平和ボケ
夜。
19時。
東京。
康介自宅。
康介と染衣と若い女一人。
若い女は康介の服で普段着姿。
康介「(どうしてこうなった)・・」
染衣「どういう事か説明して康ちゃん」
???「康ちゃん私だけって言ったじゃない!」
染衣「な!?・・なんですって!?・・どういう事!康ちゃん!」〈バン〉 机を叩く。
康介「いや・・この子は・・その・・かくまってるっていうか・・悪い人達に追われてて・・偶然知り合って・・ね?」
???「酷い!!あんな事までしたのに!」 泣き真似。
染衣「あんな事お?どんな事よ!?」
康介「いやいや何もしてないよ!」
???「あの一夜は何だったの!?」
染衣「一夜あ!?」
康介「いやいや、確かに昨日一晩泊めたけど・・俺何もしてないって」
染衣「一晩泊めたあ!?」
康介「うう・・まあ・・はい」
???「私、あんなの初めてだったのに・・」
染衣「・・」 見比べる。
???「もう・・私・・康ちゃん抜きな人生なんて考えられないいいい」 泣き真似。
康介「・・」 染衣を困った顔で見る。
染衣「最初から説明して!何で貴方の家に、・・家で、この子が裸エプロンで料理作ってたのかをね!」
康介「・・はあ・・」
遡る時間。
昨日。
朝。
電車に向かう康介。
もう少しで駅に着くという所で、追われている若い女を見る。
いつもならば放っておく康介。
しかし、その女は裏路地を使い、上手く逃げて来た。
ヤクザ達の怒号が響く。
どうやら捕まっては終わりの雰囲気。
そこに丁度、康介が女と目が合った。
???「あんた助けて!お願い!私捕まったら殺されるう!お願いいい!」
康介「はあ・・こっち」 路地の隙間、壁と、トタンとの間に案内。
一緒に入った。
ヤクザ1「ああ?消えたぞおい!どこ行った!?」
ヤクザ2「まじか!あの糞アマ!逃げ足速ええ」
ヤクザ3「どうでもいいから早く見つけろ!あの女は余計な事知っちまってるんだよ!早く消さねえと・・お前ら・・分かってんな?・・俺達もただじゃ済まねえぞ」
ヤクザ4「俺コッチ」
ヤクザ1「んじゃコッチ」
ヤクザ3「はあ・・糞!」
それぞれ散った。
康介「・・」〈あと1時間はここにいます〉 メール文字を女に見せる。
女「・・」 首を振る。
康介「 ? 」
女「(トイレ)」 口パク。
康介「・・ハア」 ため息。 携帯メール。
〈タクシーを此処に呼びます、俺は今から前に出て、そのタクシーを待ちます、貴方はここで待ってて〉
女「・・」 頷く。
康介は堂々と前に出て、普通にタクシーを呼び始める。
ヤクザ達と目が合うと、お辞儀。
ヤクザ3「すいませーん」 話しかけて来た。
康介「はい?」
ヤクザ3「コッチに若い女が逃げ・・走って来ませんでした?身長はこんくらいで、細身で、ロング茶髪で、裸足です」
康介「いやあ・・見てないですねえ、すいません」
ヤクザ3「あんた・・ここの人?」 後ろのアパートを顎で指す。
ここは康介とは無関係なアパート。
康介「いいえ?」
ヤクザ3「じゃあ、何してんの?」
康介「タクシーを呼んだんで、待ってるんです」
ヤクザ3「・・家どっち?此処から遠いの?」
康介「いえ、すぐそこです、あの木造の・・」
ヤクザ3「ああ、あそこかあ・・でも何でここで呼んでるの?」
康介「いえ、家を出て、暫く歩いてたら電話が上司から入って、急に出先に行けと言われて、それで自動販売機で何か買って、このベンチで休みながらタクシーを待とうかなとー」
ヤクザ3「あんた回り道した?」
康介「はいしました」
ヤクザ3「何で?」
康介「だって・・その・・怒鳴り声が聞こえてたら誰だって・・」
ヤクザ3「・・ああ・・そう・・分かった・・すまんかった・・出先頑張って」
康介「はい、ありがとうございます」
ヤクザ3「おう!どうだあ?居たかああ?」
ヤクザ達『ダメでーす』
ヤクザ3「くっそがああ!」〈ドガシャアン!!〉 空き缶ゴミ箱を蹴った。
ヤクザ3「あっち方面探すぞ!」
ヤクザ達『へい!』
行った。
タクシーが来た。
〈コンコン〉トタンをノック。
康介「出てきて」
女「・・」 出た。
康介「タクシーに乗って、早く、そう・・背は低く、そう、運転手さん、駅の反対方向の隣町まで」
運転手「はいよー」
女が外を見ようとする。〈グイ〉 頭を押さえる。
