トーナメント
スイス。
4月。
ロバート「社長、またあの季節がやって来ました、招待状が届いております」 机に手紙を置く。
スパーク「ああ・・もうそんな時期かあ・・日本は春うらら~ってか〈ズズ〉」 紅茶を飲む。
ロバート「はい、日本代表はウルフではないそうです」
スパーク「そうそう・・今回も優勝はウルフに決まって・・は?」
ロバート「先日、日本代表決定戦になり、ウルフが敗れたそうです」
スパーク「うっそおお!?」
ロバート「間違いございません」
スパーク「・・うっそ~・・マジで?あのバケモンが?負けた?サバイバーで?」
ロバート「はい」
スパーク「どんな感じに負けたんだ?」
ロバート「はい〈ペラ〉ナイフ戦ですね、結構戦い、模擬ナイフを頭に刺されたそうです」
サバイバー。
サバゲーの特化版。
一対一での、廃工場、山等で行われる。
行動範囲、制限時間はない。
あっても逃げの選択は意味がないからだ。
最高でも4時間以上かかった事は今までない。
昼、夜かコイントスで勝った者が選ぶ。
日にち、場所はどちらも選べない。
爆弾類は、模擬だが、仕組み自体は精巧。
全てペイント弾にしてあり、色が着いたら負け。
擬似ナイフは勿論、現場のどれをも使用可能。
殺人はNG。
絞め技は気を失うまでに停める。
この試合の参加者は全員が猛者である為、己の誇りを賭け、手段は選ばないが、自分が死亡したと確信した場合だけ、速やかに負けを認める事が重要である。
もしそうでなければ、恥以上のモノを失うからだ。
スパーク「・・それはそれは・・相手はどんなバケモンだ?よっぽどの殺し屋か?」
ロバート「それが・・女だそうです」
スパーク「はああああ?女ああああ?」
ロバート「それも・・若干16だと」
スパーク「・・」 暫く考える。
スパーク「いつの時代も新しく風は吹くものだ、んで?そいつの経歴は?」
ロバート「ベトナム出身、アメリカンとベトナム人のハーフで、ムエタイ、シラットを祖父から教え込まれ、夜戦、野戦に特化したモノを得意とし、非常に骨は太く、強固だそうです、それでいて華奢、筋肉ではなく、骨の構造を科学的に利用し戦うタイプです」
スパーク「なる程・・その祖父とやらは?」
ロバート「アメリカ特殊部隊、シールドの中において、伝説的呼称、ゴーストの4代目にし、数多の暗殺を繰り広げてきたハベリー・ロイ・ソミシア、004だそうです」
スパーク「ああ・・聞いたことあるな、ロシアの親分をナイフ一本だけ使って、屋敷の周りの庭ごと暗殺した後、別件でアイスランドに逃げてたマフィア追っかけて、全滅させたあの男か」
ロバート「はい、その後、堂々と、ベトナムに好きな人が出来たから引退するって言ってアメリカのCIA長官自宅に音もなく現れ、丁寧にお辞儀して、高級ワイン持参で来たそうです」
スパーク「あっはっはっはっはっはっは!」
ロバート「ちなみにCIA長官は快諾したそうです、かなり惜しんだそうですが・・」
スパーク「ハベリーの子供は?」
ロバート「ハベリーは自分の子供には何も教えなかったそうです、そして、街の些細な喧嘩で殺されたそうです、因みに、息子さんの奥さんもその時に強姦され殺されています、それも・・その・・子供の前で」
スパーク「それはそれは・・だから孫には教えてるのか」
ロバート「そのようです、子供に言われたそうです、お爺ちゃんがパパに何も教えなかったせいだと」
スパーク「・・俺はな・・」 椅子から立ち上がり、水槽を見る。
スパーク「こういうニュースを聞く度に思うんだ・・俺は運があって良かったってな」
ロバート「否定はしません、全ては運です」
スパーク「そうだな・・運命なんてどうのこうの言ってる奴程、決まって幸せ者だ、勿論、変更可能な運命もあるだろう、だが、 そ れ ら の 次元じゃない貧乏が存在する、それは個人でどうにか出来る問題ではない、予めに、最初っから詰んでる人生というモノが あ る という事を、俺は腐る程見て来た、俺はそれを踏まえた上で開き直ってる、自分は運が良くて良かったとな、開き直らず、只、可哀想だとか、何とか出来ないのか?とか、そんな事を俺はとてもではないが言えん、そんな事が言えるのは、全くの恥知らずで、馬鹿で、無知の極みな奴だけだ」
