閑話~シルフィとリンゼイの聖霊講座~
「シルフィーさんよ」
シルフィ、リンゼイに向かって無言で気弾を撃ち込む。
「いててて!なんだよ、急に。」
「オマエに呼び捨てを許したことはナイ。私の名前を呼び捨てできるのは『契約』したリリーだけダ!」
「ああ、すまんよ、聖霊様。ところで『契約』って何なんだよ。」
「オマエは反省の色が見えんナ。フン。まあいい。お前みたいなのは嫌いじゃない。」
腕を組みながらリンゼイの周りを飛び回るシルフィ。
「『契約』っていうのは、聖霊のお気に入りってシルシだ。」
ふわふわ飛んでいたシルフィがデスクの上に座ると、リンゼイがシルフィ用に香茶をカップに入れてシルフィの前に置いた。
「『契約』という言葉自体は人間の方で言い出した言葉ダ。聖霊はお気に入りの人間を持つものと持たないものがいる。
『契約』をするとその聖霊と意思疎通ができるようになるのダ。ほかの人間と『契約』している聖霊とははっきりとは意思疎通できないが、なんとなく言っていることが伝わるらしい。」
「『契約』する聖霊としない聖霊はどんな違いがあるんだ?」
「『契約』する聖霊のほうが上位で力があり、『契約』しない聖霊はまだ幼く力がないことが多いな。
マア、もともとお気に入りになる人間というのは、聖霊たちに気に入られるだけの要素があるってことだな。」
「へ~聖霊に好かれる要素ね~。リリアンはなんでシルフィ様に好かれたんだ?」
「そ、それは、・・・何だか心地よい人間がきたなと思って遊ぼうと思ったら失敗してしまったんだ。」
「ああ~、あれか。」
にやにやしながらシルフィ様の方を見ているリンゼイ。
「し、仕方なくお気に入りにしてやったんだ。べ、別にリリーが好きだからとかじゃないからな!そこを間違えるなヨ!」
真っ赤になってどもるシルフィ様を生暖かい目で見ているリンゼイ。
「ところで、聖霊ってのはどんな存在なんだよ。」
「ああ、聖霊っていうのは自然界にいる『素』ダナ。」
「『素』?」
「『素』、というのはオマエたち生き物が祈ったり敬ったりしている神の使いだ。」
「使い?」
「ソウダ。お前たちが作物を作っている時に土に感謝するだろ?そうしたら『土の聖霊』が生まれる。
海に出ているものは水や風に感謝するだろ?すると・・・」
ぽんっ!と手を打ちながらリンゼイが答える。
「『水の聖霊』と『風の聖霊』が生まれるわけか。」
「フフ、呑み込みが早いな。イイゾ。流石リリーの兄ダ。聖霊が多くいる場所ほど神の加護が強いというコトにナルナ。」
「あんがとよ。でもシルフィ様は結構力のある聖霊サマだろ?」
「ウム。聖霊の中でもそれぞれを束ねる長がいて、当然ながら生まれてから時間が経ち、力の強いやつが長になるのダ。ま、当たり前だが風の聖霊の長はワタシだ!」
フン!と腰に手を当ててふんぞり返っているシルフィ。
「何でも聞くがいいゾ!」
それじゃあ、とリンゼイ。
「リリアンの腕にある『証』。あれは何だ?」
「あれは聖霊のお気に入りというシルシだな。リリーの腕にある『証』はワタシの文様ダ。聖霊ごとに文様が違うから読み解けばどの聖霊のお気に入りの人間なのかわかるようになってイル。」
「は~~~~。なるほどね。ほかの文様を見てみたいけど、なかなか『契約』している人はいないんだよな。」
「まあな。ワレワレのお気に入りになるのはとても難しい事なんダヨ。リリーは自慢していいんだゾ」
「ああ、あんまり声高に言ってしまうと、害が出るんだよ。」
「ナニ!!」
「あんまり聖霊様のお気に入りになるやつがいないから、希少価値が出てきてしまってな、誘拐もだが、政治問題や継承権などに巻き込まれて不幸になる事件が少なくないんだ。」
「ソンナノ私が蹴散らしてやるゾ。細切れにシテヤル!」
「ああ、俺もそこは同感だが、聖霊が力を使って人を苦しめることが好きな性悪は聖霊のお気に入りなんかなれないだろ。」
「そんな奴に聖霊は近づかないダロウ。」
「だよな~。いいやつがお気に入りになるんだ。中には騙されて苦しむうちに不幸になるんだ。」
「・・・。」
「これも、人間側の問題なんだから聖霊サマのシルフィ様には関係ないってことだが、リリーのことだけは守ってくれよ。」
「うう、モチロンダ!このシルフィ様に任せろ!!」
「頼んだぜ。シルフィ様。」
いつの間にかデスクの上の香茶がお酒に変わっている。シルフィもリンゼイも底なしのように飲み続け、いつの間にか夜も更けていきました。