康介「駄目だ・・絶対に見るな・・屈んで寝てろ、そうだ」
康介とヤクザが目が合い、お互いお辞儀。
女「漏れる~」〈モジモジ〉
康介「はあ・・我慢してください」
公衆トイレに行き、済ませた後、康介の会社の空き船の仮眠室に女を置き、出社。
その後、女を回収。
女に携帯を持たせ、タクシーで康介のアパートに別々に帰宅。
康介が先。
安全が確認された後、女もタクシーでメモの住所に到着。
その時の影の警備態勢は3人。
問題は起きなかった。
メール内容。
ウルフ「どうする気だ?」
康介「機関の存在は知られる訳にはいかん、この娘には整形でもしてもらって、知り合いの探偵にでも丸投げするさ」
ウルフ「了解、警備を2人にして、俺は群馬の任務に戻る」
康介「ああ」
その後、探偵は別件で長期不在である事が分かった。
整形医者と自分の繋がりは知られたくない康介にとっては痛い事だった。
康介「はあ・・仕方ない・・今晩は家に泊まって貰うしかないけど・・構わないですか?」
女「ええ~変な事する気でしょ~?やっだ~やらし~い~」と言いながら体を寄せて来る。
康介「ゴホン!」離れながら話す。
康介「まず、自己紹介しましょう、座って」
女「・・」 不満そうに座る。
康介「それであなた名前は?」
女「あかね」
康介「苗字は?」
あかね「・・」 黙秘。
康介「ではあかねさん、どうして追われていたんです?」
あかね「・・」 黙秘。
康介「はあ・・あなたを助けたいんですが・・仕方ないですね・・警察に明日行きましょうー」
あかね「駄目!」 勢い良く前のめり。
康介「うわ!」
あかね「警察もグルなの!警察も敵なの!だからダメ!絶対ダメ!あんたも殺されちゃうよ?」
康介「・・わ、分かりました」
あかね「ホント?信じてくれるの?」
康介「信じます」
あかね「〈ホ〉ふわあ・・ああ・・私眠くなっちゃった、お風呂入って良い?」
康介「着替えは?」
あかね「ないよ」
康介「分かりました、タンスのやつ適当に使ってください、タオルはそこです」
あかね「ありがとう、やっさしい♪〈チュ〉」頬にキス。
康介「な!?なななな何ををを」 赤らめる。
あかね「あははは、可愛い、あんた名前はー?」
康介「船場・・康介です」
あかね「康ちゃんかー」
康介「その呼び方止めて貰えます?」
あかね「ええー、いいじゃーんあははは」 〈パタン〉 風呂に入ってしまった。
康介「・・(俺の平穏はいつ来るんだ?)」
風呂に入ってる間にラーメンと卵焼きを作る康介。
〈ガチャ、パタン〉 出てきた。 康介のパジャマ姿。
あかね「ふう」
康介「取り敢えず、これ作ったから食べてください」
あかね「うわあ、いいの?ありがとう、いっただっきまーす♪」
満腹になったようだ。
その間に布団を敷く。
あかね「なんかごめんね?巻き込んじゃって」
康介「そう思うんなら話してくださいよ」
あかね「いや・・これ以上迷惑は掛けれないから・・明日朝出てく」
康介「・・」
あかね「ごめんね?・・じゃあ・・おやすみ」 布団に入る。
康介「・・」
20分後。
PCの電源を落とし、出掛ける。
あかね「すーすー」
康介「・・コンビニ行ってきます」 小声で話し、〈バタン〉出て行った。
あかね「・・」 目を開け、起き上がる。
あかね「・・」 PCの電源を入れる。
康介「・・」 隠しカメラの映像をスマホで見る。
康介「ハア・・何なんだよ・・」 そのままコンビニに向かう。
白いワゴン車が止まっていた。
康介「・・」 無視し、コンビニへ。
外事警察。
白ワゴン内。
PC画面4個を睨む男達6人。
刑事1「どうだ?」
刑事2「まだっす」
刑事3「早くしろ~」
アパート内。
あかね「なにこれ・・何もない・・」
あかね「・・」 いじくるが、怪しいメールや、不自然なデータ、帳簿、何もない。
あかね「・・くっそ~何もないじゃん!本当にコイツ大物?」
康介が戻って来た。
康介が遠い内にクラクション短く一回。
あかね「やば!」 画面閉じ、電源off。
康介「・・ただいま」
あかね「すーすー」
康介「・・はあ・・俺も寝るか」 康介も掛布団一枚羽織り寝た。
朝。
全裸で康介の布団に入っていたあかね。
康介「・・何の真似かな?」 顔を引きつらせる。
あかね「おはよ♪」
康介「いやいや・・」 離れようとー。
康介「!?」自分も全裸。
