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転生したら違う世界だった件 魔女とダンジョンの運命の星(アルカナム・スター)  作者: 正体不明
安部家誘拐騒動

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リリスの選択

毎日投稿26日目!

そこは闇そのものだった。

最初に飛ばされた空間は暗闇だが、触れる事ができ歩く事が出来、見ることが出来ていた。

しかしここは、何も触れられず、ただ浮いていて、光すらない闇そのものだと強化された感覚がそう言っている。


「空間遮断、断絶を確認。浮遊制御を発動、視界オールクリア、適応を開始します」


機械的な文言の後に、すべての感覚が閉ざされていた檻のような闇の世界は、ただの世界になった。

闇そのものだった世界を認識、いや世界に適応したのだろう。


「大丈夫ですか、マスター」

「ああ、大丈夫だ」

先の文言よりも少し抑揚のある機械的な声に俺は、いつものように答えた。

「さて、どうしたものか・・・」

「逆にこちらが追い詰められましたね」

この先の行動を考えていると隣にいる相棒から返ってきたのは、予想外の答えだった。


「なんでだ?壊せばいいだけの話だろ」

「壊す事は可能ですが、、あまりお勧めできません」

主の暴力的な発想は、アルファには推奨できなかったらしい。


『壊せる事は大体感覚的に分かってたけど、アルファがそう言うって事は、何かあるのか?』

レイが自身の思考に潜る中、アルファは考えるのを分かっていたかのように訳を話した。


「今のマスターがさらに出力を上げれば破壊する事は容易いでしょう。しかしその場合、空間そのものに影響をしてエリーナ・ペンドラゴンごと空間を破壊してしまいます。安易に空間を破壊すれば空間の狭間に閉じ込められてしまう可能性もあります」

アルファから出た結果は、レイの想像よりもさらに物騒なものだった。

「そらゃダメだな」

主人であるレイもそれに納得する。


「けど、細かくヒビを入れていく感じですれば、いけるんじゃねーのか」

レイの感覚は、スキルの超絶強化により感覚が研ぎ澄まされている。

自身が感じる位ならば、結界の側1枚ぐらいどうにでもなると考えていた。


「それも不可能です」

それでもアルファの答えは、変わらない。


「マスターが今感じているのは、結界の文字通り側一枚だけです。この結界の厄介な特徴の一つが無限に続く結界の多段構造です。一枚一枚、それこと複数枚破壊しようと破壊した時点で生成され、それが無限に続きます。破壊するならば最初の通り、まとめて破壊するしかありません」


レイはアルファの答えを正しく認識したが、アルファが言った無限の定義は万人が思う無限と少し違う。

レイ達が封じ込まれている”対空間断絶結界 悪夢監獄(ナイトメアプリズン)”は、結界が破壊されても無限に生成し続けるという概念が封じ込まれている結界である。つまり、どれだけ細かに早く破壊し続けようとも無限に生成し距離すらも縮まらない無限に閉じ込まれる結界。それこそが悪夢監獄(ナイトメアプリズン)の本質であった。


「なるほど。じゃあ、さっきみたいにハッキングするのはどうなんだ。ハッキングして結界ごと消失させればアルファの言う通り可能なんじゃねーのか?」

「申し訳ありませんがそれも不可能です。マスターが閉じ込められた瞬間にそれを試みましたが解析は出来ても干渉はできませんでした。それに付随して、外にいるエリーナ・ペンドラゴンも観測できなくなり、まさしく手も足も出ない状況になっています」


アルファから出てくる内容は、理論も通っており、納得性のあるものだった。


「それじゃあ、アルファの最初の言葉通り、追い詰めれれたのはこっちか・・・」

強化された感覚は、アルファの言った内容を認識しそれが正しいと納得する。


▶︎▶︎▶︎▶︎


リリス視点


「・・・一体何が」

相手を閉じ込め、瞳を開けたリリスは現状を把握できていなかった。

『・・誰かの声を聞いたような』

正体不明の男に自身の矛盾を指摘され、感情を抑え込めなくなった時『ミィつけた』と何処かで聞いた知らない誰かの声がしていたと朧げながら記憶を模索する。


「けどホントあの力って何なんだったんだろう?」

リリスは、自身の身体から発生した知らない力を思い出しながら空間に鎮座する黒い球体に近づく。

『能力的に似てるけど、次元が違う』

黒い球体に近づきそれに触れると、闇の球体が結界だと認識し、それがとてつもなく強力であると理解した。

リリスからするとその能力や発動した理由、発動の原理などは分からなかったが自分が作って、それを扱えると言う事だけをまるで()()()()()()()()()()()()()様に覚えている。


