安部家
毎日投稿10日目!
ハンター協会 京都支部
「ここは、ハンター協会?」
ゲートを抜けて見えたのは、ハンター協会の制服を着た関係者数人と浴衣をした黒髪にオレンジ色の目をした女性だった。その女性は、俺とアーサを見てお辞儀をしながら言った。
「お待ちしておりましたアーサー様、◾️◾️様。私の名前は、安倍家の専属侍従”黒姫杏奈”と申します。以後お見知り置きを」
目の前の女性は、日本の淑女と言える気品を醸し出していた。
顔はイリナさんほどでは無いが美女。浴衣からでも分かる豊満な胸。
道でこんな美女と会えば視線を奪われるだろう。
だが女性の隙がなく綺麗な姿勢、息を感じない息遣い。
何より全身から放たれている強者特有の雰囲気は、俺に惚気ではなく、警戒を感じさせた。
「◾️◾️、それほど警戒しなくてもいいよ。杏奈、君も少し威圧を下げて欲しい。いくら美桜ちゃんの事があっても
この子は私の恩人で客人だ」
アーサーは、◾️◾️を落ち着かせ、黒姫杏奈に向かって注意をする。
それを受けた黒姫杏奈は放っていた威圧を下げた。
『美桜?また新しい名前が出てきたな。安倍家の関係者か何かか?』
そう心の中で考えていると、目の前の杏奈と呼ばれた人が今度は二人に対してではなく、俺に向かって話しかけてきた。
「失礼しました◾️◾️様。仕事柄、疑うのが癖になっておりまして◾️◾️様から感じる年不相応の雰囲気がスキルや魔法による変装かと疑ってしまいました。アーサー様もお連れの方に失礼な態度をして申し訳ございません」
そう言って黒姫杏奈は謝罪の意味を込めて最初の時よりも深く頭を深く下げた。
「私は、それほど気にしていない。君の方はいいのかい?」
「僕もそれほど気にしていません。それに、あなたほどの美女に見つめられて嫌な気はしないので」
「お心遣い感謝いたします。私のせいで遅くなりましたがここから安倍家の本邸にご案内させていただきます。支部の駐車場に車をご用意しておりますのでまずそちらにご案内します。京都支部から安倍邸まで10分とかかりませんで・・・」
そう言って、俺たち3人は、京都支部の中を歩いて行った。
▶︎▶︎▶︎▶︎
支部の駐車場につき、車に乗ると杏奈という女性の言う通り10分とかからず安倍家と思われる豪邸の前についた。
アーサー家の家から出たのがイギリス時間で朝7時くらいだったから今は日本時間で15時位だ。
安倍家までの道なりでの京都の景観は見事なものだった。
歴史的な木造家屋や石畳の道などが自然との調和が取れた自然の安心感が感じられた、前の世界ではテレビでは見た事はあっても訪れた事はなかった。
「到着いたしました。こちらが安倍家でございます」
和服を着た女性、黒姫杏奈が車のドアを開けてエスコートしてくれる。
車を出て豪邸を見てみるとものすごい大きさだった。
いや、むしろ豪邸というよりも日本の城に近い。
目の前には開いた門がありアーサー家のように山に建てられているのではなく、京都の街に建てられてある。
そのデカさは、周囲の建物と比べても一番高い。
「予定より少し遅かったね。何かあったのかい?杏奈」
そう言って、門の後ろからアニメなどで陰陽師が着る服を着た藍色の髪と目をした男が出てきた。
『マスター、あの服の名前は狩衣と言います』
アルファは、主のバカっぽい例えを聞いて呆れながらも着物の名前を教える。
「申し訳ございません旦那様。私の軽率な行いで大事なお客人に不快な思いをさせ、お時間すら煩わさせてしまいました」
杏奈という女性は目の前の男に頭を下げて謝罪をする。
それを受けた男は、俺とアーサーを見て申し訳なさそうに言った。
「ウチの侍従が失礼した。彼女は真面目すぎる所があってね、優秀なんだが少し頭が硬い。気分を悪くしたのなら申し訳ない」
「私達なら全然大丈夫だ。この子に関しては、むしろ嬉しかったようだよ。ね?」
アーサーは、目の前の男の言葉を聞いてそう答えて、こちらに視線を向けた。
「ええ、杏奈さんほどの美貌の持ち主にあそこまで凝視されて少し惚気てしまいました」
『マスター、その姿でその言葉はかなり気持ち悪いかと思います』
『お前は、黙ってろ・・・』
その話が聞こえていたのかアーサーは、手を腹と口に当て笑い声を抑えていた。
「・・・・っフ(プルプル)」
「アーサーから聞いていたけど雰囲気から喋り方、その他色々と本当に子供とは思えないね」
アーサーが笑いを堪える中、狩衣を着た男性がそう苦笑いしながら言った。
「それはそうとして自己紹介が遅れた。私の名前は、安倍清隆キヨタカ。3代目安倍家当主だ。君は私の養子なる予定だ。これからよろしく、気軽にお父様と呼んでくれても構わない」
安倍清隆は、顔をほころばせ自然な動作で手を出してくる。