ロバート「はい」
スパーク「その・・哀れで、しかし、獣の誇りを持った少女の名前は?」
ロバート「は、〈ペラ〉現在改名し、日本に在籍しております、その名は・・初咲 (ソメサキ)、初咲・ソミシア」
スパーク「日本代表って事は・・船場の部下って事だよな?」
ロバート「はい」
スパーク「あいつどこでそんなバケモン見つけて来るんだ?ウルフの時もそうだったし」
ロバート「ウルフは向こうからやって来たそうですよ?」
スパーク「それは知ってる、初咲は?」
ロバート「〈ペラ〉ボスの部下、ビコーズが見つけたようです、そして、ウルフとハベリーが知り合いだったようでして・・まあ・・お互い噂を聞いてる程度だったようですが」
スパーク「ウルフが迎えに行った?」
ロバート「はい、恐く、これを機に日本機関の部下となり、日本に戸籍も作ったようです」
スパーク「俺もそんな情報欲しいなあ・・」
ロバート「これ以上の武力は不要です、機関に逆らう意思ありって思われたいんですか?」
スパーク「でも・・下克上したいじゃん?」
ロバート「いつものように、26各国から選別された猛者達が日本、太平洋上に集います、私達はお金稼ぎ専門機関ですよ社長」
スパーク「今年はウチからも誰か出そうぜ?」
ロバート「そう言われましてもないモノは出せません」
スパーク「ぬぬうう」
ロバート「優勝国機関には、情報ポイント1兆円が寄与されます」
スパーク「まあ・・いつも通りだな」
情報ポイントとは、メシア同盟同士で流通するお金である。
一般のお金の流れとは全く別な為、不審に思われる事はない。
スパーク「そう言えば、あいつ・・コホン・・テッダに・・来週は日本に行くって言うなよ」
ロバート「はい、ブラジルに出張という事にしましょう、手紙を送っておきます」
スパーク「うむ、あいつ、予想以上に日本ラブだったからな、絶対に着いてくるっていうに決まってる」
ロバート「・・」 にやにや。
スパーク「何だ?」
ロバート「半月も持たれるとはお珍しい」
スパーク「ううう煩い!さっさと仕事行け!」
ロバート「はい、失礼します」 〈バタン〉
スパーク「若いな・・何か問題が起きなければ良いんだが・・」 初咲の写真を眺め、呟いた。
日本。
女子高。
都立聖歌青木澄剣学園。
1ー1・Dクラス。
初咲は一番後ろの端っこに席を確保していた。
E、D、C、B、A、AA、S、SS、X、XX、OOのクラスがある。
当然ながら、D、Cが最も人数が多く、Eは最少クラスで人は少ない。
Bから上は、順に人数は少なくなる。
Eが一番学力、経済力が低く、OOが何もかも、高い。
XXまでが普通の学力、財力なのだが、OOは無限の意味を持ち、容姿、品性、武力、も完璧な者が在籍を許されるクラス。
現在5人。 定員は決まっていないが、学園の顔でもある為、審査が厳しく、この人数しかいない。
OOクラスの卒業生は有名企業からの就職が約束されており、さらに、御曹司達からの猛烈なアタックも約束されている。
何故なら、彼女達は絶対に処女だからだ。
そう、この学園においては処女は絶対なのだ。
何故なら、御曹司達は処女好きだからである。
金、地位を生まれ持ち合わせている彼らが、欲しがる女。
それは誰もが羨み、憧れる美女でなければならない。
そう、彼らに、譲り、妥協は必要ないからである。
勿論、女性側にも断る権利はある。
しかし、中途半端な御曹司ではいざ知らず、幼少の頃から特別な教育を施されて来た、彼らの品格は別格であり、断る女は今の所、この学園歴史上、存在していない。
そして、処女でない者はいかなる理由があろうとも、SSクラスまでしか登れない。
まあ、SSまで登れれば処女ではなくても、品位は疑いようがない。
普通に進級すれば、2-1・E、3ー1・E、卒業という風に進む。
上の階級になりたければ、財力、学力、武力の中でどれか一つでも、全部でも良いが、上の階の人に決闘時間内に勝負を挑める。
財力という勝負は、要は賭け事でも良いし、単純にどっちが現在資産が上回っているかでも良い。
低い方が3種類挑み、2種類勝った場合、負けた者は階級は下がらず、勝った者がただ上がるだけである。
