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転生したら違う世界だった件 魔女とダンジョンの運命の星(アルカナム・スター)  作者: 正体不明
安部家誘拐騒動

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22/24

茶番の始まり

連続投稿22日目!

夢を見ていた。

「よくやったな、リーナ」

「うん!ありがとうレイ」

いつもエリーナと呼んで、頑なにリーナと呼ばない少年がそう呼んで立っている。

場所は、安部家邸のどこかで少しの違和感があった。


『レイがリーナって呼んでくれてる!・・・なんで急に呼び出したか覚えていないけど・・・」

レイがリーナと呼んでくれて嬉しかった。

だが、どれだけ思い出そうとしても呼び始めた理由を思い出せない。


「リーナは、この後何したい?」

レイはいつものような呆れ顔じゃなくて、優しい笑顔で言った。

まるで絵本の中の王子様みたいに、、、。


「うーんとね。剣の特訓がしたい!」

私は、明るく元気な声で言った。

「剣の特訓もいいけど、偶には外へ遊びに行かないか?」

レイは、外へ出て見ないかと誘ってきた。

いつもは、何回言ってもダメとしか言わないのに、、、。

エリーナの中に、モヤのような得体の知れない感覚が芽生える。


「いつもは、ダメっていうのに今日はいいのか?って思ったか?」

レイは、私に気を遣ってくれていたのか、、そう聞いてくれた。

いつもは、全くと言っていいほど気を使わないのに。

「うん。・・・前に家出した時に皆んなに迷惑をかけたから」

「大丈夫だよ。アーサーさんがなんとかしてくれるから」

レイは、優しい、いつも手を引っ張ってくれる時の頼もしい顔をしていた。


”それ故にエリーナは、それが幻だと気づいてしまう”。


「あなたは誰?」

私は、思考するよりも前にその言葉を出していた。

「え?どうしたんだ急に・・・」

レイは、、違う。レイの顔をした誰かがそう言った。

「あなたはレイじゃない」

「・・・・・」

大好きな少年の顔をした誰かは、何も喋らない。

「レイはね、、ひどいんだー。いつも呆れた目をしてて我儘言っても聞いてくれないしリーナとも呼んでくれない」

少女は、嬉しそうにごねる様そう言った。

その顔は、嬉しさでにやけていて、、、

「レイはね、、。私をお父様と比べて全く贔屓しないし、お父様を簡単に頼るような人じゃない」

その瞳には、確かな意思と想いがあった。

「私の大好きな人を、バカにしないで」

それが、何なのかは言わずもがなだろう。

いつも落ち着きがない少女は、静かにただ力強くそう言った。


「・・・・そうなんだ。羨ましい・・」

目の前の偽物は、そうぼやいた。

「あげないから!」

「そう。別にいらないけど、、」

偽物は、言わなくても良いと思った。

少女に見せた幻は、少女自身の理想なのだとは、、、。

「じゃあ、お遊びはおしまい」

レイの姿をした誰かがそう言うと、安部家から白い空間へと移り変わる。

白い空間は、全体に細かくヒビが入っていき、遂には、空間がガラスが割れる様に砕け暗闇となる。


「お久しぶりと言った方がいいかな?リーナちゃん?」

「その名前で呼ばないで!」

そこには、レイをたぶらかす蝙蝠がいた。


その存在の名前は、リリス。

人間離れした体と顔の美しさを持つ悪魔の姿をした存在。

しかし、安部家の廊下の時とでは少し外見が異なっている。

肌はとても白く綺麗で、人間と動物のような愛らしさが完璧に共存していた。

ある意味で人間離れした美しさ。

それは、夢を支配し存在自体が万物を魅了する究極にして、オンリーワン。


「ごめんごめん。エリーナちゃんって呼んだらいい?」

「それなら別にいいわよ」

エリーナは、気に食わないが『それならば』と認める。

「なんか落ち着いてるね〜。いい夢でも見た?」

「ええ、おかげさまでね」

「それは、よかった」

リリスは笑顔で軽薄そうに話し、エリーナはそれを冷静に答えていた。


「あなたの能力なのよね?」

エリーナがこの空間に来て、初めてリリスに話しかける。

「そうだよ〜」

「これだけは、言っておくわ」

この後の言葉にリリスは、驚く。

「・・・ありがとう。幸せな夢を見せてくれて・・・」


「!?、何で感謝するのよ。私は誘拐犯なんだけど」

「それはそれ、これはこれなの。自分でも分かってるもん。あれが自分の中の理想だって・・・!」

少女の顔は、少し赤くなり口を尖らせて”ぶ〜”としており、とても可愛らしいかった。

「ふふ、可愛い」

「う、うるさい!」