「そうですね。もう少し親しくなったら呼ばせていただきます」
俺も微笑みながら手を自然に出して自然に手を出して握手をした。
それを見てアーサーは、少し寂しそうながらも笑みを浮かべ、黒姫杏奈はほんの少し目尻を下げた。
それを普段から杏奈と顔を合わせている人がいれば”笑っているな”と思うだろう。
「早速色々なことを説明してあげたいんだけど・・、アーサーと少し話がしたくてね。すまないが杏奈と一緒に先に客間の方へ向かっておいてくれるかい」
「こちらは、全然構いません」
また申し訳なさそうに言う安倍清隆と違って◾️◾️は穏やかな笑顔でそう答えた。
「ありがとう。じゃあ、杏奈。案内の方を頼む」
「かしこまりました。では、◾️◾️様ご案内させて頂きます。こちらへどうぞ」
そうして、黒姫杏奈と◾️◾️はそのまま屋敷の方へ行き、アーサー・ペンドラゴンと安倍清隆は本邸とは別の別邸の方へに向かって行った。
安倍家 廊下
「杏奈さんていつもそんなに表情固いんですか?」
少年が不躾に遠慮なく聞いてきた。黒姫杏奈は、多くの人から言われた言葉を目の前の小さな少年から聞いて、いつものように無表情で答える。
「不快になりましたら申し訳ございません。◾️◾️様は、もっと愛想があって表情がコロコロ変わる女の子がよろしかったでしょうか?」
「なんか、例え方に悪意がありません?」
「そんな事はありません」
◾️◾️は、目の前の女性から返ってきた返事にまずったかなと冷や汗をかきながら言葉をかけるもその返答はさらにきついものだった。
「はぁ、マスター、いくら目の前の女性が無愛想だからと言ってそのような事を軽率に言うのはどうかと私は思います」
機械なのにも関わらず、主人より女性の機微を知っているアルファはため息をしながら言葉を発する。
『じゃあ、どうしろってんだよ。杏奈さんが気にしていないなら別にいいだろう』
機械に言われて無いプライドが傷ついたのか◾️◾️は、アルファに声を強めて心の中でそう言った。
「まずは女性を褒めるべきです。褒めて、そこから女性に話させ距離を近づけていく。これは、世の基本であり当たり前のルールです」
『そんな事でいいのか?』
心の中で”そんなルール無いだろ”と思いながらもアルファの言う通りにしてみる事にした。
「けど杏奈さんて、とても綺麗ですよね。道端であったら二度見しそうなくらいで美人ですし。それにスタイルもとてもいい。浴衣の上からは分かりづらいですけどとても体を鍛えている。姿勢や息遣いに一切の油断がない」
アルファの助言を聞いて自分が彼女に会ってから思ったことを口にした。
「そうですか。しかし◾️◾️様はあった時、私にそんな気持ちだったとは思えませんでしたが」
「もしかして、ハンター協会での事言ってます?あれは、杏奈さんの雰囲気に警戒してしまったんですよ。何しろ最近揉め事に巻き込まれまして。それに、杏奈さんの方にもそうする必要があったんでしょう?」
杏奈は目の前の少年が異質に思えて仕方なかった。
感じる雰囲気、言葉遣い、それらが全て子供と思えなかった。
しかも、姿勢、歩き方から相当の武術の手だれだと分かる。その上、ある程度の頭も回る。
4人の最強の一人であるアーサー・ペンドラゴンの客人でなければ間違いなく怪しみ、怪しい点が見つかれば即刻に手を下していただろう。
そう思えるほどに目の前の少年は怪しかった。
しかし、その一方でこちらの不手際を寛大に許し、害意や敵意と言ったものが感じられない。
今まで関わってきた人達とは違った良い印象を持ったのも事実だった。
「そちらの件は、申し訳ございませんでした。それに私の表情や雰囲気も少し刺々しかったと感じています」
「そうですか?僕は結構好印象でしたよ。こんな子供の僕に対しても一才下に見るような感じもしなかったですし
こちらに対して気遣いもしてくれてます。変に馴れ馴れしくしてくる人よりかは僕はあなたのような人の方が好印象ですよ」
「そうですか・・・ありがとうございます」
女性は、最も敬愛する人に言われた言葉と似ているなと思いつい口が緩んでしまった。
その一方少年は、目の前の女性を見てさっきまでとは違う印象を感じていた。目の前の女性は、先ほどからは想像できないほど口角と目尻を上げ”氷が解けるかのようなキレイな笑顔”をしていた。
一瞬過去の光景が広がる。真っ白の空間で何も無く一人の女神と自分しかいなかった空間を・・・。少年はその空間にいたある人を思い浮かべならこう言った。
「やっぱり、笑っている顔の方が綺麗だと思います」
それらの一部始終を見てアルファは、”もしやマスターには女性を落とす才能が”と意味深に言っていたがそれを聞いていた俺は、前の世界で彼女も作れなかったのにそんな事ある訳ないだろうと思いながら歩いていくのだった。




