選択による分岐
毎日投稿21日目!の分!!遅れてごめんなさい!
夢を見ていた。
儚く朧げで、、身勝手な、今すぐにでも逃げ出したいそんな都合のいい夢。
思い出したくない過去の情景がまどろみに浸かるように浮かび上がる。
それは、家族と仲良く過ごしていた。
『自分で壊したくせに』
その景色を俺は、眺めていた。
体はモヤのようで実体があるのかどうかさえ曖昧だった。
それは、友達と仲良く過ごしていた。
『友達に嫉妬して、自ら突き放した癖に』
都合のいい夢で、それに浸かっていたい筈なのに、何故か夢だと理解できてしまう。
それは、お金持ちで優雅に暮らしていた。
『本当の俺は、最底辺のクズ野郎だったのに』
夢の中でさえ俺は、自分を曲げられない。
これが女神の言っていた事なのだろう。
それは、自信に溢れている俺だった。
『そんな紛い物に意味など無いのに』
夢虚ながら女神の言葉を思い出す。
”あなたの事が少し分かった気がします。絶望に落ち自身が間違っていても、自分にとっての正しさを弱さを貫き通せる。いや、変えられない”
それは、美しい女性と小さな赤ん坊で三人仲慎ましく暮らしていた。
『そんな物は、ありはしないのに』
もうそれは過去ですら無い、存在しないありもしない記憶。
だから、早く目覚めたいと思った。
こんな、理想だらけのくだらない夢を・・・
▶︎▶︎▶︎▶︎
「マスター・・・マスター」
意識が朦朧とする中、誰かを呼んでいる声がする。
『マスターって誰だ?・・ああ、俺か・・』
朧げな思考が徐々にはれ、呼ばれているのが自分だとようやく認識する。
目を開けて起き上がってみると、そこは何もない暗闇の空間だった。
あたり一面が真っ黒で、物も人も見渡す限り存在していなかった。
そして、俺を呼んでいた人を探す。いや、あれは、人だったのだろうか?
「マスター、後ろです」
「うぉっ!!!、びっくりした!」
振り返ると急に目の前に丸い撮影機のドローンみたいな機械が現れ、思わずそれに驚いてしまった。
「ああ、アルファか・・・」
「はい、そうです。マスターがお目覚めになったのでご挨拶をしようかと思いまして」
そのやり取りは、いつぞやの日に妙に似ているなと感じて・・・。
「てか、アルファ。お前、どこいたんだよ」
「はて、何の事でしょう?私は、ずっと側にいましたが・・」
自分が見落としたのか?と納得して俺は話を進めた。
「確か、メシアに助けを頼んでエリーナと一緒に暗闇に呑まれたんだっけ・・」
「はい。メシア・ダルクは、マスターの働きによって難を逃れ。エリーナ・ペンドラゴンに関しては、マスターと一緒に呑まれましたが別の場所で無事でいます」
「そうか。・・よかった」
アルファの報告で、自分の目論見が上手くいったと知り安堵した。
「メシア・ダルクが救援を呼んでくるため、ここで待機する事を推奨します」
「・・・・・そうか」
俺は何故か、アルファの物言いに少しの疑問を持つが、話の流れで”そうか”と返事をした。
「てか、ここはどこなんだ?」
「リリスという存在によって形造られた夢の空間です」
「夢の空間?」
アルファから発せられた単語に俺は疑問を持つ。
「はい。能力によって作られた空間で自力での脱出は、ほぼ不可能でしょう」
「・・・そうか」
また何故か、俺はアルファの物言いに少しの疑問を抱いた。
理由は、分からない。
「しっかし、夢の空間て、、一体どんなジョブの能力だよ」
「いえ、これはジョブによる能力ではありません。”原能”です」
「”get now”?」
「原能です」
また新しく出た単語に全く関係の無い英単語の暗記をふと思い出す。
『英語の勉強、苦手だったんだよなー』
「マスターッ、話を真剣に聞いていますか?」(ピキッ)
表情など分かる筈のない機械なのにも関わらず、俺にはアルファが怒っているように見えた。
「・・すいませんでした」
「許しましょう」
何とか許して貰えたようだ。
「んで、原能って一体何なんだ?」
「ジョブと対になる能力です。ジョブが適性と才能による覚醒能力ならば、原能は、無作為かつ秩序性のない特異能力です」
アルファは、簡潔に短く説明するが・・・
「????、どゆこと?」
俺には、アルファの説明が全く理解できずキョトンと首を傾げた。
「つまり、ジョブは個人の適性に合わせた才能による能力の器を覚醒させ、スキルや魔法などを習得することができます。逆に原能とは、超能力のような物で、未だに解明されていない特異能力全般の事を言います」
