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第15話:巨大ダンジョン中層への挑戦と、買い出しドライブ

Sランクダンジョン『氷狼の霊峰』での大金星により、3,500万円という莫大な報酬と「Bランク探索者」の資格を手に入れた島崎と葵。


次なる目的地に選んだのは、全100階層からなり、世界中の探索者が挑む巨大階層型ダンジョン――『富士地下大樹海ダンジョン』だった。


このダンジョンは、一度足を踏み入れると20階層以下の中層エリアからは地上へ戻るのが困難となり、何日もダンジョン内で過ごす「長期野営(キャンプ)」が必須となる場所だ。


「富士地下ダンジョンの20階層以下(中層)ですか……! あそこは数日掛かりの探索になるので、普通のパーティーは冷たい携帯食料と固い地面のテントで耐え忍ぶと聞いています」


「ああ。だからこそ、我がパーティーの『拠点』を強化しておく必要がある」


自宅ガレージにて、島崎は手に入れた予算を惜しみなく投入し、軽トラの魔改造に着手していた。


『――システムビルド:Kei_Truck_Camp_Edition』

『――新モジュール組み込み:Kitchen_Module_v1(全自動調理・冷凍冷蔵庫)』

『――快適野営コード展開:Tarp_Barrier(防虫・防魔力タープ空間生成)』


トントン、とキーを叩くと、軽トラの荷台側面がウイング状に開き、中からシステムキッチン並みの調理スペースと、冷え冷えの大型冷蔵庫が姿を現した。

さらに荷台のルーフからは、雨風や魔物を完全にシャットアウトする「防魔バリアタープ」が自動展開される仕組みだ。


「すごいです島崎さん! これならダンジョンの中でも、できたての温かいご飯が食べられますね!」


「ふふ、食は基本だからな。……よし葵、さっそく大型スーパーへ食材とお酒の買い出しに行こう」


「はいっ! お買いものドライブですね!」


◆


近所の大型スーパーの駐車場。


カートを押す葵は、まるで新婚妻のようにソワソワと嬉しそうだ。


「島崎さん、今夜はダンジョンの前に決起集会をしましょう! 何か食べたいものはありますか?」


「そうだな……黒毛和牛のステーキ肉に、手頃な刺身。それと缶ビールに日本酒か。荷台の冷蔵庫なら保冷材の心配をせずに、いつでもキンキンに冷やせるからな」


「いいですね! 私、島崎さんの好みに合わせて、おつまみも作っちゃいます!」


「それは助かる。葵の手料理は美味いからな」


「〜〜〜っ! 任せてください!」


島崎に褒められ、葵は頬をぽっと赤らめて嬉しそうに胸を張る。

カートの中に和牛ロース、新鮮なホタテ、地酒の瓶、そして二人が大好きなアイスクリームが次々と放り込まれていった。


傍から見れば、年の離れた仲睦まじいカップル、あるいは新婚夫婦の日常にしか見えない。

過酷なダンジョン中層へ挑む緊迫感など、二人の間には微塵もなかった。


「よし、仕込みは完璧だ。軽トラの積み込みも終わった」


積み込みを終え、助手席に乗り込んだ葵は、島崎の顔をじっと見つめると、少し照れくさそうにシートベルトを締め直した。


「島崎さん。……私、会社を辞めて島崎さんと一緒にいられて、本当によかったです」


「ん? 急にどうした」


「ううん、なんでもありません! 明日のダンジョンキャンプ、すごく楽しみですっていう報告です!」


「ああ。最高に快適なキャンプにしてやろう」


車内に広がる、穏やかで甘い空気。

冷えた缶ビールと極上の食材を積んだ【快適野営仕様の軽トラ】は、明日からの「中層ダンジョン攻略」へ向け、静かにエンジンを響かせるのだった――!

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