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誘拐犯・・・②

複数話投稿したので1話から読んで見てください。

「試作型体細胞増殖強化薬 β1?・・・」

俺は、初めてこの世界に来て衝撃を受けた。驚きはした事がある。

スキルが使え、前いた世界とほぼ同じ世界。  

仮想世界での強くなっていく実感。本当にこれは現実なのかと驚きと興奮を感じていた。

しかし、これは知らない。分かる訳がない。こんなのが前の世界にあったのか?いや、ある訳がない。

前の世界でも戦争は起きていた。けどそんなSFみたいな薬があるのならどっかの国は滅んでいる。


「しかも、まだ俺が小学生の時だぞ。でも、待て。俺が小学生の頃に子供の誘拐事件などあっただろうか?」

思考の濁流に流されていく。考えても考えても答えは出ない。女神との出会い、前の世界の出来事などが走馬灯のように思い出し。思考が一切進まない。まとまらない。


「俺は、今何を・・、ここは、どこで、一体・・・・」

「マスター!来ます!」

そんな事をぶつぶつと呟いているとアルファの音声が聞こえた。

その時、目の前に2メートルを超える異形の化け物の拳が迫っていた。俺はそれを反射的に捉え、全力で回避する。結果、俺は廃工場を突き抜け廃工場のゴミ捨て場に居た。


「ゴホッ、クソ、一体何が・・・」

今の俺には、何が何だかまるで分からなかった。目の前に拳があって、それを避けたらゴミ捨て場にいる。

「瞬間移動?、いや、俺はそんなスキルを女神から貰ったか?」

その原因を考えるが思考が回らず無知蒙昧な事を喋り続ける。


「大丈夫ですか?マスター・・・」

その時、アルファが俺を心配して目の前に来ていた。だが俺は、アルファの声よりも先に違和感を感じた。俺の周辺に影が出来ていたからだ。上を見ると異形の怪物が真上にいた。

「クソ!」

そう言って、俺はまたジャンプをしてその場所から離れる。

「クソ、思考が全くまとまらない。アルファ!今、どんな状態だ」

アルファに質問しながらもただひたすら全力で走った。

「敵が強化薬を投与し、筋肉が増加、能力値が約1000%上昇しています」

「さっきのドス黒い液体か。てか、アルファ!さっきから思考がまとまらない。これもあの薬のせいなのか?」


「いえ、違います。β1に他者を影響する効果はありません。マスターが今の状態なのは、スキルの影響です。

神が授けた肉体の思考の適応により思考が高速化され、それにより今の状態となっています」


「なるほど、そういう事か」

確かにアルファと話してから思考の濁流がなくなっている。適応が終わったのか中断したのかのどちらかだろう。

「んで、俺がゴミ捨て場にいたのは、その神が授けた肉体によって相手の能力に適応したからここまで飛んだって事だよな?」


「そういう事になります」

思考がある程度回復し、状況を把握した。ならば反撃の狼煙を上げるべきだろう。


「なるほど。それじゃあ、、、反撃開始だ!」

「ですが、マスター・・」

アルファの声は主には届かず、◾️◾️は、逃走劇から一転して敵の方へと向かう。


神が授けた肉体により相手と俺のステータスは同等。

体が小さい俺なら巨腕の攻撃をよけ相手に攻撃できる。


「ヴァぁぁぁ、い、イアンナああああああ・・・・」

予想通り、敵の攻撃は当たらず、木の丸太より太い巨腕は空を切る。


「隙だらけだぜ、木偶の坊が!」

この異形の化け物のフィジカルはものすごいものだった。地面を踏み締めるだけでクレーターができ、

移動による風圧で地面に落ちている砂や塵、木の葉が宙を舞う。


「だが、それは俺も同じ事・・・」

流麗の如く異形の怪物の周りを一切のスピードを落とさずに縦横無尽に動いていく。

異形の怪物は反応ができず、ただ佇むのみ。

『よし、いける!!』

その隙を見逃さず、筋肉が少ない体の部位、関節などの弱い部分に打撃を叩き込んでいく。

一切のスピードを落とさず、その上で技術による衝撃を逃さない打撃は、怪物の動きを止め、両膝の膝関節の攻撃を

することで膝をつかせる事に成功する。


「これで終わりだ・・・」

今までの中での最も大きな隙。ならやる事は一つ。今出せる全力の一撃を叩き込む。


◾️◾️は、千載一遇のチャンスにも関わらず異形の怪物から距離をとった。


『あの怪物に数十発、筋肉が少ない所に打ち込んだ。だが、ダメージは、少ない。

 なら必要なのは数ではなく、質。どれだけ高い一撃を弱点に放てるか。狙うは、首!』


その構えは、まるで陸上のスターティングのようだった。だが、違う点がある。

地面は抉れ、指に至っては地面に食い込んでいる。

全身の筋肉に血管が走り、今にも破裂しそうだ。全身の筋肉を使い溜めた力は、◾️◾️の合図を持って解放される。

解放された一撃は、古代ギリシャに存在した忍耐と強靭な盾の国 スパルタの技に似ていた。

その名は、決して折れぬ意志のスパルタス ドリー


全身の筋肉から放たれるその一撃は、まさしく常人の身からすれば神速であった。

・・だが、それが決定打となる事はなかった。


「は?なんで、、スピードと威力は充分なはず・・」

◾️◾️の考えは、合っていた。では、何が間違っていたのか?

