閑話 ~リンゼイとシルフィの内緒話~
いつもありがとうございます。
活動報告の方で「婚約者の好きな人」のハロウィン小話を載せました。
少しパロディ風味ですが、よろしかったらお読みください。よろしくお願いします。
(追記)
『「婚約者の好きな人」こぼれ話』にハロウィン小話を入れました。よろしければこちらをどうぞ。
http://ncode.syosetu.com/n9595dy/
「聖霊サマよ、これはちっとやばくねえか? 」
「ああ、ソウダナ。リリーが心配だ。」
リリアンがいなくなってから一刻、さすがに心配になってきた。
シルフィが支度室を見に行くとせわしなく仕事をしている侍女たちと、身支度を整えている貴族の子女たちでいっぱいだった。しかしそこにはリリアンの姿だけがなかったのだ。
支度部屋の前にいる立ち番はリンゼイが話しかけると目を輝かしながら大喜びで話してくれた。
いわく、フリューゲルス家のリリアン嬢は一人で管理棟の方へ向かって歩いて行った。
廊下に飾ってある調度品を観察しながらうっとりとしていたらしい。
「リリアンに間違いなさそうだがなあ、ったくよ、あれほど言ってたのにな。」
「リリーは無防備だしノ。」
そこがかわいいんじゃがな、と言うシルフィ様に苦笑いを返すリンゼイ。
「まあ、確かにリリアンは人がよすぎる。器がでかいとでも言うのかな。」
「ああ、そうかもしれんの。ワタシのことも普通は受け止めきれん人間が多いからな。」
「そうなのか? 俺の知ってる『契約者』の奴は、スケールのでかい馬鹿で器だけはでかいぞ。」
「ふっ、どうやらいい友人に恵まれたようダナ。」
「ええ・・・。まあ、そうかな? 」
「そんな『契約者』を持てたワタシも、聖霊も幸せ者だナ。」
「今度紹介してやるよ。」
「ホントか!楽しみがまた増えたナ。」
そう言い終わるとシルフィは真面目な顔で目をつぶって何かをしだした。
しばらくじっと待っていたリンゼイは何かをしてるんだろう、超、能力的な、なんて考えて待っていた。
ちょっと時間がたって、聖霊様にしてはなんか時間がかかってるな~、何て思ってシルフィの方を見たリンゼイはぎょっとした。
シルフィが泣いていたのだ。ポロポロと落とす涙はそのまま床に落ちるが、キラキラと輝いている。そういえば、と、リンゼイは思い出した。聖霊の涙は万病の薬として法外な値段で取引されていることを。そんなことより超絶自信家のシルフィが泣いていることの方が異常だ。
「どうしたんだよ、聖霊サマ。どっか痛いのか?」
泣きながら首を横に振るシルフィ。まさか、リリアンに何かがと、最悪な事態が脳裏に浮かぶ。
「イヤ、リリーが無事なのは間違いないが、どこにいるのかわからない。魂のカタチを追うが途中であやふやになって追えなくなる。」
こんなのことはハジメテダ!どうしよう、と動揺しているシルフィに少し考え事をしていたリンゼイは納得した顔になった。
「聖霊さんよ、すげえヒントだぜ。リリアンのいる場所が絞れた。王城の中心部だ。」
さすがだよなー、なんて言うリンゼイにキョトンとするシルフィ。聖霊の涙もすくわずにリリアンのことを考えるなんて・・・と、涙もとまり、それならばありがたいと普段の威厳のある顔に戻った。
「なにアタリマエなこと言ってイル。ワタシがすごいのはイツモのことだろう。さあ、早くリリーのところに連れていけ。」
普段の調子に戻ったシルフィを見てもリンゼイは茶化すことなくなくリリアンにしてやるお仕置きを考えながら速足で歩きつづけた。
段々とネタが尽きてきた頃に前からずんずんと顔を憤怒に染めた男がやって来るのが見えた。
シルフィとリンゼイは顔を見合わせて首をかしげた。
「何でここにオオキイ人間がいるのだ?」
「さあ?たしか、婚約者をエスコートもできないくらいの忙しさだったはずだよなあ。」
ちょっと剣呑な雰囲気になったリンゼイの肩にちょこんと座るシルフィに諭されて、少し冷静になったリンゼイが、それでも挑発しながらジークリオンに話しかける。
「何で婚約者を人任せにしている坊やがここにいるんだ?」
「リリアンがいなくなって探してるんだろう。俺のところに今、連絡が来た。リリアンが倒れたらしい。」
「何で坊やが知っているんだ。坊やに連絡がいくわけがわからん。」
「俺がリリアンの正式な婚約者で、倒れたリリアンを助けてくれたのが俺の上司だからだ。」
「宰相が?リリアンは何でそんなやつのところで倒れるのか・・・。面倒なことになった。」
「ああ、それについては同感だ。」
一瞬わかり合っちゃった二人だったが、次の瞬間にはまた仲の悪い二人に戻っていた。
「と、言うような訳で、申し訳ないがお引き取り願おう。」
「ああ、仕方ないな。リリアンのことは頼んだ。だが、俺はまだ認めてないからな。」
「わかってる。そのことはいずれ決着をつけるつもりだ。」
シルフィはなんとなくの結末が見えていたが黙っておくことにした。ものすごくぶりに動揺してしまって泣いたことが恥ずかしかったからだ。
『ふん。どんなにオマエラが争ったとしても、リリーはワタシのモノだからな。』
せめて前の契約者とは同じ道をたどるな、たどらせまい、と思うシルフィだった。
騎士A 「お、おれ、炎の騎士に話しかけられちゃったんだぜ。」
騎士たち 「「な、に! どこで!」」
騎士A 「この間の夜会でさあ・・・」
騎士たち 「「まじでか!!」」
このあとから夜会の仕事へのモチベーションが上がる騎士たちと、理由がわからずに首をひねる騎士隊長。




