安部家の令嬢
連続投稿11日目!
安倍家 客間
「◾️◾️様、こちらが客間でございます」
俺は杏奈さんに客間に案内され和室の部屋に入る。
「失礼します。・・・って先客がいたのか」
部屋に入ると、少し青みがかった髪を三つ編みにした紫色の目の少女が居た。その少女は道着を着て和室の中で正座をしており、その姿を見て俺は”さすが京都だな”と感心してしまう。
「!?、美桜お嬢様!何でここにいらしているのですか!?」
俺の声を聞いて中を確認した杏奈さんが驚きの声を上げた。
『美桜、あの人が言っていた名前と一緒だ。そして、杏奈さんがお嬢様と言ったってことは・・』
『間違いなく安倍家当主”安倍清隆”氏のご息女かと』
『だろうな』
俺とアルファは、道中の出来事の予測から目の前の少女の正体を確信する。
「杏奈、驚きすぎよ。養子とはいえ家族ができるのだから会いにくるのは当然と言えるのではないかしら?」
「っしかし・・・」
少女は杏奈さんとは違い、落ち着いた口調でそう言った。
『年齢は俺と同じくらいか・・・。それにしてもかなり落ち着いてるな。しかもこの年でかなりのやり手だ。姿勢がキレイすぎる。あの所作は何かしらの武道をやっている証拠と言えるだろう」
「初めまして。私の名前は安倍美桜。安倍家当主の娘です」
「こちらこそ初めまして。安倍家の養子になる◾️◾️◾️◾️です」
安倍美桜の少年の初対面の印象は、不思議な少年だった。
黒髪黒目、顔は至って普通。
同年代に比べて大人びていると自身と思っているがそれ以上に大人びている。
それに所作もキレイだ。自分と同じ年齢なのが信じられない。
『けれど、私の体質のこともある。だから用心はしておかないと』
そう心の中で考えていると目の前の少年が自分の正面に正座して座って話しかけてきた。
「いやー、しかしここまでの間に色んな人に会ってきましたけど容姿がキレイな人が多いですね。清隆さんや杏奈さん。そのご息女である美桜さんも当然のようにキレイだ」
「ふふ、褒めても何も出ませんよ」
アルファの先の助言通り思った事を言って相手を褒めた。
杏奈さんにも通じたのならこの子にも通じるだろうと目の前の少女の反応を見て心の中で確信した。
「マスター相手は笑っていますが。感情の揺れは全くありません。愛想笑いだと断定します」
『別にそれ言わなくていい!相手が合わしてくれたんだよ。それ知っても俺も彼女も全く得がないだろ!』
アルファは普段完璧にこなすのに、ごく偶にふざける。
それは、アルファの唯一の悪癖と言えた。
まぁ、その上で完璧すぎて強く言えないのだが・・・。
少年は、10年以上アルファと過ごした仮想世界での日々を思い出す。
「申し訳ございませんマスター。つい調子が乗ってしまいました」
『絶対わざとで反省もしてないだろ』
アルファと心の中で喋っていると少女は喋り始める。
「杏奈。そういえばお父様はどうしたの?」
安倍美桜は周囲を見渡し、今この場にいない父の居場所を侍従である杏奈に聞く。
「ご当主はアーサー様と個人的な会話のために別宅の方へ向かわれました。もうすぐいらっしゃるかと」
「じゃあ、迎えに行ってくれるかしら。家族に迎える人を待たせる訳には行かないから」
「しかし、美桜お嬢様。流石に二人っきりにするのは・・・」
目の前の少女は清隆さんを迎えに行くように杏奈さんに言う。
だが杏奈さんは俺とご息女が二人っきりになるが嫌らしい。
まぁ、”だからこそハンター協会で俺に警戒をしたんだから当然かと”俺は思った。
「大丈夫よ。私は安倍家当主の娘よ。何かあってもある程度は対応できるし、それに何より同年代の家族となる人と二人っきりで話したいと思うのはいけない事?」
「ぐ・・・かしこまりました」
少女は杏奈さんが断りづらいよう理由を述べ、有無を言わさなかった。
それに対して杏奈さんも何も言い返せず了承し、和室の客間から出ていく。
「さて、杏奈もいなくなった事だし少しお喋りしましょうか」
そう言って、少女は侍従が部屋から出ると目に見えて態度を崩した。
「喋り方が楽になっていますけど、宜しいんですか?」
「あなたも敬語なくして結構よ。私たち同い年だからそういうのは無しにしましょう」
俺がそう言っても少女は態度を変える気はなかったようだ。
「もしかして、意外とお転婆なお嬢様です?」
「そう見えるかもしれないけど、世間では真っ当なご令嬢として認識されてわれているわ」
俺と目の前の少女は、初めて会ったとは思えないほど気軽に話した。
おそらくだが性格がある程度似ているのだろう。
「それじゃあ、遠慮なく、よろしく」
「こちらこそ・・・」
そう言って互いに手を出して握手をする。
「さて、何からお喋りしましょうか」
少女が先に喋り出す。
「マスター」
『どうしたアルファ?』
その直後アルファから警告が発せられる。
「目の前の少女から微弱ですが魅惑効果のある匂いが発せられています」
『魅惑効果?それって俺に効果あるのか?』
「いえ、マスターはスキル”神が授けた肉体”の効果で効いていません」
俺は手を顎に置き真剣に考えている少女を見る。
アルファの言葉で”この部屋に来てからいい匂いがするな”と感じていた事を思い出した。。
『ってことは、相手は俺を籠絡する気満々ってことか?』
「いえ、これは恐らく体質かと」
『体質?』
「はい。世界がジョブという力が開花してから起きた変化の一つです。ジョブの能力とは違う力で身体機能の一つだと言われています。基本的に身体機能と一緒で年齢によって効果が上昇したりするそうです」
