後日談 2/2
ある休日。
零たちが異世界へ遊びに戻ってきた日。
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「神崎零!!」
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王都に大声が響く。
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零が振り返る。
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「……勇者か」
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勇者アレン。
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以前、零に敗れた男。
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「この日のために!」
「十年間!」
「修行してきた!」
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零は首を傾げる。
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「地球では一週間だったが」
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「細かいことはいい!」
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アレンは聖剣を構える。
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「今度こそ勝つ!」
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周囲の騎士たちはざわつく。
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「勇者様の魔力が以前とは比べものにならない!」
「これは期待できるぞ!」
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零は小さく息を吐く。
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「……仕方ない」
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「今回は少しだけ付き合おう」
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リリアが苦笑する。
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「零様。」
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「加減してくださいね?」
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「ああ」
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レイアも言う。
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「お父様!」
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「今回は本当に加減してください!」
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「分かっている」
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そして。
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決闘開始。
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アレンが一瞬で距離を詰める。
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「はああああっ!!」
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以前とは違う。
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確かに強い。
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零も少し驚いた。
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「……努力したな」
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「当然だ!」
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アレンが笑う。
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「努力は裏切らない!」
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零も頷く。
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「認めよう」
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「だから」
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右手を軽く前へ出す。
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「少しだけ本気で受ける」
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リリア。
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「零様?」
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レイア。
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「お父様?」
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二人とも嫌な予感がした。
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零は手を軽く振る。
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「……しまっ」
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ボフッ。
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何とも間の抜けた音。
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アレンの姿が消えた。
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「……」
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静寂。
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騎士団長が口を開く。
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「勇者様は……?」
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零は空間を見つめる。
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「……」
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「飛んだな」
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「どこへですか?」
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「次元の狭間」
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「……」
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「…………」
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「えぇぇぇぇぇぇ!?」
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リリアが慌てる。
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「零様!」
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「加減してくださいって言いましたよね!?」
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「した」
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「これはした結果だ」
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「してません!」
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レイアも慌てる。
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「お父様!」
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「迎えに行きましょう!」
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「……」
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零は目を閉じる。
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数秒後。
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「無理だ」
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「え?」
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「本人が帰りたくないらしい」
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「え?」
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「何でですか?」
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零は少し困った顔をする。
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「次元の狭間で」
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「スライムを飼い始めた」
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「……」
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「野菜も育て始めた」
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「…………」
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「家まで建てた」
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レイアが目を丸くする。
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「順応力高すぎません?」
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零も頷く。
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「ああ」
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「俺も驚いた」
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数か月後。
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王都に一通の手紙が届く。
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元気です。
次元の狭間、案外快適です。
畑も順調です。
最近はドラゴンと将棋を始めました。
しばらく帰りません。
勇者アレン
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リリアは手紙を読み終える。
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「……楽しそうですね」
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「ああ」
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零も頷く。
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「幸せなら問題ない」
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レイアが笑う。
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「勇者様って、どこでも生きていけるんですね!」
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遠い次元の狭間。
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「今日はトマトが豊作だな!」
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勇者アレンの元気な声だけが、今日も平和に響いていた。