康介「・・朝一で出て行くんだろ?早く出て行ってくれ」
あかね「昨日あんなに凄かったのに?」
康介「嘘付いたって駄目です、早く出て行ってください」
あかね「ああん、釣れないなあ」 下着を履きながら。
あかね「・・朝食は?」
康介「・・はあ・・」 下着を履きながら。
康介「分かりました・・じゃあ・・朝ご飯食べたら出て行ってくださいよ?」
あかね「任せなさい♪」
康介「・・」
レトルト味噌汁、卵焼き、コンビニ鮭、炊飯器ご飯、のメニュー。
あかね「うわあ、美味しそう、いただきまーす」
康介「・・はい」
お互い食べ終わった。
あかね「じゃあ・・ね?出てくね?」
康介「はいさよなら」
あかね「出てくからね?」
康介「はいさよなら」
あかね「本当に死ぬかもよ?あたし死んじゃうかも」
康介「じゃあ・・話してくれます?」
あかね「・・分かった、話す」
康介「はあ・・それじゃ・・ここに座って」 座布団。
あかねはチョコンと正座。
康介「・・で?」
あかね「私はキャバクラで働いてんだけど・・そこでヤクザの・・あ~座頭会ってトコ!そこの親分と飲んでたの」
康介「・・それで?」
あかね「んで・・そういう事が2ヶ月くらい続いて・・ある時から私達キャバ嬢がいる前で結構ヤバイ話しをし始めたのね」
康介「・・」
あかね「私の他にもう2人いたんだけど・・その内の1人・・リカコっていうんだけど・・その子が常連の警察の人に言っちゃったの」
康介「・・」
あかね「そしたらその人、その場では熱心に聞いてくれたってリカコ話して来たの、あたしに、電話で」
康介「・・」
あかね「その時あたし慌てたの、何で警察に話したの?って」
康介「・・」
あかね「そうしたらリカコ・・その後連絡取れなくなって、そしたらもう一人いたサチコも連絡が取れなくなってたの」
康介「・・」
あかね「次は私じゃん?」
康介「で?案の定だったと?」
あかね「うんそうそう、で、勝手に仕事休んで、夜逃げ状態で、引越し準備してたら・・」
康介「やってきた?」
あかね「うん、だから屋根伝いに逃げたの」
康介「・・警察の人は?」
あかね「ヤクザにも何も害ないっぽいし・・それにあれから4日経つのに、ニュースにもならないし」
康介「・・なる程・・」
あかね「ね?変でしょ?」
康介「その・・何を聞いたんですか?ヤバイ事とは?」
あかね「人身売買の事」
康介「・・」
あかね「風俗で稼げなくなった人とか、ホームレスとか、家出の子供とか、とにかく、居なくなっても誰も不審に思わない人達を言葉巧みに誘って、そのまま海外行きの船に詰めて送っちゃうの」
康介「海外って・・どこに?」
あかね「中国と、カンボジアが主だって言ってた」
康介「警察はそれ知ってるんですか?」
あかね「う~ん、知ってるんじゃない?けど・・捜査しにくい・・とか?分かんないけど」
康介「それだけだと貴方がこんなに追われる理由にはならないと思うんですが、だって、貴方一人騒いだって」
あかね「録音してたのリカコ」
康介「は!?」
あかね「そのレコーダーを預けたコインロッカーの鍵が・・」 化粧ポーチから取り出す。
あかね「これなの」
康介「向こうはその存在知ってるんですか?」
あかね「知ってるんじゃない?」
康介「(拷問か)じゃあ・・尚更警察に」
あかね「でもその警察の常連って奴、結構偉かったっぽいよ?」
康介「どのくらい?」
あかね「うーんと・・確か・・何とか長官?」
康介「歳は?」
あかね「56」
康介「(官房長?あ~オリンピックに向けてホームレス出荷か)・・」
あかね「ね?ヤバイっしょ?」
康介「そうですね・・」
あかね「どうすれば良い?」
康介「・・貴方が言ってるのが本当だとして・・ネットに流せば良いのでは?」
あかね「冗談!すぐに特定されるじゃん」
康介「・・(コイツ・・)」
あかね「(これでコイツがどう動くか・・)」
康介「・・」〈トントントン〉 机の上を指で叩く。自然にネクタイピンが置いてある。
これは無線機である。
アパートから400mのカフェ。
カップル風。
普通に席を立ち、出る。
カップル男が歩きながらメールを打つ。〈狩可全丸〉(狩りを始めろ、全てを収めろ)
深海。
潜水艦。
〈~~~~♪〉
ビコーズ「はいはい、おお?始まりましたか~ほっほっほ~、外事警察も必死ですなあはっは~」