誘拐犯に囚われているにも関わらず、ターゲットは和やかに犯人と過ごしている。

要因は色々とあるが、この空間が作用している事は間違いない。


「あなただって可愛いじゃない」

エリーナは、素直な気持ちで言った。

「それは、そう思う能力なの」

リリスは、普段から言われ慣れているかのようにそう言った。

「それ、魅惑効果の事でしょ?私には、今効いてないわよ?」

エリーナは、ぶっきらぼうに答える。

「え?まじ?」

「うん」

リリスは、効果が効かない事に驚きつつ質問すると、エリーナは頷き肯定した。

「じゃあ、エリーナちゃん目おかしいんじゃない?こんな悪魔みたいな姿しているのに」

「リリスの方こそ失礼ね!本当にそう思ってるわよ!」

あまりにも中慎ましく話しており、もはや誘拐犯とターゲットでは無かった。


▶︎▶︎▶︎


「ねぇ?それ本物なの?」

「え、ええ。本物だけど・・・」

エリーナは、興味津々にリリスの羽やツノを見つめていた。

「触ってもいい?」

「・・・・いいけど」

リリスは、エリーナの要望を素直に受け入れた。

誰かに触られるのは、嫌いなはずなのに・・・。

「ちょ、くすぐったい、、、」

「羽は、暖かい。ツノはスベスベで気持ちい」

よじ登り、しがみ付いたりして、遠慮なく色々な所をエリーナは触る。

リリスは、それがこしょばくて体を身じろぐ。

『こんなに誰かと触れ合ったのいつぶりだろう・・・』

彼女が過去の記憶を思い出している時、突如空間が揺れる。


「え、何!?」

「キュ、急に揺れて、、うぶぅっ」

唐突な揺れによりリリスは驚き、リリスの頭の上に乗っかていたエリーナは、不安定な場所故にリリスのグレイトな胸へと落ちる。

「や、柔らかい」

「ちょ、どこに落ちてんの!」

「それよりも、なんで空間が揺れてるの?リリスの能力で作った空間なんだよね?」

「そうだけど、てかっ、その前に降りろ!」

リリスは、自身の胸にがっしりとしがみ付くエリーナの首を掴んで地面へ下ろす。


『空間が揺れている・・・いや、これは!』

「空間をぶち破りながら何かがこっちへ来てる!?」

「え、どう言う事!?」

リリスの言葉に事態の状況が把握できずエリーナは驚く。

だが、リリスの驚きはエリーナ以上で青天の霹靂のような仰天であった。

『空間を破壊しながら進んでる。しかも、これただ歩いてるだけ!?てか、一緒に空間に閉じ込めた坊やがいつの間にかいない!?』

リリスは、自らが作った夢の空間の異常を確認する。

だが、確認をしても何一つ理解できない。

何かが空間を歩きながら破壊する物理法則を超越した現象が起きており、少女の大事な友達である少年を空間を探しても把握できない。


「ねぇ、リリス。レイは、大丈夫なの?」

「・・大丈夫。探してあげるから」

リリスは、そう言ってエリーナを自身の後ろに隠れさせる。

「・・・・うん」

リリスは、エリーナに嘘をついた。

空間の全域を調べて補足できない以上、少年の安否は絶望的である。

そして、それが嘘であるとエリーナも理解していた。

だが、それでもエリーナはリリスの言葉を信じた。

リリスがエリーナに向ける心は、優しい物だと己の直感が感じたから。


「、、、来る!」

リリスがそう言った直後、目の前の何もない暗闇の空間の一部に広範囲の亀裂が走る。

亀裂が轟音とガラスが割れる様な甲高い音を撒き散らしながら段々と広がっていく。

果てには、亀裂が入っていた範囲の空間が一斉に砕け散り、ものすごい風圧が2人を襲う。


「くっ、、、」

「うわぁああ!」

それをまともに受けるリリスは、飛ばされないよう体全体でバランスを取る。

エリーナは、飛ばされそうになるもリリスにしがみ付き、リリスもターゲットであるエリーナを手で掴む。


風圧が止まると目の前には、スーツを着た男がいた。

スーツは、とても高そうで髪もセンター分けになっており整えられている。

身長は、父であるアーサーよりも低く顔にのっぺらぼうのような白い仮面をしている。

その男は、とても強そうで、だが何故か怖くないとエリーナは思った。


「な、何、、あのオーラの量。まるで女帝、、。いや、それ以上の!?」

だが、リリスはそうでなかった。

目の前の男は、ただそこにいるだけで能力()に干渉し、空間にヒビが入っている。

体臭や雰囲気からは、男の情報を一切把握できない。

分かっているのは、見て分かる外見と空間に干渉するほどの圧倒的なまでのエネルギー。

恐怖以外の何者でもない。


安部家誘拐騒動において、リリスに最大の混沌が降りかかる。












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