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そのまま抱きしめられる・・・こともなく手を貸していただいてベットから出ました。
抱きしめてくれるのかも!!なんてちょっと期待してしまったので、恥ずかしくて顔があげられません。
自分の足で床に敷かれているじゅうたんにに立ったとき、ちょっとよろけてしまったのは仕方ないのです!だってふわふわなんですのよ。もう、ふわふわ許すまじ。
「っ、おい、大丈夫か。」
「も、申し訳ありません。足元が不安でして・・・。」
そう言われて急に体が持ち上げられたと思ったら横抱きにされました。ぎゅうう・・・と、持ち上げられた上に二の腕でホールドされていては動かせるところは目と口しかありません。
「じじじ、ジーク様。おろしていただきたいのですが。」
「いや、このままフリューゲルスの馬車に運ぶ。すこしの辛抱だ。」
えええ!!なんだか大変なことになってしまいました。ど、どどうしたらい、いい、のでしょうか!!
「ジーク様、もう大丈夫です。このままだとご迷惑が・・・」
「迷惑? 婚約者が倒れたのに世話をしないほうが駄目だろう。リリアンはおとなしく運ばれとけばいい。」
「でもでも、わたし、重くないですか・・・?」
「ああ? 重くないぞ。リリアンは小さいしな。これがカレンだったら運べないところだったぞ。」
アイツ、でかいからな。なんて楽しそうに話しているジーク様を見ると、さっきまで高揚していた気分が一気にしぼんでしまいました。ため息も出ません。
「なんだ、リリアン、急に顔色が悪くなったぞ。大丈夫か? 」
「大丈夫・・・やっぱり大丈夫ではありません。今日はこのまま帰ります。」
「わかった。ではこのまま送ろう。」
「いえ、それは結構です。その、ハーミット様に今日会えなかったことを申し訳ありません、と、お伝えください。」
「ああ、それはいいが・・・。」
ちょっと最後のジーク様の一言は効きましたわ。それはあのナイスバディーと比べたら私なんてちんちくりんですよね。
ジーク様がフリューゲルスの馬車前まで運んでくれた時には馬車の前で心配そうにしているお父様とお母様、リンゼイ兄様と泣いているシルフィ様が待っていました。
「あー、ジークリオン君。すまなかったね。話は宰相様から聞いたよ。ご苦労様。」
「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。」
「リリアン、すまなかった。俺が離れたばっかりに・・・。」
『リリー!!すまない。あの部屋は私でも入れなっかった!!気づかなくてごべんなだい~~』
ああ、シルフィ様。そんなに泣かないでくださいませ。
「申し訳ありません。私が軽率でした。」
「ああ、そのことはもういいよ。リリアンが無事に戻ってきたんだ。後でゆっくりと話してもらうよ。」
お父様がジーク様に優し気におっしゃったと思ったら、後半の部分は私に向けて、しかも目が笑っていません。そうですわね、ごまかすことはできないのならすべてお話ししましょう。私もちょっと気になることがいくつかあります。
「ジークリオン、もういいよ。ここからは俺がリリアンを連れて帰るから。」
リンゼイ兄様が言うが早いかジーク様に抱き上げられている私を受け取ろうと一気に距離を詰めてきました。目が笑ってない笑顔で近づいてくるなんて怖いです。
「わかりました。リンゼイお兄様。このままリリアンを渡すのは危ないので、私がこのまま馬車内まで運びます。」
「はあ? 俺がリリアンを落とすなんてことするわけないだろう。」
「ですが、リリアンが私にしがみついているので。失礼します。」
誤解です!横抱きって意外と揺れるんですのよ!掴むところもなくて不安定ですもの、少しくらい服をつかんでも悪くないはずです・・・よね?言い切ったジーク様がそのままぐいっと強引に馬車に近づきます。私とジーク様に近づこうとしたリンゼイ兄様はお母様に軽く止められています。
そのまま私を抱えたジーク様はフリューゲルス家の馬車の中に私を運び入れました。そっと座席の上におろしてくれたのでぎゅっと握っていた手を離すと、握っていたところがものすごくしわしわになっています。
これはやってしまったかもしれません。慌てて右手でジーク様の胸元のしわを伸ばしていると右手をそっとつかまれました。
「具合が悪いって、無理したのか? それとも誰かに何かされたのか? 」
「いえ、なにもされてはおりませんわ。ただ、久しぶりでしたので、緊張して前夜によく眠れなかったのです。」
「そうか。今日はゆっくりと休むといいよ。」
「はい、ありがとうございます。あの、ジーク様はこの後はどうなさるのですか? 」
「仕事に戻ることになりそうだ。なにかあるのか? 」
「そうですか。じゃあ、またハーミット様とご一緒ですね。」
「ああ、そうなるな。」
「・・・。それではお休みなさいませ。」
微笑みながらジーク様に挨拶をしました。