「何か調子もいいし・・」

リリスは、球体の結界を作った後と前とでの自身の身体や能力の向上を感じていた。

『羽が大きくなってるし、エネルギーの総量とかコントロール力も上がってる』

身体を動かしたり、空間に地水火風を顕現させ感覚のズレを直していく。


相手に追い詰められ、どうやって手にしたのか原理も知らない能力。

普通ならば身の危険を感じたり、デメリットなどを考えるのだが・・・

「まぁ、結果良ければ全て良しだよね!」

どこかの少女に似た、天真爛漫な小娘は全く気にしなかった。


「何が何だか分からないけど、本当あのクソ野郎を封じ込めれたのは良かった〜」

胸を撫で下ろす様に球体の中にいる理不尽な存在を思い出す。

リリスに結界の原理は分からない。

しかし、結界がとても強力で閉じ込める事に特化しており、抜け出す事が不可能に近いのは何故か分かった。


『この間にエリーナちゃんをどうするか決めないと・・』

現状をある程度、把握しエリーナの所へ戻ると、ある事にリリスは気づく。

「!?ハッキングが無くなってる!・・今ならエリーナちゃんの状態が分かるかも!」

制限無しで元通り使える事を確認し、エリーナの状態を調べた。

「・・・眠ってるだけ。良かったぁ」

エリーナの安全を確認すると、肩の荷が降りたように気持ちが楽になった。

「けど、あのクソ野郎が言ってた通りなんだよね」

エリーナの安心を知り、ホッとしたのか正体不明の男に言われた言葉を思い出す。


”君の考えも目論見も何も知らないがこれだけは断言できる。己の目的も行動も言えずただ矛盾した行動をするお前は迷い怯えている。迷いを断ち切れず矛盾したお前と、迷いを断ち切り前へ進んだ俺、どちらに天秤が傾くなど分かりきっているだろう”


「”迷いを断ち切れず矛盾した”か・・・」

そう言ったリリスの表情は、割り切れないもののどこかスッキリとしていた。


リリスには、叶えたい悲願がある。

それは自分の事よりも大事で、そのために悪事にも手を染めてきた。

しかし子供に関する事だけはしてこなかった、嫌、出来なかった。

リリスが矛盾した行動をしていた理由。

悲願のためには、エリーナを誘拐しなければならない。

誘拐された後、どうなるかなど分かりきっている。

自分よりも大事な願いと自分を曲げても変えられなかった矜持。

その2つがリリスを追い詰めた理由だった。


「・・けど、もう答えは決めてるの」

彼女の顔に、すでに迷いは無い。

「エリーナちゃんは、無事に返してあげる」

それは、とても勇気がいる決断だった。

彼女は長い時間を悲願を叶えるために費やしてきた。

その上で己の悲願よりも、目の前の少女を無事に返してあげることを優先する。


それは辛い選択でもある筈だ。

願いを叶える為のチャンスをドブに捨て、また1から探し出そうというのだから。

それでも彼女は、迷いに迷いながら決めたのだ。

求め続けた10よりも目の前の1を・・・己の矜持と”こんな自分に優しくしてくれた少女”のために。


彼女は自分が得する楽な道よりも、自身が納得する険しい道を選んだ。

”どこかの外見と精神年齢が釣り合っていない少年と同じように”


「・・んぅ、リリス?」

正体不明の男の干渉が無くなったためか、エリーナは眉虚ながら目の前にいたリリスに声をかける。

「おはようエリーナちゃん。もう少し眠っててね〜」

「・・うん。分かった」

エリーナが起きた事に気づいたリリスは、少女に優しく微笑み声をかけながら少女をまた眠らせる。

少女は、その優しい表情を見て、心地良い眠気を感じながら安心して眠りについた。


「フフ、可愛い。あの子達、元気にしてるかな」

少女の愛らしい寝顔を見て、世話になった第2の故郷をリリスは思い出す。

懐かしく、優しい思い出が詰まった己の決意を定めた場所。

「よし!じゃあ、エリーナちゃんを返してトンズラしますか!!」

リリスが矛盾を断ち切り、行動に移そうとしたその時”ガキィン”と金属が叩きつけられるような音が空間に響く。


「!!・・また侵入者!?」

似たような状況を思い出し、自身が生み出した悪夢(ナイトメア)を調べる。

「・・あれ?何もない・・・」

しかし、調べてみても空間に何一つ問題はなかった。


『あたしは、空間全体を調べられる。調べられないとしたら、あのクソ野郎みたいに隠蔽をしたりして干渉できない・・・』

心の中で最大限に思考している時、閃いたかのようにある可能性を思いつく。

リリスは、自身が作った空間にあるものなら殆ど把握できる。

だが、今この空間には生み出したリリス本人にも理解できていない結界がある。


『・・今ここにあるもので把握できていないのは、あの球体だけ・・』

原理が理解できずとも、出る事がほぼ不可能だと感覚的に理解しながら”もしかしたら”と思い球体を見る。

「!?」

黒い球体を見てみると、亀裂というにはとても綺麗な線の跡が出来ていた。

『いや、ないないないない。ありえないでしょ・・・』

見ている情報と感覚的に理解している情報、2つの違う確信がリリスの頭を混乱させる。

しかし、リリスの混乱はここで止まらない。


リリスが頭を抱える中、目の前の球体の傷跡が金属が切断されるような音を奏でながら無数に増えていく。

音と傷跡は、止まる事なく球体に響き続ける。

「・・・嘘でしょ、ありえな・・」

信じられない光景を見て、何度目かの仰天ストレスをリリスは感じた。

ストレスによる負荷は、言葉を出すのも辞め、魂が抜けた様な表情になる。


そして、リリスは考える事を辞めた。


リリスは、物語に関わるキャラなのでそこを書こうとすると、何故か長くなってしまった。

この誘拐騒動が長すぎたのちょうどだったのかは、この先の書く物語が判断できると思います。

面白いと思った方は、ブックマーク登録などお願いします。

以上 正体不明でした。

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