◾️◾️の言葉を何故かけたのか?
毎日投稿25日目の分です!すいません!、夏休み中に誘拐騒動、終わらせれなさそうで何回も忘れてしまっている!
リリスによって生まれた黒いモヤの無数の蛇は、未だにレイに群がり攻撃している。
『アルファがエリーナを何とかできるのなら・・・』
レイは群がる蛇を体術によって悉く撃破していた。
倒した敵はすでに100を優に超えるが、黒い蛇は尽きることはない。
理由は、倒された蛇の粒子がまた新たな蛇を形成し、レイに襲って来ていたからだった。
「どうしますかマスター」
目の前の状況を覆す手を考えている主をサポートするため、アルファは指示をこう。
『出力を上げてくれ、アルファ!』
「かしこました。オーラの出力を5%開放します」
アルファが機械的な声でそう言うと抑えられたエネルギーの一部が開放される。
『いい感じだ』
体からエネルギーが溢れ、それだけで周囲の蛇が消滅していく。
だがそれでも、殲滅し切るには足りない。
「マスター、また加減を間違えるとエリーナ・ペンドラゴンの安全を保証できませんよ?」
『分かってるよ。だから今度は点じゃなく、面で攻撃する』
レイがそう言うと体から溢れるエネルギーが自身を覆うように収束する。
その周りに黒い蛇が群がって周りは黒一面となる。
「ふんっ」
レイの練り上げられた気合いによって、留められたエネルギーが放出され黒いモヤごと蛇を完全に消滅させた。
レイがここまでの力を手にした理由は、当然新たに獲得したスキルにある。
そのスキルの名前は”制約の善行”。
スキルの効果は、縛りという制約を自らにかす事で力を手に入れる。
縛りの内容は4つ
1つ目は、スキルで課した制約は死ぬまで解除できない
2つ目は、能力の強化には時間制限がある
3つ目は、スキル解除後、力の9割を封印する
4つ目は、スキル”神が与えし肉体”のみを強化する
レイからすれば永続的な死ぬまでの縛り。
その他にも時間制限、使用後のデメリット、単体のみの強化。
それらによりレイは空間にまで作用するほどスキル”神が与えし肉体”を強化させた。
「マスター、エリーナ・ペンドラゴンを無力化します。そのまま手を掲げてください」
「分かった」
レイの強化値は、4つの制約の相乗効果により約9000%にまで達している。
潜在的な能力だけで言えば、まさしく最強の枠組みに踏み入れるほど。
その立ち位置は、アーサー・ペンドラゴンの1歩後ろを確かに座していた。
リリス視点
正体不明の男がリリスが生み出した蛇を消滅させた時、リリスは動揺していた。
『クソッ』
正体不明の男に悉く自らの攻撃を無力化されているというのもあるが、それとは違う別の問題。
『私は、一体何を・・・・』
エリーナ・ペンドラゴンを誘拐する筈が何故か守っており、このまま解放して上げたいと思っている自身の心との葛藤を・・・。
「リリス!相手が何かしようとしてる!!」
「!?」
エリーナの発した声により、我に返ったリリスは男の方を見る。
エリーナの言葉通り男は手をこちらにかざしており、何かをしようとしていた。
『一体何をしようとして・・・!?』
相手の行動を予測するため、自身の能力である夢空間悪夢の空間把握能力で解析する。
リリスの原能悪夢は、リリスに完全有利な夢世界を作り出す。
能力の本質は全能。
空間は実際に実在しており空間に干渉する能力者でも脱出は難しい。
脱出するのなら次元の位置を把握し、そこからそれらを繋げる能力が必要である。
その上、夢空間はリリスに完全有利の場所。
夢空間においてリリスは、あらゆる属性攻撃を可能とし、一度見たことのある魔法、物質を創造し思い通りにできる。まさしく何でもありでありで、その能力の性質故に夢空間はリリスそのものと言えた。
当然、把握しようと思えば相手の行動を知るのも容易い。
だからこそ気づいてしまう。
目の前の男が行おうとしている下賤な侵略行為を・・・・。
「空間に干渉してる!もしかしてハッキング!?」
「ハッキング?」
聞き慣れない言葉を聞いてエリーナは首を傾げる中、リリスは気色悪い感覚を感じていた。
この夢空間は、先ほど述べた通りリリス自身と言える能力だ。
離れた場所で意識してない時に多少干渉される位ならばどうとでもない。
しかし、意識している時に目の前で干渉されれば、体を揉みしだかれるような卑猥な感覚になってしまう。
完璧と思っていた能力に初めて干渉され、その感覚にリリスは戸惑っていた。
『うっ、変な感じがする。・・・あたしの能力にどうやって干渉して・・・』
リリスが考える中、エリーナがリリスに眠たげに喋りかける。
「リリス、何か頭がぼーっとしてきた・・・」
『!?ハッキングの狙いは、やっぱりエリーナちゃん!』
「エリーナちゃん!目をつむっちゃだめ!」
リリスはエリーナの方に振り向き言葉をかける。
「・・もう無理・・・」
相手の狙いに気づくもすでに遅かった。
リリスの言葉は虚しくも届かず、エリーナは目をつむってしまう。
『どうしてこんな事に・・・』
リリスの悪夢は、ハッキングされている。
それ故にエリーナの現在の状態を把握する事ができず、目の前の少女の生殺与奪は正体不明の男が握っていると言っても過言ではなかった。
