婚約します、文句ありますか?はい、あるんでしょうネ
神崎零と皇女リリア。
二人の婚約発表から三日。
世界は揺れていた。
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「ありえない」
とある国。
巨大な会議室。
各国の代表者たちが集まっていた。
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「神が一国の王族になるなど」
「世界の力関係が崩れる」
「危険すぎる」
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もっともらしい理由。
しかし。
本当の理由は。
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「……」
「……」
「羨ましい」
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誰かが呟いた。
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「何か言ったか?」
「いや」
「ただ……」
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「世界最強の存在が、たった一人の少女だけを見ているというのが気に入らない」
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沈黙。
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その場にいた全員が。
少しだけ思った。
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「分かる」
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一方。
王城。
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「零様」
「なんだ?」
「大変です」
騎士団長が慌てて入ってくる。
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「各国の代表者から」
「決闘の申し込みが届いています」
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「決闘?」
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零は首を傾げる。
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「何のために?」
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騎士団長が困った顔をする。
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「その……」
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「婚約を認めるかどうか」
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「……」
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零は数秒黙った。
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「俺と戦えば」
「リリアとの婚約がなくなるのか?」
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「いえ」
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「勝っても、なくなりません」
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「では」
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零はさらに首を傾げる。
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「なぜ戦う?」
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誰も答えられなかった。
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そして。
決闘の日。
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王国の巨大闘技場。
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集まった者たちは。
世界中の強者。
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剣聖。
大魔導士。
竜騎士。
暗殺者。
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全員。
歴史に名を残す存在。
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観客席にはリリアもいた。
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「零様」
「無理はしないでくださいね」
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「分かっている」
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「でも」
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零は少し笑う。
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「心配はいらない」
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「俺は」
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「リリアを守ると決めたから」
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その言葉だけで。
観客席がざわつく。
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「今、笑った……?」
「神崎零が?」
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最初の挑戦者。
剣聖。
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「神崎零!」
「私は剣の道を極めた!」
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「百年の鍛錬」
「一万回の斬撃」
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「これが私の全てだ!」
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聖なる剣が輝く。
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観客が息を呑む。
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しかし。
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零は。
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「そうか」
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と言っただけ。
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「すごいな」
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剣聖が驚く。
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「認めるのか?」
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「ああ」
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「お前の努力は本物だ」
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一瞬。
剣聖の顔が緩む。
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だが。
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「でも」
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零は続けた。
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「俺のほうが強い」
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次の瞬間。
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剣聖の剣は。
零の指先で止まっていた。
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「……」
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「……」
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「……」
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観客。
沈黙。
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剣聖。
敗北。
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時間。
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約三秒。
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次。
大魔導士。
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「ならば魔法で!」
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禁断級魔法。
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しかし。
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零は片手を上げる。
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「綺麗な魔法だ」
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「だが」
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「リリアを狙う理由にはならない」
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魔法。
消滅。
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最後。
全員が立つ。
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「……」
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「全員で行く」
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世界最高峰の戦力。
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それを見て。
リリアが心配そうにする。
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「零様……」
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零は振り返る。
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「大丈夫だ」
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「すぐ終わる」
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そして。
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世界最強の神は。
初めて。
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自分のためではなく。
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誰かとの未来のために。
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力を使った。




