制約という名の縛り
毎日投稿24日目の分!忘れてました!ごめんなさい!
リリス視点
『あ、死んだかも・・・』
仮面の男から放たれた攻撃を見た時、リリスはそう思った。
男から放たれた攻撃は、リリスのエネルギー波をいとも容易く押し返し進んでくる。
「やばい!何もしないと死ぬ!」
死の悪寒をリリスは感じとると、その後の行動はすぐだった。
リリスは攻撃から一転してオーラの攻撃を防ぐ事に特化した防御結界を展開する。
「リリス・・これやばくない?」
その惨状を眺め、エリーナはリリスにそう呟く。
しかし結界は虚しく悉くが破壊され、リリスとエリーナに到達しようとしている。
『あ、これ死んだかも・・・』
いや、到達し、、、爆発音と煙がリリスとエリーナを覆い漂っていく。
レイ視点
『・・・・』
2人が爆発音と煙に覆われた時、仮面を着た男。嫌、レイは呆然と立ち尽くしていた。
『アルファ。何で言ってくれなかったんだ・・』
「言いましたよ。言ったのに攻撃したのマスターじゃないですか」
『・・・そうでした』
レイとアルファは、漂う煙を見ながら互いに話していた。
「おいっ!お前!」
煙の方角から甲高い怒りが籠っている美しい声が空間に響く。
「良かったですね。大丈夫そうですよ」
『いや、マジで良かったよ。本当に・・・』
その声に反してレイとアルファは、ただひたすらに”良かった”とホッとしていた。
リリス視点
「お前!どうせ私と同じやつから依頼受けたんだろ!なのにターゲット殺そうとするとか、、このアホ!」
「・・・・」
リリスは仮面の男に怒鳴るが、男は何も言わずただ佇んでいる。
『エリーナちゃんがいなきゃ死んでた・・』
レイの攻撃をエリーナとリリスが無傷ですんだ理由は、エリーナにあった。
レイ視点
『てか、相手の結界全部ぶち破ったよな?何で2人は無傷なんだ?』
リリスの動揺と同じく、レイにも疑問に似た驚きがあった。
「実際、マスターの攻撃は相手の結界を全て破壊しています。2人が無事な理由は、エリーナ・ペンドラゴンの張った結界にあります」
『エリーナが?』
「はい。彼女が結界を斜めに張った事により、弱まったマスターの攻撃が逸れ、2人は無傷です」
アルファの説明を聞いて、レイは”エリーナありがとう”と心の底から思った。
『それじゃあ、巻き込まない為にも近距離しかないか・・』
「そうですが、エリーナ・ペンドラゴンがマスターの行動を予測できるため難しいでしょう」
『だよな〜』
レイとアルファは、心の中でめちゃくちゃ喋っているが、現実では仁王立ちである。
リリス視点
「リリス。ギリギリだったね・・」
「・・・ほんとね」
リリスは、エリーナを見ながら考えていた。
敵との実力差は物凄く、相手は、ターゲットであるエリーナをまとめて攻撃してきた。
しかも相手は、攻撃してから何も喋らず、動きもしないため全く予想がつかない。
『なら、話しかけて交渉を試みるしか・・・』
リリスは思考の渦に沈み、暫くして相手に言葉を発した。
「あんた!依頼を受けたんでしょう!ターゲットは確保しているからここは一旦引いて!」
「リリス!?」
リリスの突然の行動にエリーナは驚く。
「今は私を信用してほしい」
「・・・・うん!分かった!」
リリスは我ながら信用性がないなと思いながらもそう少女に言葉を掛けた。
エリーナは十分に理解し、それでも元気に頷きながら言った。
「ありがとう」
リリスは、今のエリーナの優しさに感謝した。
「・・・・・」
男はリリスの言葉を聞いても、すぐには動かなかった。
しかし、少しすると男は腕を動かし無機質な声で答えた。
「関係ない。さっさとその娘をよこせ」
その言葉は、リリスからすれば交渉決裂そのものだった。
「!?、相手は子供よ!お願いだから引いて!」
リリスは男の答えにイラつきながらもそれでも説得を諦めなかった。
ターゲットを確保しているならば、無駄な争いをする必要がない。
しかし、男の答えはリリスが考えた最悪の回答とほぼ同じだった。
「それがどうした、娘を渡さないのなら力づくで奪うまでだ」
「!?、このクソ野郎が!!!」
リリスは遂に堪忍袋の尾が切れ攻撃を再開する。
『攻撃でも防御でも敵わない。なら、物量で押し潰す!』
リリスが両手を前に突き出すと空間全体に黒いモヤがポツポツと無数に発生する。
そのモヤが次第に全て蛇となり、大小無数の黒い蛇の集団が男に襲い掛かった。
レイ視点
『・・・何で怒ってるんだ?』