それは、異形の怪物と◾️◾️のステータスは同じではなく。◾️◾️の方が低い。

理由は、スキルの限界。そもそも、神が授けた肉体があらゆる状況への適応ならば、思考の濁流に飲まれる事などありはしない。女神との出会い時のスキル決定時にスキルは、善行レベルによって強化されるとある。その上、成長途中である小学生の体で異形の怪物のステータスに適応など出来る筈がなかった。


「グワ”ぁぁぁぁ・・・」

動きを止めていた異形の怪物が◾️◾️が考えている間に動き始めた。


「クソっ、まずは待避を・・・」

そう言って、積まれたガラクタの山に飛び乗ろうとジャンプをする。空中にいる間も油断せず、怪物の動きを見逃さない。しかし、それが仇となった。本来ならば決して起こさないミス。初めての実戦。訳が分からない状況と理解できない物体。それらが組み合わさり、3流でもしないミスをする。


『ガラクタに着地する瞬間にもう一度飛び、攻撃を喰らわせる。その後に、他の手段を考える」


集中力を極限まで上げて次の策を練る。その時、ガシャんと何かが崩れる音がした。

着地した所のガラクタが着地の衝撃により崩れたのだ。

異形の怪物に隙が出来たように、◾️◾️にも、隙ができてしまった。

ならば、この先の行動も一緒だろう。・・・結果は、どうか分からないが・・・


「ガァぁぁぁぁぁぁ・・・・・」

異形の怪物は、目の前の獲物が見せた隙を見逃さず今まで1番の攻撃をする。


『大丈夫だ。俺は、神が授けた肉体であいつと同じ防御力を持つ。俺の攻撃があいつに効かなかったように俺にも効く筈がない。ここは、ガードして、ダメージを最小限にして・・・ごはっ!」


その衝撃は、ものすごいものだった。全身の骨は軋み折れ、折れた骨が臓器に、脳に刺さり、意識が落ちようとしても、激痛とスキルにより落ちる事はない。そして、飛ばされた先は、廃工場のとある一室。


”ドゴーん”と飛ばされた◾️◾️は、全ての素材が鋼鉄らしき黒い金属で出来ている部屋に衝突する。衝突すると鍵がかけられてたドアをぶち破り、地面に倒れ伏す。


「ゴホッ、グハッ、オェェッ。こ”こ”は、一体どこ”だ?」

臓器を突き破ったは骨はスキルにより修復された。それによって、胃と肺に溜まった血を吐き出しながら周囲の状況を確認する。確認すると、眠っている子供達の姿があった。


「ここにいたのか・・・」

『誘拐犯を倒した後にゆっくり探そうと思っていたが、今見つかるのか。今の状況は、最悪と言ってもいい。

怪我が重症すぎて回復が間に合っておらず。仮に回復したとして相手に勝てる可能性は低い』


子供達を見つけた事で目的の居場所を把握できたのは嬉しかったが、◾️◾️は、今の状況を考え、どうするべきなのか心の中で悩んでいた。


「今すぐ、逃げる事を推奨します」

そんな中、声をかけてきたのは、アルファだった。


「ハッ、それをお前が言うのか、善行の機械であるお前が・・・」


善行のスキルを前提とするスキル。それなのにも関わらず目の前の機械は、善行らしからアドバイスをした。


「ペナルティを気にしているのならば問題ありません。マスターは、子供達を助けようと奮闘しました。それに、自分の命の危機がある時に誰かを見捨てることは、悪ではありません。それは、善です」


善とは、人や立場や条件によって変わってくるもの、アルファからすれば客観的に判断して子供達を見捨てて逃亡することは、善だったのだ。そう言ってアルファは、そう言って倒れ伏す子供に逃げる事を推奨してくる。しかし、それは、目の前で倒れ伏す子供からすれば正しさでも何でも無かった。


「逃げる?・・・誰が?・・どこへ?・・何のために?・・・」

女神と接した時と同じように段々と声量が上がっていく。そして、治りきらない体を無理に動かして、

丸い球体の機械であるアルファの前に行き◾️りをぶつける。

「ふざけるな!!前の世界でも逃げたのに、この世界でも逃げろだと!そんな物は、認めない!決して、断じて認める訳にはいかない!」

今、この心で燃えているものが何なのかを◾️◾️は理解していた。もう、使う事は、無いだろうと思っていたもの。

「俺は、俺の欲望のために!結末のためにこの世界に来た!ここで逃げ出すような奴が結末なんて語る資格なんてない!」

誰かの指示に従い、何から逃げる。それは、前の世界で自ら逃げたのと同じなのではないか?最終的に決めるのは、自分自身なのなら誰かの指示であろうと自分で決めた事なのだ。心の内側から◾️◾️が溢れてくる。目の前の丸い球体の機械にではなく、自分自身に・・・。

