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98 何気ないものとなった日常

 配達の仕事をこなしながら軽ワゴンを走らせる。

 荷物は収納空間に、車には4人の仲間を乗せて。

 さすがに軽ワゴンでは手狭だが、まだなんとか全員が乗ることが出来る。



 日本でも魔族の多くは駆除されている。

 ソウマが拠点にしてる群馬の周辺はいわずもがな。

 今は東京にも少しだけ踏み込んで魔族を削ってる。

 おかげで人が安全に活動できる範囲が増えた。



 海に向かって東に、栃木方面の多くは人が入るようになった。

 道も整備され、人や物資が行き来してる。

 仙台方面も処理が進み、残す魔族はわずかとなってる。

 これらはいずれ処分して、仙台を解放する予定だ。

 これ以外の東北にある魔界も少しずつ削り取っている。

 魔族が完全に消滅する日も近い。



 ただ、それはそれとして配達も続けている。

 出向いた先での修理や料理も。

 最近増えたこういった仕事のおかげで、ソウマ達の懐具合もだいぶ潤ってきている。



 ここが悲しいところだ。

 どれだけ強力な魔族を倒しても、稼ぎが増えるわけではない。

 手に入れた霊気結晶を売れば高い値段がつくけども。

 そうするとソウマ達のレベルが分かってしまう。

 こうなると確実に面倒が発生する。



 確実に怪物や魔族退治を要求される。

 高レベル故に様々な因果でがんじがらめにして、動きを制限しようとしてくる。

 そうならないように、ソウマは可能な限りレベルの露見を避けていた。

 だから普段の配達を続けていた。

 稼ぎは、この配達による料金と、遭遇した怪物から手に入れる霊気結晶の売却益。

 残念ながら莫大な儲けにはならない。



「世知辛い……」

 ぼやきも出てくるというもの。

 どんなに頑張っても経験値以外の報酬は手に入らない。

 社会で役立つ銭は社会の中で稼がなければならない。 

 レベルは必ず成果に結びつくわけではなかった。



 それでも以前よりは稼ぎは増えている。

 一回の運送で得られる料金が増えている。

 仕事の数もだ。

 日々の生活は少しずつ良くなってる。

 今はそれで十分だった。



 魔族を駆除し終えるまで。

 仲間のレベルが上がるまで。

 それまではこうした淡々とした日々を続けるしかない。



「もうそろそろかな」

 頃合いを見計らいながらソウマは日々の仕事を続ける。

 魔族退治を続ける。

 経験値を回収して仲間のレベルを上げる。

 幸い、目標のレベルは目前に迫ってる。

 そこまで来たら、最後の場所に向かうつもりでいた。



 その時期もそう遠くはない。

 仲間のレベルも順調に上がってる。

 数ヶ月もあれば必要な水準に到達出来るはずだった。

 そこまでは今のままほどほどに頑張っていく。



 それまではいつもどおりに配達を続けて。

 いつも通りに魔族を狩りに行く。

 当たり前となった活動を淡々と繰り返していった。

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