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不器用な初恋  作者: まほろば
戦場からフィア
30/30

お読みくださり

ありがとう

ございました

m(__)m


言い訳は

後書きで

(/ー ̄;)



「早くってば」

移動してきたハロルドに背中を押されたロナルドを、マーズが支えた。

「マーズ…」

支えるマーズの二の腕をロナルドが掴む。

「長男の威厳ですよ」

カインの言葉もロナルドの背中を押した。

「…ここにいてくれ」

「えー、マーズだけぇ」

ハロルドがむくれた声を出した。

「僕随分頑張ったよね」

恨めしそうに見てくるハロルドの頭を、ロナルドが困った顔で撫でた。

「カイン」

ロナルドがカインを呼んだ。

「私を最後にした罰は後でしっかり払って貰います」

「わ、分かった…」

ロナルドが緊張して言った。

「さて、改めて。指示を」

冷静なカインの声にロナルドが応えた。

「グリフィアの兵を捕らえよ」

アランがスッとロナルドから離れて移動する。

指揮をしに行ったアランに代わり、ロナルドとアレスの間にラルフが動く。

カインの目配せで兵士の1人がアレスの横に立った。

「シリウス。形勢は変わったようです」

静かに言うロナルドにシリウスが肩をすくめた。

「フィアも王子が4人集まってますが、グリフィアも2人の王子がここにいます」

ロナルドの表情は穏やかなままで、シリウスに決断を迫っていた。

「ジョークだ。名演技だっただろ?」

「兄上っ!何で勝ちを逃がすんですかっ!」

シリウスのジョークも意味がない。

「ねぇシリウス。何で連れて来たの?」

ハロルドが目でアレスを指した。

ここで話を蒸し返せばまた過去の繰り返しだ。

今シリウスが退くなら、ここはジョークで流すのが互いの国のためだ。

「秘密だ」

「ふーん。良いよ、後でマーズに聞くから」

ハロルドが意地悪する顔でシリウスを見た。

「1つ貸しだからね」

ハロルドが短く言うとシリウスが頷いた。

「ロディ。仮調印は一時ストップしましょう。今回のペナルティを書き足したいですから」

カインはシリウスをわざと見返す。

「うっわ。カインが本気で怒ってる」

ハロルドが1歩後ろに下がった。

「子どもが産まれたばかりだと言うのに、私の仕事を増やした代償は払って貰う」

マーズが哀れむようにシリウスを見た。

「兄上っ!何故言わせたままなんですか!どれだけの兵を連れてきたか知りませんが、たかがフィアの国境を守る兵なんですよ」

シリウスがアレスを見てげんなりと肩を落とした。

「教育し損なったな」

マーズがシリウスを哀れむように言った。

「ハロルドと性格は似てると思ったんだが」

「僕と?それ凄く嫌だ」

ハロルドが全身で嫌だと表現した。

「僕よりモルグのアムロとでしょ。フィアの力あてにしてバルスに売られた喧嘩買う所なんか、戦慣れしてない農民平気で投入するアレスにそっくりじゃん」



カインの希望で、シリウスへのペナルティは妻君の好きなグリフィアの果物を1年分に決まった。

「ホントに義姉しか無いよね」

後が怖いから誰もハロルドを肯定しない。

アレスとシド老人は、前王の葬儀の後警備に兵を付けて先にグリフィアへ戻している。

城に居残っている勢力者を失った貴族たちを、カインは国外追放にした。

この機会に膿は出しきる。

お陰でやっと国の中が静かになった感じだ。

「アレスを見てて思ったんだけどさ、婚約の白紙だけじゃなくてシド老人用に連れて来たんでしょ」

ハロルドがサラッと言った。

シリウスは肩を竦めて言葉にしなかった。

実際答えられる事が無い。

シリウスが父王と企んでいたのはフィアの城での戦闘に紛れたアレスの暗殺だった。

アレスの名誉とグリフィア国の名を守るにはそれが最良の決断だったのだ。

葬儀に前後して、グリフィアの第2王子アレスと今は地図に無いイファの第3王女ベルベットの婚約の白紙をグリフィア王が正式に発表した。

振り回した謝罪として、ベルには一生暮らせるだけの資産がグリフィアより贈られる事になっていた。

「シド老人にもアレスにも、戦争は本の中の話しだったんだよね」

ハロルドは言いながら姿勢を正した。

「グリフィアはルシルの話をどう受け止めてるんですか?希望通り統治させるんですか?」

カインが決まってる話の確認を取る。

「ああ、シド老人を付けてな」

「そうですか」

互いに腹の探り合いの会話を終え、シリウスが問うようにマーズを見た。

「アレスが掻き回した結果になって悪かった」

一瞬不思議そうにしたマーズだが直ぐに思い当たったのか、苦笑してシリウスの肩を押した。

「良い意味でも悪い意味でも期待させたようだな」

「過去形なのか?」

何気無い振りでシリウスが聞いてくる。

「未来は分からないが今は確実に無い」

マーズの顔が真面目に変わった。

葬儀への参列を口実に、モルグのアムロがベルの引き渡しを求めて、フィアの城にやって来た。

グリフィアからの慰謝料を結納代わりにして、ベルはモルグに嫁ぐべきだとしつこかった。

多くの男手を失い、収穫の時期も失ったモルグには、都合の良い神の救いに思えたのだろう。