『・・・なるほど』
アルファに説明されて改めて俺の知ってる世界とはかけ離れているんだと再認識した。
考えていると目の前の少女から声を掛けられる。
「ちょっと・・・こちらが真剣に考えているのにそちらはぼーっとしているだけですか?」
その声は怒気がこもっており、青筋を立てている幻覚まで見えた。
「す、すいません。えとお喋りの内容でしたっけ」
「そうです。・・・貴方も少しは考えたらどうですか?」(ピキ)
同じ内容を聞き返したのが原因なのかさっきよりも声に怒気がこもっていた。
「じゃ、じゃあ。互いに質問し合うのはどうでしょうか」
「互いに質問・・いいですね。では、どちらから質問しましょうか」
少し声が詰まりながらも案を出すと意外にも少女は受け入れてくれた。
「先ほど失礼をしてしまったので・・そちらからどうぞ」
「そうですか。分かりました。では遠慮なく」
その時の少女の顔は待ってましたと言わんばかりのニヤケ顔だった。
「じゃあ、私の方から、どうやって誘拐犯を見つけてエリーナを助けたのかしら?」
「!?」
少年はその言葉に動揺してしまう。
『何故知っているのかについては特段驚かなかった』
俺が口止めをしたのはカリキュラさんとアーサー・ペンドラゴンとイリナさんのみ。
口止めをお願いしたのは養子の話をした後の話だ。
養子先の安倍家が知っているのはそこまでおかしくはない。
驚いたのは、質問のタイミングと質問者だ。
このタイミングで聞いてきたこと、そして目の前の少女がしたこと。
子供の姿に油断したが、目の前の少女は間違いなく油断できない人物だ。
「以外ね。驚くとは思わなかったわ」
「そうですね。このタイミングで・・しかも同年齢の少女にその内容を聞かれたのは流石に驚きました」
「マスター」
『大丈夫だ』
アルファが心配して聞く中、俺は大丈夫と答えた。
『正直、清隆さんに聞かれるよりかは目の前の少女の方がまだマシだ』
心の中でそう思い、少女に大まかに事件の顛末を話した。
内容を少し意図的に隠して・・・
「まず、見つけたというより遭遇したと言う方が正しいです。どうやって助けたのかと言えば誘拐現場に遭遇して愚直にも助けようしたときにアーサー・ペンドラゴン氏に助けてもらったという所でしょうか」
「嘘ね」
事件の顛末を話すと少女は間髪入れずそれを嘘だと断言する。
「その根拠は?」
「私は嘘を見破れるスキルがあるのよ。だから貴方の答えが嘘だとわかる」
少女はそう言って少年の顔を見つめる。
『なるほど、そう言うスキルがあるのか』
「マスター。細部までは把握されていないかと」
『どういう事だアルファ?』
少女の答えを聞いてどうするべきかと考えていると近くにいたアルファが話しかけてきた。
「マスターの仰ったことは、少し内容が違いますがほとんどあっています。それを嘘だと断定したという事は、ある程度大まかにしか嘘を判断できないかと。なのでこう答えれば彼女は恐らく嘘を判断できないと思われます〜〜・・」
アルファはそう言って俺に内容を伝える。
それを聞いて俺は”確かにこれならいける”と確信して喋り出す。
「すいません。かいつまんで喋りすぎました。・・・遭遇したのは、たまたまです。誘拐事件を聞いて、そんなのがあるのかと思って帰り道を帰っていたら誘拐現場についての情報を知り、誘拐現場に向かってしましました。誘拐現場について子供たちを助けようとしたんですけど惜しくも失敗しちゃって、それでアーサー氏に助けてもらったと言うことです」
誘拐犯の事を知ったのは学校の先生からだそれは偶々と言える。
帰り道に情報を知ったのはアルファからだ。
助けたが失敗して助けて貰ったのも事実。
これなら俺が子供という事を加味すれば相手は疑うのは難しい。
「嘘はないようね」
上手く騙されてくれたそうだと心の中でホッとする。
と束の間の安心の中、衝撃の言葉を少女は言ってきた。
「けど嘘つきの顔をしているわ」
「!?・・・顔を言われるのは心外な気がしますけど、これが事実ですので」
「そうなのね。こちらもごめんなさい。貴方を試すような真似をして」
『正直びっくりした・・頭が回るだけじゃなくて勘まで良いタイプか』
焦りながらも落ち着きを取り戻し、笑顔で話を戻す。
「こちらは全然気にしていませんよ」
「ありがとう。じゃあ、次は貴方の番よ。こちらが失礼な質問をしてしまったから何でも答えるわ」
「何でもですか?」
「ええ、何でもよ」
その答えを聞いた時、俺は心の中で怪しい満面の笑みをしていた。
「じゃあ、貴方の全身から匂う魅惑効果の香りについてお聞きしても宜しいでしょうか?」
この部屋についてから感じていた魅惑香の正体を・・・
「え!?知ってたの!」
「ええ、知ってましたよ」
少女はそれを聞いて驚く中、少年は笑みを浮かべていた。
「貴方、気にしてないと言ってたのに結構気にしてるじゃないの」
安倍美桜はその時ほんの少し顔を歪め、直ぐに笑顔に戻した。
その時少年は、少し顔が歪んだ少女を見て”やっぱり美女って顔が少し歪んでも綺麗なんだな”と能天気にも思っていた。
「マスター、もう少し緊張感を持つべきかと」
アルファはいつものように主の能天気さに呆れる。
アルファが呆れている中、2人の少年少女は互いに笑みを浮かべなら同じことを思った
”こいつ似たもの同士だ”と。
新キャラ登場!日本の淑女キャラっていいよね!




