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婚約者の好きな人  作者: ねいと
婚約者の好きな人
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二話投稿しています。2/2

ドット(リリアン父)、過去を語る。 

******


私には素晴らしい兄がいてな、騎士学校を優秀な成績で卒業し、人望もあり、フリューゲルスを継ぐためにたゆまぬ努力をする方だった。

私はそんな兄を支えて生きるために必要なスキルを磨こうと他国へ留学もしたんだ。

父が亡くなり、領地と爵位を継いだ兄は敏腕をふるい、フリューゲルスのためにと政略結婚はしたが、義姉との仲は良好でとても仲睦まじい夫婦だったよ。

結婚式を挙げ、ハネムーンには行けなかったが、2、3年後に私が留学先から帰ってから休暇を取って旅に出かけることになっていた。

私が留学先で成果を上げ、お墨付きを頂いたころには義姉の髪色を受け継いだ可愛い後継ぎが生まれた。


それがリンゼイだ。


留学先から誕生プレゼントを贈り、自分のことのようにうれしかったのを昨日のように覚えているよ。

そのあと私も領地に帰り、カトリーヌと出会い、口説き落として結婚したんだ。それで生まれたのがハンスだよ。

すべてが順調に進み、このまま平穏に時間が過ぎていくのかと思っていたが、それは間違いだった。


リンゼイが6歳になり、ハンスが3歳、リリアンが生まれた年のことだった。その年は天候が不順で領地というよりも国中、大陸中がおかしかった。

猛暑かと思えば長雨が続き、暴風雨も何度も来て河川の氾濫もすごかった。すべてが後手後手に回り国中が疲弊していた。

そんな時、領地のはじにある村で魔獣騒ぎがおこった。

ただでさえ苦しんでいる上にさらに魔獣が襲ってくるなんて、小さな村には大打撃だ。急いで討伐隊を派遣して、その報告を待たずに兄夫婦たちも視察に出発した。

危険だからと止めたが、領地の現状を把握したいと、早く平穏な暮らしに戻れるように手を尽くしたいといって出かけて行った。

魔獣騒ぎも収まり、視察も順調に進みあとは帰るだけになって討伐隊を帰し、少人数の護衛を連れて帰途に就いた時だった。

途中で差し掛かった山道で土砂崩れが起きたんだ。連日の豪雨で地盤が緩んでいたらしい。その事故に巻き込まれて兄夫婦は亡くなった。

後継問題が起こり、兄夫婦の喪が明ける前なのにリンゼイ派と私の派に分かれ争いが起きようとしていた。それで長男としてリンゼイを引き取り、私はリンゼイが16歳になるまで中継ぎの領主になることで事態を収束させることにした。そしてリンゼイが16歳になり後継のことを話すと


「俺は騎士になる。領主なんてガラじゃないし、まつりごとなんてさっぱりだ。俺は手が二本しかないし、守れるものにも限度がある。おじさんの方がたくさんのものを守る力がある。俺の代で取り潰すより、このままおじさんが領主をやってハンスが継げばいいよ。」


そう言って国家試験を受けて騎士の中でも難関な王家直属の自由騎士になってしまった。大変名誉なことだが、もうフリューゲルスの領主にはなれない。なにせ国中を放浪しているんだ。

私はいまだにこれでよかったのかと、無理矢理に騎士にさせてしまったのかと後悔をしているよ。


******


おじさんには悪いが、俺はおじさんが本当のおやじだと思ってるし、騎士になったのも決して後継問題のせいじゃない。俺はなりたくて自由騎士になったんだ。

養子のことはリリアンに妹として接してたから俺からは言いにくかったし、てっきりおやじが話してると思ってた。まあ、途中からは何も知らないんじゃないかって思ってたけどね。

今までと同じように『リンゼイ兄様』って呼んでくれてもかまわないし、恋人にしてくれるなら『リンディー』って呼んでくれてもいいよ。俺としてもそのほうが嬉しいし。

俺が守りたいのはいつもいつも『リンディーにいたまー』って追いかけてきた笑顔の可愛い子猫ちゃんなんだよ。




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