アルファは、理解しやすいよう詳しく説明する。
「なるほど、それで夢の世界か・・・」
アルファの説明によって、相手の能力の特異性に納得する。
「マスターが保有している女神のスキルなども分類上は、”原能”に分類されます」
「そゆ事なのね」
アルファの端的な説明でようやく原能について理解する事が出来た。
「しかし、助けを待つにしても今やれる事とか無いのか?」
俺は、あたり一面に広がる暗闇を見回してアルファに聞く。
「ありませんね」
アルファは直ぐにそう答えた。
「!?」
そのアルファの断定で疑問が確信となる。
「・・・そういう事だったのか」
確信は光明となり、苦境を打ち砕く狼煙が上がる。
「アルファ・・・」
その為には、アルファの仮面を剥ぎ取らなければならない。
▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎
アルファに疑問を確信した後、アルファの提案の元あたりを散策した。
しかし、歩いても歩いても暗闇で何もなかった。
歩いて数分後、自分の考えをまとめアルファに向けてこう聞いた。
「お前、俺に隠してることあるだろ」
マスターであるレイは、アルファが隠し事をしていた理由をおおよそ理解していた。
そして、このやり取りの先に何が待っているのかも、、、。
「何の事でしょうか」
アルファは冷静に答える。
「そもそもおかしいだろ。あのリリスっていう女は、隠蔽能力によって安部家に侵入している。それなのにメシアが救助を呼んだからって俺たちを見つけて救助できるか不確定だ」
俺は、暗闇で歩む足を止めてアルファの矛盾を指摘した。
「隠蔽能力という物は、大体が認識されると効果が消える事が多いです。ですので救援を待つ判断は正しいかと」
その答えを聞いて俺は、機械である筈のアルファが、白を切っている様に見えた。
「じゃあ聞くが、なんでエリーナが無事だと分かったんだ?」
「マスターが無事でしたので、、先の相手の対応からも安全だと判断しました」
「それだよ」
俺はアルファの答えを聞いて決定的な根拠を述べた。
「普段のお前は、俺に不確定な情報を与えないし、根拠のない行動を推奨したりなんてしない」
「・・・・」
俺とアルファしかいない暗闇の空間が、少しの静寂に包まれる。
「それについては、申し訳ありませんでした。以降、気をつけます」
静寂の後、アルファは内容を認め素直に誤った。
自分の非を認めて謝ったのなら、それを許して終わらせるべきだと思う。
”だが・・・・”
「まだだ!」
俺の話はまだ終わっていない。
俺の身の安全はともかく、狙いであるエリーナの安全は未だに保証されていないからだ。
「アルファ、お前は空間を知覚する能力があるんじゃないのか?それによって、俺の身の安全とエリーナがまだ無事である事を知ったんだろ」
「・・・そうです」
アルファは、少しの沈黙の後にそれを肯定した。
そこには、申し訳なさと苦渋のような後悔が見えた。
「なら、初めにお前が言った”ほぼ脱出が不可能”という言葉の意味が違ってくる。あるんじゃないのか。この空間から俺だけでなく、エリーナも救える方法が!!」
「・・・・・それは・・・」
その質問の答えを、アルファは苦しそうに言い淀む。
俺は、”裏切りにも見えかねない”そのアルファの行動を嬉しく思っていた。
それは、今まで俺を散々助けて来たアルファの知らない部分で、、、。
”きっと俺の事を考えてくれている行動だろうから”・・・。
だが、それを今の状況で許す訳にはいかない。
「アルファ、お前は俺の味方なんだよな?」
「・・・はい、そうです」
「そして、善行の行動をサポートするスキルなんだよな?」
「・・・そうです・・・」
アルファは、主であるレイが何をしたいのかを確信した。
「女神から授けられたスキル。”善行の機械 アルファ”の主である安倍 零として教えて欲しい」
このような場面でなければ、アルファは頼られた事を嬉しく思っただろう。
それは、アルファが真の意味でマスターであるレイを理解した瞬間。
「エリーナと俺を無事に救出する方法があるんだな・・・」
レイの瞳には、未来を予見しているかのような揺るぎない決意があった。
アルファはその決意を理解し、機械の体では感じる筈のない”理解し難い痛みの感覚”に襲われながらこう言った。
「・・・方法は、あります・・・」
レイの選択は、定められた結末へと収束し◾️◾️の◾️◾️は◾️◾️し始める。