レイは、リリスが怒っている理由が分かっていなかった。
『何か確保しているとか言ってたけど、、俺関係ないし。確保しているなら力づくで取り返すしかないだろ?』
『・・・・』
アルファは、マスターの言い分を聞いて”こいつアホだな”とただひたすらに思った。
レイの言動は、とてつもなく紛らわしいが仕方なくもある。
そもそもレイがスーツと仮面を着ている理由は、自身の正体を明らかにしないためだ。
変にエリーナを取り返すと言えば、存在がバレかねない。
そうして、なるべく喋らずエリーナを救おうとした結果・・・
相手に同じ誘拐犯と間違われ、しかも子供のエリーナを全く気にしないクズ野郎だと思われている。
実際、エリーナに危害を与えかねない攻撃を放ったり、怪しげな言動など、
勘違いされても自業自得として言いようがないのだが・・・。
「流石ですマスター。2回喋るだけでこれだけ相手を怒らせるとは」
『今、そんな事言ってる場合じゃないだろ!』
そんな事をアルファと話していると大小無数の黒い蛇がレイに襲い掛かる。
『っ、また何か出しやがった。相手の能力ほんと何でもありだな』
レイは、そう言って大小無数の蛇を徒手空拳によって、蹴散らしていくが無数の蛇は全然減らずに襲いかかってる。
『しつこいな!アルファ、この蛇は何とかなるとして、今の状態のエリーナだと何が起きるか分からない。エリーナを大人しくする方法はないか?』
誘拐犯に狙われている筈のエリーナは、今、誘拐犯であるリリスを守るために行動している。
全く持っておかしな話だが、それのおかげで自身の攻撃がエリーナを傷つけなかったのも事実。
レイからすれば、もう何が何だか分からない混沌と現場は化していた。
「エリーナ・ペンドラゴンの無力化はこちらの方で可能です。ですがマスター、時間制限があるのを覚えていますか?」
『ああ、分かってる!』
レイはアルファの指摘に無数の蛇を倒しながら返事をし、アルファと二人きりで話した空間を思い出す。
▶︎▶︎▶︎▶︎
「エリーナ・ペンドラゴンとマスター両方を救える可能性を取るならば話が違っていきます。それは、スキルの出力をあげるスキルを獲得しなければなりません」
「スキルの出力を上げる、、、出力を上げてどうするんだよ。俺の持ってスキルを強化したからってこの現状を突破できる気はしないが」
「いえ、神が授けし肉体ならば強化する事によってこの事態を解決する事が可能になります」
アルファは、確信持ってマスターであるレイに答えた。
「なるほど、その2つのスキルを相乗させてスキルを強化するって事か」
「そういう事です」
「けどそれなら、どこに俺が不利益になる要素があるんだ?特段そこまで不利益になりそうにないが・・・」
レイは、アルファの案に思案するも答えは見つからない。
「リソースの問題です」
アルファは、俺の疑問に素早く答えた。
「リソースの問題?」
「はい、リリスとういう存在が作った夢の空間”悪夢”は、とてつもなく強力な物です。能力によって生み出した空間にただ隔離したのではなく、次元ごと隔離しています。そのため、空間に作用するほどの能力でない限り干渉する事すら出来ません」
「2つのスキルを相乗させても無理と・・・?」
「はい。その為マスターには、デメリットを追って貰わない限り何の行動も出来ません。そして、空間に干渉するほどの能力を手にするレベルは、それこそアーサー・ペンドラゴンの1歩後ろに座するレベルでもなければなりません」
『確かにそりゃ無理だわ・・・』
レイは、アルファの説明にようやく理解する。
世界最強のアーサー・ペンドラゴンの1歩後ろ、2つのスキル位じゃ到底不可能。
「そんで、どんなデメリットが必要なんだ?」
「・・・・」
全てを悟ったような目をして言った主の質問にアルファは沈黙をする。
「アルファ、答えてくれ・・・」
レイの優しい、信頼のこもった声を聞いてアルファは覚悟を決め言葉を続け始めた。
「・・・それは、能力の9割を永続して封印する必要があります」
それは、レイの力がほとんど失う事を意味していた。
「ッ、、クッ、、」
「・・・・・!?」
アルファの声を聞いた時、レイは手を顔に当て声を押し殺していた。
それを見てアルファは、レイが衝撃を受けていると思った。
、、、しかしレイから流れてくる感情は、陽だまりのような暖かい物だった。
「フッ、ハハハ!何だ!そんな事だったのか」
「・・・・」