リリスはエリーナに申し訳なさと悔しさを心に抱き、震えながら『ごめんね』と言って、もう見飽きたダサイ仮面を身につけた男と何度目かの対峙をする。
「!?お前は一体なんなんだ!どうしてエリーナちゃんを!!」
リリスは叫び相手に自身の奥底で暴れている感情をぶつけた。
思い通りだった自分の世界と言える夢の空間を相手に使われ、いたいけな少女を危険に晒して守れない自分自身の怒りや悔しさ悲しみを合わせて煮込んだぐちゃぐちゃの感情を・・・・。
「どうしてだと?」
「!?その声・・!」
リリスの言葉に男は言葉を返した。
それは今まで不躾な言葉しか返さなかった男との初めて会話だった。
男も話す気があったのか機械音のような声ではなく、成人している20代半ばのような低い声で言葉遣いは相変わらず冷たい。
しかし、声からはそれ以上の情報は分からず依然としてスーツを着た男は謎そのものだった。
「では逆に聞こう。どうしてお前はその少女を守っている」
今まで質問にしか答えなかった男が逆にリリスに質問をしてきた。
「それは、子供だから!」
リリスは返事をして話が出来るなら交渉も可能になると考えた。
しかし、そんな淡い希望はこの後の会話で一瞬で崩れさる。
「誘拐しようとしたのにか?」
「!?・・・そ、それは」
男の的確な質問にリリスは何も言い返せず悪寒を感じながら後ろへたじろぐ。
「子供を誘拐しようとしているのにこちらに傷をつけるなとは、、、ひどく矛盾している」
「うるさい」
悪寒は吐き気となり、震えも増していく。
「それでは、一体何をしたいんだお前は?」
「うるさい!」
リリスは、ただそれしか言えなかった。
吐き気を催すと次は耳鳴りがなり、キーンと幻聴が鳴り続けている。
「話がまるで通じないな、今何を考えているのかな君は?」
「うるさい!!」
リリスの声はどんどんと大きくなる。
リリスの感情は、透明なグラスに表面張力で水が満杯になるように傍聴しており、後少しの些細なことで溢れる状態だった。そんな状態の中、男は相変わらず何を考えているか分からずただ呆然と立っている。
そして男はリリスに決定的な言葉を言い放つ。
「君の考えも目論見も何も知らないがこれだけは断言できる。己の目的も行動も言えずただ矛盾した行動をするお前は迷い怯えている。迷いを断ち切れず矛盾したお前と、迷いを断ち切り前へ進んだ俺、どちらに天秤が傾くなど分かりきっているだろう」
男の言葉通りだった。
リリスはエリーナ・ペンドラゴンを空間に取り込んだ時点で無理やり外へ連れていれば男の介入なくやり過ごせた。今の現状はリリスの矛盾した行動の結果と言える。
決定的なまでに正しい言葉はリリスの感情を溢れさせるのには十分だった。
「うるさい、うるさい!うるさい!うるさい!!私はただあの子達を助けたくて、助けるにはエリーナちゃんを誘拐しないといけなくて!なのにあんたが邪魔したからできなくて、だからあたしはエリーナちゃんを無事に返したくて・・・」
溢れた感情は、思考を挟む事なく濁流のように流れ出た。
リリスの言っている事は矛盾しており、もう自分でも何を話しているかも分かっていなかった。
「・・・・・」
それを呆然と立ち尽くし見守っている男は沈黙の後に◾️◾️の言葉を彼女にかけた。
「それでも迷いを断ち切れないというのなら、お前が大事に守っている目論見とも全てを打ち砕いてやろう」
男の言葉によりリリスの理性は完全に崩壊し不安定になる。
「!!!黙れ!エリーナちゃんをあんたなんかに殺させない!」
理性すら崩壊したリリスは子供のように大粒の涙を流しながらそう叫んだ。
リリスが叫ぶと空間は捩れ、今までの黒と紫を混ぜた美しい黒ではなく、どす黒く邪悪的な気配を立ち込めた謎のエネルギーが空間に押し寄せる。
夢の空間はリリスそのものと言える。
精神が不安定になれば空間も不安定になり歪みが生じてしまう。
だが不安定な感情はリリスの能力にとって起爆剤と言えた。
夢とは、人の感情やストレス、欲望を幻想したもの。
リリスのスキルはその名”悪夢”の通り、負の感情と相性がいい。
「あ”あ”あ”あ”・・・あたしの前から消えろ!!!」
リリスから溢れ出る負の感情は、空間に作用し新たな能力を生み出した。
目の前に座している男に会いたくない、見たくないという願いは排除ではなく、隔離という現象を引き起こす。皮肉にもリリスを苦しめた男により天秤はリリスの方に少し傾く。
その能力の名は後に悪夢監獄と呼ばれる対空間断絶結界。
発現したばかりで未完成ながらも封じるという点で最高峰のレベルの能力は、正体不明の男を暗闇の球体に閉じ込め、封じ込める事に成功している。
夢の空間にはリリスと意識不明のエリーナ、それと何も喋らない暗闇の球体しか存在しない。
暗闇の中でリリスはただ一人、孤独の静寂に溺れるように浸かる。
「マザー。私は、一体どうしたら・・・・」
空間にリリスの声がこだまする中、その声を聞くものは誰もいない。
リリスの視界はそう言って暗転する。
リリスがストレスの負荷により瞳を閉じた時、暗闇の静寂の空間にある声が響いた。
『ミィつけた』
リリスが可愛らしく、幼さを残した人を虜にする魅惑の声ならば、、、
その声は、大人びた、人を堕落させ魂すら誘惑する妖艶の声だった。
本来ならもう終わっている筈なのに、なんか書く話数、自分で増やしてるの自業自得だわ。




