99 真なる地下世界
その時はさほど待つことなくやってきた。
残りの魔族も少なくなり、代わりに仲間のレベルが上がる。
このレベルが5000になったところで、ソウマは次の段階に進んでいった。
「霊気溜まりの中に入るぞ」
最後の1人がレベル5000になったところでソウマはこれからやる事を伝えていった。
「魔族は大方片付けた。
次は原因になってる中に入る」
「入るって……どこにですか?」
「地下迷宮だ」
オトハの疑問のソウマは短く答えた。
その言葉に誰もが「あれ?」と思った。
「地下迷宮って、怪物のいるあれ?」
「でも、迷宮なら少し残すって言ってたよね?」
「どういう事なんですか?」
そもそも怪物の巣である迷宮は今のソウマ達なら簡単に蹴散らせる。
わざわざ宣言するほどの場所とは思えない。
「違う違う」
手を振ってソウマはより正確な情報を出していく。
「俺が言ってるのは怪物どものいる迷宮じゃない。
霊気を吹き出してる場所の事だ」
「それって、どこなんですか?」
「地球の中だ」
4人の仲間は再び驚いた。
地球の中……考えた事もなかった。
だが、言われてみればなるほどと思いもする。
そもそも怪物の発生源にもなる自然の霊気。
これがどこからやってくるのかと考えれば、それは地球となる。
どこからともなくにじみ出てくると考えられてるが、そんなわけがない。
超常的ななにかではあるが、それは何もないところに突然発生してるわけではない。
地上に吹き出てるのだから、発生源が地球であるのはもっともな事だ。
「その中に入る」
そう言ってソウマは地面を足でトントンとつついた。
「だから地下の迷宮。
そうだろ?」
「まあ、それは……」
「確かに」
オトハとサユメが戸惑いながらも受け入れていく。
「この中に魔族の発生源がある。
それを叩く」
そう言ってソウマは己の能力を使っていく。
時間と空間を操る力を。
その力によって4人は瞬時に転移していった。
その体をエネルギー状に変化させて。
ソウマが示した地球の中、地下迷宮へ。
「自分をしっかり保てよ。
でないと吹き飛ぶぞ」
そう忠告しながら地中へと向かう。
「だったら、もっと丁寧に扱ってよ!」
サユメの叫び声がエネルギーとしてソウマに響いていった。
他の3人もその響きに同調した。
強制的な転移。
体の組成すらも変化させられてつれていかれる地下迷宮。
仲間は突然の事に戸惑い。
ソウマはただ1人いつも通りに素面のままでいた。
その先でオトハ達は見る。
圧倒的な密度のエネルギーの世界を。
その中にあって、更に高密度な何かを。
「あれが敵だ」
高密度の何かを指してソウマが教えていく。
「こいつらを倒して中心を目指す」
無理だ、仲間は誰もがそう思った。
高密度の何かは魔族など比べものにならないほど強力で巨大だ。
最低でもレベル1000程度の力を持っている。
レベル3000以上など当たり前にそこらを漂っている。
「こんなのを?」
「無理ですよ」
カナヤとシラベが困惑や恐慌を通り超えた諦めを抱く。
「そうでもないさ」
淡々とソウマは仲間の不安を否定する。
「魔族と同じだ。
弱い奴から倒してレベルを上げる。
そうしていけばどうにでもなる」
その通りではある。
自分たちが対処出来るところから片付けていく。
基本中の基本だ。
だが、基本通りに出来るのかというと悩ましい。
たとえ自分より弱いものであっても、大量に襲ってきたら対処しようがない。
そして周りには大量に敵がいる。
これらを倒していくのはかなり難しい。
「安心しろ」
そこもソウマには対処出来る。
「空間を区切って、倒せる数だけ囲い込む。
それを倒していけばそう難しくはない」
「確かに、それなら」
「上手くいく……かな?」
言ってる事はもっともだが、それでも不安は残る。
それで上手くいくのかと。
だが、あれこれ言ってる時間などソウマは与えない。
「ほら、いくