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転生したら違う世界だった件 魔女とダンジョンの運命の星(アルカナム・スター)  作者: 正体不明
安部家編

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13/26

安倍 零

毎日投稿13日目!投稿少し遅れました!

「お父様、杏奈!、アーサー様も本当に誤解なんです!!」

少年から離れて少女は、はだけていた道着を直しては言った。


「とにかく、何があったのか説明をしてくれるね?」

安倍清隆の問いに少年は冷や汗をかきながらも冷静にすぐさま説明した。


「美桜の言う通り誤解ですよ。どっちがきょうだいの上になるかで柔道で勝負になったんですけど俺が最後に負けちゃったんで。な?美桜」

「え、ええ。その通りよ」

少女も少年の咄嗟のアドリブにかろうじて合わせる。


「・・・なるほど。色々と聞きたい事があるけど、それはさておき仲良くなって良かったよ」

安倍清隆は、表情を崩さずそう言った。


『ある程度は納得してくれたようだ。正直、今から顔合わせ本番だと言うのに幸先から印象を悪くする訳にはいかないからな・・・』

そう考えていると視線を感じるとそこには悔しそうな顔をした美桜がいた。

おそらく、庇われて悔しいが文句も言えないというところだろう。


「しかし、本当に君は面白い事を起こすね」

「そんな風に思われると心外なんですけど」

目の前の男、アーサー・ペンドラゴンは、今の混沌とかした状況を楽しんでいるように見えた。

それに呆れながらも、少年はなぜか悪い気分ではなかった。


「お嬢様。本当に何があったんですか?」

目撃者のアーサー、清隆と違って、黒姫杏奈はいつもの冷静さはかけらもなくなっていた。

「あの男が言った通りよ。それ以上は、何もない」

「杏奈、少し落ち着きなさい。今は一応、養子の顔合わせなんだ。それと、この件は後回しだ。詳しく知りたいなら後で美桜に聞きなさい」

「失礼しました旦那様。かしこまりました」

当主の命令を聞いて、杏奈は少し苦そうな顔をして安倍清隆の後ろに戻って行った。


「と言う事だが。正直、私も先の事は気になる。だから◾️◾️君、一つだけ問いたい。君は美桜に危害を加える気はなかったんだね?」


清隆さんの表情は、会った時のような優しいものではなく、真剣な少しの怖さを感じるものだった。


「危害を加える気はなかったです。けど、娘さんが強すぎて少し手荒になってしまったのも事実です」

俺はその問いに正直に答えた。

「フ、なら良かったよ。美桜も男の子を落とすならもう少しムードを使ってしなさい」


「だから誤解です!」

清隆さんは”冗談だよ”と言ってこの騒動は幕を閉じた。


▶︎▶︎▶︎

「少しのいざこざがあったけど本題に入ろうか。◾️◾️君の養子について」

先とは違い杏奈さんを除く4人が部屋に座り、清隆さんとアーサーが美桜と俺が向かい合う形になった。


「その件については、私の方からも感謝する。無茶なお願いを聞いてくれてありがとう清隆」

「ありがとうございます」

アーサーが清隆さんにそう言って頭を下げる。俺もそれに続けて頭を下げた。


「友からのお願いだ。と言いたいけど、君だからこそ受けたと言うのが大きいからね」

『?』

清隆さんの言い方に俺は少し疑問に思った。それは、『同じ意味なんじゃ無いのか?』と。


「まず、養子の件について確認をしておきたい」

「すまない清隆。この子には大まかにしか伝えていない。一から丁寧に教えてあげてほしい」

「そうなのか。確かにエリーナの誘拐騒動解決から1日しか経っていないからね」

そう言って清隆さんは養子について詳しく教えてくれた。


大まかに、養子についての内容は3つあった。


1、『安倍家本元の養子になるということ』

つまり、清隆さんの息子ということになる。

だけど、血のつながりがないから安倍家の継承権などは、無いという事だった。

まぁ、当然と言えるだろう。


2、『教育や勉強などは自由にしていいということ』

基本的には、美桜と同じような習い事を習えるらしい。

嫌になったら辞めてもいいし別の事をしてもいいとの事。

正直、ありがたい。アルファがいるから勉強とかは、仮想世界で大体できるらしいからな。


3、『護衛については、俺の意思次第でつけてくれるとのこと』

誘拐事件の功労者である俺だが、狙われる可能性は少ないらしい。

理由は、家出娘が監禁されていた場所は能力の使用を特定されるのを防ぐために能力者がいなかったのと。

電波や電子機器などの特定も考慮してそれすら配置されてなかったため。

そのため、俺の身元がバレる可能性は限りなく低いらしい。

それでもゼロじゃないから俺の意思次第で護衛をつけてくれるとの事。


「以上が安倍家当主である私が提示できる養子の条件だね」

「正直、条件が破格すぎる気もしますけど」

「アーサーからの直々のお願いだからね。それに、私としても嬉しい。美桜は兄妹が居ないからね。いつも心細い思いをさせてしまっていると感じていた。君なら美桜と仲良くできそうだと思っている」


