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12話  学校まで近くて遠い

芽吹く命の多さは愛で、時折吹く風も心なしか感情的に温かい。


そんな予感の中でいったり来たりで高二になって、優妃も陸部に入った。

そんなことを嚙みしめていると、緑のフェンスを背景に桜が喋り出してしまった。


そんなことも忘れ、寝ぼけ(まなこ)に登校していると、後ろから声がした。


「おはよっ。」

 優妃は後ろから飛び出しながら悠に挨拶をした。


 悠が返す間も与えず、彼女は軽い荷物で走って行ってしまった。

「はよ…。」



 そんなに走ると、ぶつかるぞ。…と老婆心がいつもわくのだが、いつも石垣が見えてくると減速してゆき、歩いて曲がるのでホッとする。


 そして優妃にまるで見透かされている気持ちになる。


 学校までの道のりは短いようで少し過酷だ。


 二人の家に挟まれたまっすぐ長い一本道が30mほどで、突き当りにT字路のように国道に出る。

この際、一本道の終わりに背丈以上に大きなコンクリートの石垣があり、左右の見晴らしが悪い。


 向こう側には海が見え、その海風は石垣の上のバブリーハウスが受け止めている。


こちらの路地の近所づきあいはないし、おそらく別荘か空き物件。馴染んでいるが、よく考えれば異質 だ。


 灰色の石垣門を右に曲がると、しばらくしてあし高校前バス停がある。


徒歩だとここからダンジョンに挑むような気持で膝を酷使しないといけない。


ここから先の長い坂道は、コンクリートの山道である。


 300歩ほど歩いて、グラウンドを無視して正面玄関に行くと、無事授業が受けられることと相成るのです。


はい。



でも今日は土曜日。早々に授業は終わっていわゆる半ドン。今がゆとりなのかそうでないのかはっきりしてほしいとか、もやもやしながら視界もモヤモヤしていた。


そして、優妃と走れると勝手に思い込んで、気が浮かれていた。





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