傷物にされたベルを娶るのだから、グリフィアとフィアはそれなりの融通をモルグにするべきだ、とアムロが始めたからまたアレスとぶつかる。

シリウスとマーズが一喝してアムロを黙らせた。

そんな経緯があるだけに、マーズの中に急いで動く気持ちは消えていた。

「いずれかは、か」

「それとも違うな」

ベルに向かう淡い気持ちは確かにある。

それに『恋』や『愛』の名前は付けられない。

「俺は見たベルしか知らない」

「誰でもそうだろう」

「いや、俺とベルの間には互いを知るための会話すら数えられるほどしかない」

シリウスも何かを察して黙った。

「ハロルドのように、俺は『一目惚れ』を信じていない。相手と理解し合えたらその手を取りに行く」

ついこの前まで胸の奥で燻っていた『血に染まった』云々は、ロナルドと手を取り合えるようになったら嘘のように消えていた。



その年の冬は慌ただしかった。

モルグとイファは1つになりモルグになった。

昔の国名『モルガノア』を名乗りたかったようだが、グリフィアとフィアがそれを許さなかった。

マーズから見れば国の名前など好きに付けろだが、モルグがそれによって増長するのは面倒だった。

飢えたイファと共倒れになるかと思っていたが、アムロの暗殺が流れを変えた。

急死したアムロに代わり、従兄弟の公爵家の長男が王位を継いだ。

「彼なら大丈夫でしょう」

アランの言葉もあり、モルグとは最小限の関わりは持ち続けると兄弟4人で話して決めた。

一方冬を乗り切れなかったバルスは、食料難から国が崩壊していた。

ルシルと引き合わせたバルスの王は大臣の子だった。

王と大臣を処刑した後のバルスに、ルシルとシド老人は正当な後継ぎ皇太子と政略の師として乗り込んだ。

シド老人が楽観したように国民がルシルを受け入れるはずもなく、小さい暴動が国中で起こった。

アレスの愚行で食料に余裕の無くなったグリフィアから十分な援助が受けられなかったのも一因だろうが、冬が終わる頃には飢えた国民が暴徒と化した。

その中でルシルとシド老人がグリフィアへ亡命出来たのは、悪運と言うか奇跡としか言えない。

亡命したグリフィアもけして安住の地では無かった。

家族を失った者の怒りは消えず、怒りに飢えが重なりグリフィアの国も一触即発の危険を孕んでいた。

帰国した農民の兵から、嫌でもグリフィアが知られたくない情報も流れる。

いや、シリウスはそれも読んでいたのだろう。

国民の目をアレスに向けるよう仕向けた報告もある。

餓えと怒りで暴徒化した国民に王が逃がした事になってるアレスの居場所を教え、惨殺させた。

表には出ないが、グリフィア王家はアレスの犠牲で増えすぎた人口をバルスへ移し、国民の怒りを王家から反らした。

バルスと背中合わせにあるモルグが、バルスの領地を狙って動いたがそれでなくても足りない食料を国民は渡さなかった。



春になる頃。

地図からバルスの国が消え、新しく小さな国がいくつも出来た。

いずれ生き延びた国がバルスの地を守っていくだろう。

そしてフィアは、前王の喪が明けてロナルドの戴冠式とハロルドとシルビアの結婚式が執り行われた。

「先にマーズだと思うんだけど」

ハロルドが離れて立つマーズとベルを見て、面白くなさそうに隣のアランに言った。

花嫁の親代わりとしてその場にいたアランは、ハロルドと違う意味の視線を投げた。

「互いに歩み寄ろうとはしてるんですから」

アランが形だけ言う。

今日だけは、妹の結婚相手、王子ハロルドとして接すると決めていたアランは敬語を崩さない。

「本気で思ってないよね」

互いに好ましく思っていても2人の溝は深い。

「無知なんです」

「最初に比べれば滅茶苦茶な進歩だよ」

「マーズの后になるにはそれでは駄目なんです」

アランだけじゃない、ハンナやラルフも事ある度にベルに教えてきていた。

「側室ならマナーも何もいらないんだけどね」

「自分で言ってみて下さい」

アランの冷たい声が返って来た。

「ベルはまだ17だよ」

「マーズは24です」

ハロルドはなだめるつもりが不発に終わった。

「最近はフロルと手紙を交わしてるのもあってハンナは好きにさせています」

「うっそ」

ハロルドが焦った声を出した。

「好意と愛情の線引きがベルの中に無いのが問題を大きくしていて、ハンナは呆れて手を引きました」

「ベルは愛情に飢えてるのに、マーズは簡単には信頼も愛情もくれないから、不安なんだよ」

「ロディはマーズの花嫁候補を探すためにまた舞踏会をしようとしてますよ」

アランもお手上げだと肩を上げた。

「あれからもう2年経つんだね」

アランも頷いた。

「舞踏会が切っ掛けでまた変わるかもね」





言い訳(T-T)


このストーリーは

8年くらい前に

もう書くだけになっていた

話です


書き手が年を取ると

キャラの動きや考えも

年相応に違ってきていて


出来上がってた話だったのに

書き出したら色々違ってきて

初めの予定に反して

匂わせて終わってしまいました

ご免なさい

m(__)m



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