能力がほとんど使えなくなるという悲壮な場面だと言うのに、主であるレイは爆笑していた。
それを見てアルファは、機械なのにも関わらず一時的に思考が停止する。
「なんで笑ってるんですか。ここ悲壮になる場面ですよ」
「いや、完全に能力使えなくなるみたいな展開だったじゃん。フッ、アハハ」
アルファは、この展開何なんだと思いながら主であるレイを見て思った。
”こいつ、いつまで笑ってるんだと”・・・
「良かったからだよ。つまりお前は居なくならないって事だろ?」
しかし、それは予想外の理由でとても嬉しい物だった。
「はい。私はマスターをずっとサポートし続けます」
アルファとレイはお互いに目線を向け合う。
「しかし本当に良いのですか?能力を封印すれば4人の約束も守る事ができなくなりますよ?」
アルファは、レイに最後の確認をした。
4人とした大事な約束を守らなくていいのかと、、。
「それでもだ。正直、チートを貰って自分の結末を決めようなんて贅沢すぎると思ってたんだ」
「そうですか」
意外にも二人の表情は、さっぱりとしていて、、
それは、前の世界の◾️◾️◾️◾️ではなく、安倍 零としての決断だった。
能力が封印されるのは、正直勿体無いし、もっと使いたいと思う。
けれど、安倍 零としてリーナを助けない訳にはいかない。
「じゃあ、そろそろスキルを習得するか」
レイの表情には、一片の迷いも無かった。
「かしこまりました。では、私に触れてスキル◾️◾️の善行を取得と言ってください。あとは私の方で設定します」
「分かった。スキル◾️◾️の善行を取得」
俺が球体のアルファの上に手を乗せて、スキル取得と唱えた。
「マスターの承認を確認。6つ目のスキル◾️◾️の善行を作成、取得します」
アルファがそう言うと、暗闇の空間に眩い白い光が全体を覆う。
眩ゆい光を浴びながらも、ー俺はその時のアルファの言葉を聞いていた。
「スキル”◾️◾️の善行”を取得しました。これよりスキル設定を開始します。全能力値の9割を永続封印。それに伴いスキル”神が与えし肉体”を超絶強化、能力の強化により身体を最大限成長させます。能力強化に伴いオーラを取得・・・」
アルファは、大海のように怒涛に喋りながら光の眩しさは次第に収束していく。
俺からは、能力によって身体が成長して、強化が上手く言ったという事しかわからなかったが・・・
「アルファ、この状態だと面倒だから正体隠せたりする?」
レイは、成長したピチピチの服を着ている自身の体を見ながらアルファにそういった。
レイがアルファに言った理由は当然だった。
今のレイは、成長により20代半ばの姿。
しばらくは大丈夫と言えど、いつかは年齢が追いついてしまう。
この姿をエリーナが見れば、レイがエリーナを救った事を確実に理解するし、前の誘拐事件の事も露呈する可能性がある。
それに何より、、、
『エリーナに能力が封印した責任を取らせたくないからな、、、』
そう考えていると、アルファから返答が返ってきた。
「可能です。認識阻害の効果を付与し、外見からも情報が露呈しないよう服装を作成します」
「うぉ、すげー。てか服?」
自身の把握していない能力によりレイは少し困惑する。
「スキル”神が与えし肉体”が強化され、適応から支配に強化されました。それによって、相手の能力をハッキングし
、夢の空間における物質創造を使って服装を用意しました」
レイの困惑から素早くアルファは、説明する。
「て事は、相手は夢の空間で何でも作れるってことか」
「はい、この空間ならば自身が想像できる物なら何でも創る事ができます」
アルファがそう言うと、ピチピチだった服がスーツの一張羅になり仮面も装着された。
声の方も機械音に近い無機質な声になり、自身の気配の感じもまるで変わっていた。
「さすがだな。アルファ」
「ありがとうございます」
「では、マスター最後に作戦をお伝えします。〜〜〜・・・」
アルファは、俺とリーナ両方が救われる作戦を距離を近くにして伝えてきた。
「以上が計画となります」
「・・・なるほど、理解した」
レイは、アルファの考えた作戦を把握し、軽めのストレッチをする。
「じゃあ、準備が整ったし行くとするか!」
「マスター、成功の確率は高いですが何が起こるか分かりません。ご油断なきように」
「分かってる」
そうして、スーツとのっぺらぼうの様な白い仮面を身につけた男が空間を破壊しながら進んでいくのだった。
その傍には、主人にしか見えない丸い球体が浮いていた。