「私は別に寂しくありません。友達ならいますから」

清隆の言葉に美桜ちゃんは、ツンと言い返していた。

それを見ていたアーサーは、それが何だか少し嬉しそうにも見えた。


「それでどうだろうか?こちらが言うのもアレだがかなり自由度の高いものにしたつもりだ。これ以上の待遇となると安倍家で何かしらの役職を目指してもらう事になると思う」


「いいえ、問題ないです。これほどの高待遇ありがとうございます」

俺は清隆さんの配慮に感謝して頭を下げる。


「美桜と杏奈もそれでいいかな?」

「私は、問題ないです」

「私も当主様と美桜様が問題ないとおっしゃるのならば異論はございません」


清隆さんの問いに美桜は、大丈夫そうだが。

杏奈さんはなぜか嫌そうな顔をしていた。いつもよりも少し顔が怖かった。


「杏奈。君はウチの大事な侍従であり、美桜の専属護衛という立場でもある。君本人の意見も聞いておきたい」

清隆さんもそれに気づいたのか杏奈さんに聞き直した。


「僭越ながら言わせて頂きます。私は反対です!」

「その理由は?」

安倍清隆は、冷静に侍従である杏奈に理由を聞いた。


「ご当主も見たでしょうあの状態を!お嬢様には体質の問題があります。同性ならまだしも異性である男は大変危険です!」

「杏奈、君もあの状態を見ただろう。アレでは、美桜が襲ったという風になってしまうよ」

「それは・・・・」

杏奈さんは声を荒げるが清隆さんは変わらず冷静だった。


「お父様、杏奈には私から話しておきます。アーサー様、それとあなたにも見苦しいものを見せて申し訳ございません」

「!?、申し訳ございません!」

美桜が謝るのを見て杏奈さんも謝る。

その表情は引き攣っており、理由は守るべき主人に頭を下げさせたからだろう。


「いや、杏奈の言い分も尤もだよ。私が紹介したとはいえ彼はかなり怪しいからね」

「それ、今言います?・・確かに柔術をしようとしたのも、美桜さんの力量を見誤ったのも、自分の軽率な行いなので、僕も杏奈さんが正しいと思います。それに・・・・」


『マスターその発言はやめた方がよろしいかと思います』

『いや、杏奈さんに納得してもらうにはこれしかない!』

少年は納得してもらうための言葉を思い浮かべた。

そしてそれを知ったお世話係アルファが警告をする。

しかし、当然の如くに主人である少年はスルーをして、爆弾発言をする。


「僕は巨乳で背が高い人がタイプなので、どちらかというと美桜より杏奈さんの方がタイプです!」


「・・・お父様!私も大反対です!」

「あ、それなら私は問題ありません」

「何でよ!」

「ハハハ!」

「はぁ、君は本当に変わった子だね」


少年の言葉により意見が入れ替わる。

賛成だった美桜が大反対になり、反対だった杏奈さんはいつもの無表情フェイスで賛成になる。

それを聞いて少女はコントのように声を上げてツッコミを入れ、それを見ていたアーサーは大笑いし、清隆は苦笑いしていた。


その後は、少女と少年が少し言い合いになるが養子については上手くまとまった。


「さぁ、養子の件がまとまったと言う事で二人とも問題はないかい?」

「私は問題ないよ」

「・・・・・・」

清隆の言葉にアーサは即座に問題ないと言うが、少年はただ一人悩んでんでいた。


「何か気になる事があるのかい?」

清隆は少年に優しく問いかけた。

「養子になると言う事は、僕の名前は安倍◾️◾️になるって言う事ですよね?」

少年の表情は何か悩んでいるようだった。


「そう言う事になるね。もしかして家の名はお気に召さなかったかい?」

「いえ、安倍という名はとても嬉しいです。気に入らないのは自分の名前です」


少年は真剣な眼差しで、この場にいる3人に言った。


「自分の名前?あなたの名前カッコいい名前だと思うわよ?」

「そうだよ」

「私もそう思う」

3人は、少年がなぜ自身の名前を気に入らないのか理解できなかった。

しかし、アルファだけはなんとなく気づいていた。


『マスターはおそらく切り捨てたものを拾い直す気はないのでしょう。けれど私はマスターのスキルであるにも関わらず分からない。なぜ、そこまで前の世界に異様なまでの拒否感を持っているのか・・・』


アルファは、マスターである◾️◾️に聞かれないよう自身の心の中で喋った。


「それでも、僕は新しい自分になるためにこの家に養子になりました。だからこそ、僕は新しくなるために過去を切り捨てなくてはいけない」


その場にいる全員はその事について口を開こうとしなかった。

頭で考えるならば理解不能だ。

なぜそこまで名前を変えたいのか。

気に入らないのか?親が家族が嫌いなのか?

聞くべきことならいくつもある。

しかし、確かに目の前の少年から感じるのだ。

子供とは思えない”頑丈な”意思”と”覚悟”を。


「・・・分かった。戸籍を変えるのに手続きが必要だ。その時に名前の変更をしよう。名前の候補とかはあるかい?」

「・・・・」

少年はその問いにまた少し考える。


『新しい自分。この世界に転生しまだ全然分からない事が多い中で、この世界で生きていくために自分の結末を決めるためにふさわしい名前は何だろう』


そんな時、ふと頭の中に浮かんできた。

「ゼロ・・・ゼロから新しくここから始める。・・・漢字の零で、名前はレイでお願いします」

「分かった。今日から君の名前は、安倍 零だ」


今日この日が、”俺にとって『安倍 零』にとってのゼロから始めた物語の始まり”というやつだろう。



ようやく主人公の名前が登場。”くろしかく”を何回も打たなく済んで良かった。

名前を考えるのは苦手だったりして、考えるの時間かかるかなと思ってたけど意外に直ぐ決まった名前でもある。

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