なんだから、さっ!」
と語気を強めて悠の腹をつついて笑った。




