表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/7

5話

 永時と会うようになって、まだそれほど時間は経っていない。

 それなのに、月愛にとって永時は少しずつ特別な存在になっていた。

 朝、目を覚ますとスマートフォンを確認する。

 永時から連絡が来ていると、それだけで嬉しくなる。

 何気ない会話を思い出しては、一人で笑ってしまうことも増えた。

「……私、どうしちゃったんだろう」

 まだ恋だとは認めたくなかった。

 だって、永時とは十五歳も年齢が離れている。

 出会ってから、まだ間もない。

 それなのに、こんなに気になるなんて。

 その日の夜、永時からメッセージが届いた。

『今日はどうだった?』

 短い文章だった。

 けれど、月愛の顔には自然と笑みが浮かんだ。

『普通の一日でした』

 少し考えてから、もう一文を付け足す。

『永時さんは?』

 すぐに返信が来た。

『月愛から連絡が来るまで、少し退屈だった』

「……もう」

 思わず声が出た。

 スマートフォンを胸元に抱える。

 こんなことを言われたら、意識してしまう。

『また会いたい』

 永時から届いたその言葉に、月愛の指が止まった。

 胸が高鳴る。

 けれど、嫌ではない。

 むしろ――嬉しい。

『私も会いたいです』

 送信したあと、月愛は顔を覆った。

「言っちゃった……」

 その夜はなかなか眠れなかった。

 数日後。

 二人はまた会った。

 永時は月愛を見ると、優しく笑う。

「今日は少し雰囲気が違うな」

「そうですか?」

「うん。なんだか嬉しそう」

「……永時さんに会えたからかもしれません」

 言ってから、月愛自身が驚いた。

 永時も少し目を見開く。

「それ、俺が喜んでもいい?」

「……はい」

 月愛は恥ずかしくなって、視線を逸らした。

 永時はそんな月愛を急かさず、ただ隣を歩いた。

「月愛」

「はい?」

「無理に答えを出さなくていいからな」

「何のことですか?」

「俺をどう思っているのか」

 月愛は黙った。

 永時は優しい声で続ける。

「ゆっくりでいい」

 その言葉に、月愛は少しだけ安心した。

 急かされない。

 求められない。

 ただ、自分の気持ちを待ってくれる。

 そのことが嬉しかった。

 月愛は隣を歩く永時を見上げる。

 そして、心の中で小さく呟いた。

 ――もっと、この人のことを知りたい。

 それが恋の始まりだと、月愛はまだ知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