そう。その感情こそ、人が前へ進む力。己の中で燃やしづづけ、絶望の中でも突き進める。人が持つ不屈の炎。

                    ”憤りである”


「アルファ、あれを使う」

「危険です。今の状態で、さらに成長途中の体での反動が大きすぎます」

アルファは、主のあれが何なのか理解をしていた。仮想世界で実験的に行った修練で会得した技。危険であるが故に不死身であっても使用を抑えるように忠告したとても危険な技。


「そんなもん、不死身の俺には、関係ねぇ」

しかし、◾️◾️には、関係がなかった。死なずに自身の願いを叶えられるのなら、痛みなど安いものだからだ。

そう言った瞬間。◾️◾️の体のサイズが大きくなっていく。いや、成長していく。急激な成長により来ている服が合わずギチギチになる。

その効果は、もちろん「神が授けた肉体」。技を使うために適応を行なった。


「・・・・”修羅道”開門」

左腕を心臓に思いっきりぶつける。すると次第に、心臓の鼓動が早くなる。心臓の鼓動が早くなるにつれ、体温が上昇し、ある温度から細胞を分解しエネルギーに変換していく。さらに、髪は風も吹いていないのに靡き、身体は赤くなり、蒸気すら上げるようになる。


”修羅道”

心臓の鼓動を急速に早くすることで体をエネルギー分解し、ものすごい力を発揮する。だが、そんな無茶を技を行えば主要臓器が分解され、常人であれば数十秒で死に至る。だが、◾️◾️は、スキルにより不死身。

正しく永久機関の完成である。


「ヴァぁぁぁ、イ”ア”んな”ぁぁぁぁぁ」

「ああ、そうだな。お前も辛いだろ。なら、そろそろ決着をつけよう」


◾️◾️は、そう言って異形の怪物へ肉薄する。そのスピードは、決して折れぬ意志のスパルタス ドリー

よりも数段早かった。


「フンっ!・・・」

超絶技巧を持って一切のエネルギーの無駄なく、異形の怪物にスピードを乗せた一撃を土手っ腹に喰らわす。


「ダメですマスター!・・・効いていません」


「効いてないダァ?なら万発撃ちゃあいい話だろうが!」

今までの技術を使った攻撃ではなく、只々、がむしゃらに、質ではなく、数を重視した乱撃を打ちづづける。

「テメェが使った薬、名前からして細胞を分裂させて、強化するんだろう?けど、使用者が人間である以上、体の細胞分裂には上限がある!その限界までうちづつけりぁこっちの勝ちだ!・・」


「グゥ、グァああああ」

◾️◾️の勝鬨を聞いてまるで負けてられるかと言わんばかりに殴られ続けながらも剛腕を振おうとする。

「そっちがその気なら、冥土の土産に付き合ってやるよ!・・・」

互いに体は限界を超えており、意識が持つまでの消耗戦。ならば、どちらが先に大きな一撃が喰らわすかが鍵になる。避けてからの反撃を狙う事もできたが◾️◾️は、真っ向から打ち破る事に決めた。

 

どちらも互いに最後の全力を振り絞る。


「オ”オ”オ”オ”!!!・・・・」

「極真空手 正拳突き!・・・」

異形の怪物は、増殖の限界点である今の状態から放てる最高密度の攻撃を・・・

◾️◾️は、いい角度、良いタイミング、良い位置から放たれる。空手の極意を・・・


両者の攻撃がぶつかる時、廃工場内にものすごい衝撃波が発生する。

すでにボロボロだった廃工場は、その衝撃波に当てられ徐々に崩れていく。


「ウ”ウ”ウ”ウ”・・・・」

「グゥゥゥ・・・・」

互いの全力の一撃同士の衝突は、互角だった。筋力が上だった怪物の攻撃に◾️◾️は、技量を持って追いついた。しかし、その後は、どうなるのかは自明の理だった。


「マスター!」

徐々に押される主人を見てアルファは声をかける。


「あまり、俺を舐めるなよ。アルファ・・・」

『これは、アルファには、見せた事がない技』

その技は、仮想世界の中で感覚的に編み出した技。仮想世界で数百回を超える死と数千回を超える訓練から編み出された常人の極技。

「我流魔拳 反撃の衝撃カウンターインパクト


その技の効果は、受けた衝撃を体の中で流動させ、触れている相手に流すカウンター技。

それを受けた異形の怪物は、◾️◾️の攻撃と自身の攻撃、2つの衝撃を体内に送られ、内側から爆発した。


勝者 ◾️◾️◾️◾️




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