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俺が守る理由

 リリアと出会ってから、一週間。


 俺は気付いていた。


 王都にいる時間が増えている。


 以前なら。


 誰にも興味を持たず。


 ただ歩いて。


 ただ力を使って。


 ただ暇を潰していた。


 でも。


「神崎零様」


 後ろから声がする。


 振り返ると、そこにはリリアがいた。


「また一人でいますね」


「一人が楽だからな」


「本当ですか?」


「……」


 リリアは少し笑う。


「嘘が下手ですね」


---


 俺は少し不思議だった。


 なぜ、この少女は。


 俺を恐れない。


 媚びない。


 力を欲しがらない。


 ただ普通に話しかけてくる。


「零様」


「なんだ」


「もし力がなかったとしても」


「あなたは、今のあなたですか?」


 突然の質問。


「……」


 考えたこともなかった。


 俺は生まれた時から最強だった。


 だから。


 力のない自分を知らない。


「分からない」


 正直に答えた。


 すると。


 リリアは優しく笑った。


「では」


「一緒に探しましょう」


「力以外のあなたを」


---


 その言葉は。


 なぜか残った。


---


 数日後。


 王都で大きな祭りが開かれた。


 国中から人が集まる。


 リリアも参加する予定だった。


 当然。


 皇女だから。


 護衛が大量につく。


 ……はずだった。


「少なすぎないか?」


 俺は呟く。


「え?」


 リリアが首を傾げる。


「護衛だ」


「大丈夫です」


「この程度なら」


 リリアは笑う。


「私も魔法が使えますから」


 その瞬間。


 俺は気付いた。


 この少女は。


 守られるだけの存在ではない。


---


 しかし。


 祭りの途中。


 空気が変わった。


「……」


 俺は空を見る。


 魔力。


 大量の魔力。


「零様?」


「下がれ」


 初めて。


 俺は強い声を出した。


 リリアが驚く。


「何か……」


「ああ」


「敵だ」


---


 空から現れた。


 黒いローブの集団。


「見つけたぞ」


「神崎零」


「そして」


 男が笑う。


「王国の宝」


「皇女リリア」


---


 周囲が混乱する。


 騎士たちが剣を抜く。


 しかし。


 敵の数は多い。


 そして。


 一人。


 明らかに違う存在がいた。


「我々は神を研究する者」


「お前の力を調べさせてもらう」


 俺を見る。


「捕獲する」


---


 俺はため息をついた。


「俺を?」


「捕まえる?」


 今まで。


 俺に挑む者はいた。


 勇者。


 魔物。


 強者。


 だが。


 今回だけは違った。


---


 リリアへ視線を向ける。


「怖いか?」


「……少しだけ」


 正直な答え。


「でも」


「零様がいるなら、大丈夫です」


---


 その瞬間。


 何かが変わった。


 今まで。


 俺にとって世界は退屈だった。


 壊しても。


 勝っても。


 何も感じなかった。


 でも。


 この少女だけは。


 失いたくないと思った。


---


 敵が魔法を放つ。


「終わりだ!」


 巨大な攻撃。


 王都全体を飲み込むほどの力。


---


 俺は前に出る。


 そして。


 片手で止めた。


「……」


 敵が固まる。


「な、なんだ……?」


 俺は静かに言った。


「勘違いするな」


「俺は今まで」


「自分のために力を使っていた」


---


 魔法を握り潰す。


「でも」


 リリアを見る。


「今は違う」


---


「俺の大切なものに」


「手を出したな」


---


 その瞬間。


 世界中の魔力が震えた。

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