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リンゼイ兄様が従兄だったということは、とりあえず横に置いておくことにしました。
急に分かったことなので、今すぐに結論が出せないからです。
ましてや、私の婚約者はジーク様で、好きな人もジーク様。今までさぼっていた交流を始めたばかりでいろいろと心が落ち着かない時に、リンゼイ兄様が従兄でましてや告白されたなんて、混乱してくださいと言われているみたいで頭が痛くなってきます。
この後、ハーミット様との対決が待っているんですのよ!
「くくっ。リリアンはホントに顔に全部出るなあ。あーカワイー。」
「失礼ですわね。淑女は感情を表に出さないものなのですよ。」
「うん。大丈夫、大丈夫。気負わなくてもだいじょーぶだって。リリアンに勝てる子なんていないよ?俺が保証する。」
ああ、一気に胡散臭くなりました。うちの人達は大げさなんです。大げさに褒められるとうれしいを乗り越えて恥ずかしいのですよ。自分の顔に熱がこもっているのがわかります。暑くなってきて扇で顔を隠しつつ空いている方の手でパタパタ顔をあおぎます。
ふー、変な汗が出てきました。お化粧も崩れてきていませんかね。ちょっと失礼してお化粧を直してこようかしら。
「リンゼイ兄様、ちょっとお化粧を直したいのですが。」
「ん?呼び方が戻ってるぜー。まあ、いいよ。控室まで連れて行ってあげる。」
主催者側が用意してくれた支度部屋にリンゼイ兄様と行くと、メイクと着付けの侍女さんたちが待機しています。ここでリンゼイ兄様と別れ、あとでリンゼイ兄様が迎えに来てくれることになりました。
「自分で会場まで戻れますわよ?」
「おやじの言ったこと忘れたのか?」
でこピンされて思わず額を押さえてしまいました。
ちょっと痛くてリンゼイ兄様の顔を見ながらにらみつけてやりました。
「またそうやってなー。」
「ああ、あざといナ。」
「もう、シルフィ様まで。」
「まあ、そうむくれるな。可愛いだけだから。」
「またそんなこと言って・・・。」
脱力感が私を襲います。力が抜けて動けなくなる前に早く支度部屋に行かなくては。
「リリアン、支度部屋に俺は入れないから聖霊サマについててもらえ。」
「なんかおおげさではないですか?」
「大げさも何も、リリアンが大事なんだからしょうがないだろ。不満ならこのままうちに連れ帰ってもいいんだが。」
「・・・わかりました。申し訳ありませんがシルフィ様、お願いいたします。」
このまま退散するなんて納得できませんからね。せめて身を引くにしても、ジーク様が幸せになれるという確信をハーミット様の中に確認しないと引き下がれません。
リンゼイ兄様と別れて支度部屋に入りましたが、もう、ため息しか出ませんでした。
「も、申し訳ありません。」
「大変失礼いたしました。」
メイクを直していただいている最中に何度めかのため息をはいたときでした。
私のメイクをしていた侍女さん達が謝罪をしてきました。
一瞬何が起こったか分からなかったですが、私のため息をメイクに対する不満だととらえられてしまったことに気づきました。
「ああ、違うんです。こちらこそごめんなさい。今悩んでいることがあって、どうしても嫌なことばかり浮かんでしまうので、ついため息をついてしまったの。」
キョトンとしている侍女さん達にあわてて言いつのります。
「あなた達にメイクしてもらって不満どころか満足しかないわ。特にこのつり目の私を柔らかく見えるようなメイクはとっても好みです。」
本当よ!と言うと侍女さん達は控えめに微笑んで、ありがとうございます。大変光栄です。と、言いました。どうやら誤解が解けたようでよかったです。
「あの、差し出がましいことを言うことをおゆるしください。フリューゲルス家のリリアン様とお見受けいたします。」
「ええ、そうですけれども、よくわかりましたわね。」
「はい。お噂はよく聞いております。」
「な、どんな噂か恐いのですけれど。」
「フリューゲルス家の至宝、たおやかで穏やかな方、艶やかな髪は美しく・・・」
「もう、もういいです・・・。」
どんな噂ですの?それ、私のことですの?
なんだか本人とかけ離れているような気がしますけれど、シルフィ様もうなずいてる場合ではないですよ。
『何でだ?リリーは至宝だゾ』
「噂通りの方、いや、それ以上な方でとてもお優しい方だと思いました。侍女に当たり散らすことはありますが、謝っていただく方なんてほとんどいらっしゃいません。」
「私たちにできることはメイクです。この後の対決、頑張ってください。微力ながら応援いたします。」
なんでそんなことまで知られているんですか!噂話は想像以上に怖いですわ。
「失礼ですけれども、対決って何のことでしょうか。そんなような噂が流れているんですの?」
「はい。ハーミット様は性格的にもフリューゲルス家のジークリオン様には合わないと思います。ジークリオン様は幼少の頃から結婚を約束している方を溺愛しているそうですし、それだってフリューゲルス家のリリアン様だって知られています。」
「たまに無謀な令嬢がジークリオン様にお誘いを掛けていますが、はっきりいってフリューゲルスの至宝であるリリアン様に太刀打ちできるような方はいらっしゃいません。ジークリオン様はそれはもう本っっっ当に見事なほど浮いた噂がございませんし、どのような女性がそばに来ても紳士的な対応を崩しはしません。」
「唯一崩すのは副隊長のハーミット様とご一緒の時で、それもまた、同僚の方にしているようになさっておられるのですもの。口さがない方は二人は親密であるなどと勝手に言っておりますが、ハーミット様にはすでに心に決めた方がいらっしゃるそうですし、それは決して隊長様ではないことを私たちが確認しております。」
「なのでリリアン様には何の憂いもなく対決していただきたいのですわ。相手はハーミット様ではなく、隊長様を狙っている令嬢どもです。 」
「それどころか、ハーミット様はリリアン様の味方ですっ。」
なんですって?味方ですか?
侍女さん達のマシンガントーク炸裂