だが、上の者から下の者に挑み、負けた場合、階級は下がり、勝った者は上がる。
決闘時間は早朝、授業が始まる5分前までに遅刻しなければ良し。
昼休みも同様。
放課後は19時55分まで。
決着判断はXクラス以上の者か、公務員か、教師を立会いとし、決定に従うモノとする。
卑怯な手段や、賄賂に当たる事をした場合、即刻退学となる。
この為、立会人は2人以上、ビデオ撮影を使用する。
同クラス同士の争いにおいては、一つ上の階級クラスの人物を立会いとし、2人以上、ビデオ撮影を原則とする。
そして、勝者には学園内で使用出来るお金、聖歌ポイントが生徒手帳コードに与えられる。
因みに、上のクラスに挑み、勝ってもポイントは入らない。
下の者に挑み負けても、階級は下がるが、ポイントは減らない。
ポイントを稼ぐには、同じ階級と戦い勝利するか、現金を変換するかのどちらかしかない。
他人に奢らせる行為、たかり、いじめ、パシリ、を嫌がっているのにした場合、即刻退学。
優雅に学園生活を送りたければ、ポイント稼ぎは必須。
Eは500円。そして一つ階級が上がる度、貰えるポイントは2乗、3乗、4乗と500円を元に増えていく。
そして、Xクラスから1万円が元になる。XXは2万。
Xからは一日の試合の数で乗数が決まる。
翌日からまたリセット。
OO組は下の者に挑む事が出来る。
その場合、負ければ当然洛階級。
しかし、XX組者はOO組者に勝っても、上がれるとは限らない。
XX組まで上がる事がOO組に挑戦出来る権利を得る事だが、OO組への入室資格は厳しい審査を通らなければならず、OO組の人に勝ったのに、XX組までという事も十分有り得る。
よって、普通にOO組に入りたければ、XX組に上がり、OO組の人に決闘を申し込み、勝利、審査を通るしかない。
OO組が受身ならば、階級は下がる事はない。
ポイントは負けた者から奪うのではなく、学園から支給されるモノ。
負けたからとはいえ、減る事はない。
同じ階級の同じ者に何度も挑む事は可能だが、一日1回まで。
全て別の者ならば、一日に何回やっても原則問題なし。
OOになれば学園に関わる様々なモノが免除され、今まで掛かった学費諸々が全て返金される。
OOクラスには授業はない。
そんな事をしなくとも彼女達は自習を怠らないからだ。
但し、月一のテストはあり、どれでも1教科97点以下は階級落ち。
しかし、同時期に武道のテストがあり、そこで教師に満足を与えられれば全教科免除。
これは武道というモノが努力ではなく、才能という事が大きく要因する。
御曹司の伴侶ともなれば命を狙われる場面も少ないが、逆を言えば、狙ってくる敵は相応の者達だという事、それに対応出来る可能性が高い美女ともなれば、価値は一気に高まるのだ。
クラス内。
普通の机並び。
《ざわざわ》
担任「はいはーい、では席に着いてー新学期だねえ~私は担任の谷山梨沙っていう者だ~」
黒板に名前を書く。
〈バン〉 教卓に手をつく。
谷山「お前らは今日からは由緒正しき乙女だ、その事を自覚し、不貞な行為はしないように~特にHな~これやると、Xクラスに登れないからな~気をつけろよ~、オナッテもいいが、開けんなよ~、お前らの普段の生活はここでは通じないからな~、どんな理由があろうとも登れなくなるからな~、例え強姦された結果だとしても、だ」
《ざわざわああ》
谷山「辛い校則だと思う、が、御曹司達は処女がお好みだ~中古は必要ないんだ、分かるか~?これが現実だ~」
《ざわざわああ》
谷山「他にもいじめ、カツアゲ、タカリ、無視、不必要な接触、これらの他に諸々な~、原則即刻退学だ~、いいか~?でもでもだってって言ってる間に寮から全ての荷物は実家に送り返されるからなあ、今まで何人もこういうのが原因で強制退学受けてるからな~、冗談だと思って悪ふざけして貰っても私達教師は一向に構わんぞ~、むしろ面倒な生徒はとっとと退学にしたがってるんだ~、もううずうずしてるぞ~」
《シーーーーーーーン》
谷山「脱落する奴は例えOO組みでもなるからな~、校則に境界はないからな~、上に行ったからって偉くなったと勘違いした奴から退学になってるからなあ」
《シーーーーーーン》