ビコーズは各部隊に一斉送信。
〈外事警察の注意を消去、尚且つ、ホームレス達を誘拐している組織の消去、全てをクリーンにしろ、外事警察対策はコッチで行う。行け、メシアの子らよ、踊ろう、密林を超えよう、その先の希望の世代の為に、メシアに栄光あれ〉
アメリカ宇宙センター、NASA。
職員男にメール受信。
男「(メシアに栄光あれ)」メモリースティックをPCに挿す。
モニカの分身がNASAのPCに進入。
全てのセキュリティは意味を成さず、気づかれずに、衛星ハック。
宇宙。
〈プシュ、プシュ〉衛星が動く。
〈キュイキュオ、ウイイ、ウウン、キュイ〉 中国、大きい港を監視。
NASAの職員はスティックを抜き、その場を離れる。
NASAは平穏、いつも通り。
日本海側。
巨大潜水艦。
モニカ〈・・〉
モニターにはいくつもの駅、空港の監視カメラ映像。
北海道。
高級ホテル。
監視カメラ。
ロビー映像ヒット。娼婦らしき女と同伴。
ホテルのPCに進入。
名簿列。
ヒット。
21階、最上階。
VIPルーム、111号室。
電話中。
官房長官「はっはっはっは、いやいや、そちらこそですよ~、はっはっはっは」
電話回線ハック。
丸聞こえ。
ビコーズ「さあって~?、おうおう、現在高級娼婦と旅行中かあ、はっはっはっは、後1時間足らずの命と知らずに・・、北海道、スノウパレルホテルヒット、ヤクザの親分と会話中・・データ送信」
21時。
新潟県。
港。
家出少女高校生「離せよ!離せよお!?何なんだよ!警察にいうかんな!絶対に許さない!離せ!」
ヤクザ1「プ!おい警察だってよ?」
ヤクザ2「お嬢ちゃん、これはね?警察からお許しを貰ってね?やってるんだよ?」
女子高生「はあ?そん〈ガチャン〉な訳・・」 コンテナを開ければ、そこには詰められた人達、老若男女。
女子高生「・・」
ヤクザ1「ふひひひ」
ヤクザ2「ふへへへへ」
女子高生「ヤダ、やだああ・・どうなんの?ねえ?どうなんの?」 泣きながら問う。
ヤクザ1「何処か遠くに行きたかったんだろ?」
ヤクザ2「良かったな?夢が叶ってひゃははははははははは」
女子高生「いやいやいやいやこんなのいやああああ、あっはっは~はうう・・うわああああん、あ”あ”あ”あ”あ”あ”・・」
コンテナの玄関で座り込む。
ヤクザ1「可哀想にいい、でもな?こういう結末を望んだのはお前なんだぜ?」
女子高生「・・?」
ヤクザ1「親のいう事、大人のいう事、全部嘘だって思ってただろ?」
女子高生「!!・・・」
ヤクザ1「無駄に反抗してさ、な?」
女子高生「・・助けて」
ヤクザ1「海外ではな?日本人は臭くないって評判なんだ、変態共のオモチャなんだよ、従順だしな」
女子高生「助けてええ、お父さあああん、お母さあああん」
ヤクザ2「はいはい〈ガ!グイイイイ〉入ろうねえ?」 髪を掴み、強引に入れる。
女子高生「やだやだやだやだああああ、おとうさあああああ〈バタアアン!ガチャン、ガチャ〉
女子高生「あ・・あ・・あああああ・うう・・ああ」
???「嬢ちゃん、コッチに来い」 お爺ちゃんが呼ぶ。
女子高生「・・」 行く。
???「大丈夫だ、俺から離れるなよ?出来るだけ俺と一緒に行動しろ?な?」
ホームレスのようだ、汚い格好。60歳くらいだろうか。髭が凄い。
女子高生「何で?」
ホームレス「昔から俺はな?ここ一番っていう時の運があんだよ、生きるか死ぬかって時のな」
女子高生「・・そうなの?」
ホームレス「ああ!だから嬢ちゃんもきっと、きっと助かる、大丈夫!俺を信じろ!俺は信弘ってんだ嬢ちゃんは?」
女子高生「絢香」
信弘「絢香ちゃんか、大丈夫、俺の運を信じろ!な?」
絢香「・・・・うん」
その港の上空。 鳥が1羽。コンテナに糞を落とす。その鳥の目が動く。〈キュイキュイ、ピピ〉
港から2Km。
レストラン。
ベータ班1名男「敵のメールによれば、10分後敵が移送を開始するらしい、枝設置完了、これで追跡出来る、撤収開始」
港中のスナイパー4名が撤収開始。
ヤクザ1「自業自得だ」
ヤクザ2「ああ全くだヒヒャヒャ」
鳥が音を拾う。
ベータ班男の耳の中に小型受信機。
ベータ班1名男「くっくっく・・ああ全くその通りだぜ」 パスタを食べ終わり、水を流し込み、席を立つ。