谷山「他人に尊厳を以て、和となせ、この言葉ようく覚えろ~、人間というのは社会の中で生きるしかないんだ~いくらイライラしてもだ~、だから生理中だろうが、嫌な事があろうが、他人や物に八つ当たりすんな~、物に八つ当たりしたら、額によっては警察呼ぶぞ~」
《シーーーーーン》
谷山「いいか~整理するぞ~、品行方正お嬢様ってのを演技でもいいから続けろ、これだけだ、勝ち組になりたいだろ?だったら忘れるな~、それが無理ならせめて下で満足し、普通に暮らせ~、余計な事言わない、しないなら、卒業資格は手に入るぞ~、欲かいていらん事する、言う、した奴から脱落していくからな~こんなくらいでストレス溜まるくらいなら性根からお嬢様は無理な性分だ~誰かに迷惑かからん内に退学しろ~明日から7日以内だったら、経費は全部返却され、転校も手伝ってくれるぞ~」
《ヒソヒソヒソ・・》
谷山「ヒソヒソ話してんなあああああ!」 《バン!》
《ビックウウウ!》
谷山「品行方正だ忘れんな~、次からは指して立たせるからな~ポイントは減らないが普通に単位ってモノがある事忘れるな~、教師次第だぞ~、勿論、職権乱用っていう意見もあるだろ~、しかしな~、ここの教師は全員女だ~そしてX以上のクラスの卒業生しかなれないからな~」
《ザワザワザワああ》
谷山「いいか~因みに私は卒業と同時に大手の銀行マンと結婚、子供2人だ~、高級住宅街に豪邸立てて、休みは子供達と優雅にお茶したり、バーベキューしてるぞ~」
《ざわざわざわ》
谷山「どうだ~ここの教師達は例外なく勝ち組だ~、お前らが反抗するのは勝手だが~、基準は常に教師だ~、単位次第では留年だぞ~そして留年したらXにはなれんぞ~」
《ざわざわざわ》
谷山「7日間ゆっくり考えろ~、では今から5秒数えるから静かにしろ~5、4、3」
《シーーーーン》
谷山「・・そうだ、分かってきたな、余計な欲は持たない事が長生きの秘訣だ~、では出席をとるからな、自己紹介をついでにやれ~、名前と趣味だ、では始めるぞ~」
初咲の番になった。
皆 《さわさわ》 噂の的。
初咲「初咲・ソミシアです、趣味は・・特にありません宜しく」 座った。
初めてお願いしますまで言わなかった。
谷山「・・はい、次~」 いちいち注意等はしない。生徒次第なのだ、教師はただ、振るい落とすのみ。
初咲。
身長167cm。
体重、52kg。 見た目は華奢に見えるが骨が強固な為。
金髪セミロング。
Cカップ。
脚長。
お尻はスっと持ち上がっている。
肌、少~しだけ黒。ほぼ黄色。
目は灰色、瞳は金色で縦長。堀が深く、鼻はやや高い。
唇は女らしい。程よい太さ。
いわゆる美人だ。
この学園でトップを狙える美しさであろう。既に噂の的になっている。
怪しい色気がムンムン出ている為だった。
隠そうとしていないのもあるが、隠せるモノではない。
その他大勢とは明らかに異質なモノ。
初咲からは嫌が応でも漂う。
強烈な香水のように、漂う、生きてきた世界の違いの匂い。
谷山「は~いは~い、終わったなあ、この学園の仕組みがお前達に導入されるのは~8日後からだ~、しかし、今でも実験として、出来るからなあ、そのお試し期間は誰でも何回までも挑戦可能だ~、休み時間ならいつでもいいぞ~15分間だ~私がこの教室を出たらお試し期間スタートだ~、その期間中は校舎内でやる場合は、常に校舎監視モニターしてあるから立会いも同クラス同士で構わんぞ~、お試し期間が終わったら校舎内ではなく、外の広いグラウンドか、決闘ルームとかでやれ~、教室内で暴れんなよ~今は廊下の途中にある広い空間を使え~では健闘を祈る、卑怯な真似は退学だからな~詳しくはシオリ見ろ~じゃ」〈パタン〉
初咲「・・」 机に肘をつき、考える。これから始まる 別 の トーナメントの事で頭がいっぱいなようだ。
???「失礼?」 茶髪ロングの化粧している女が話しかけてきた。 化粧の技術を磨く為、耳ピアスや、薄化粧ならば校則で認められている。
まあまあ美人。
初咲「 ? 」
???「私、宮田夏樹と申します、今から私と、武道のジャンルで勝負してくださらない?」
初咲「う~ん・・別にいいよ?」
《ザワザワザワ》
2人は教室を出た。




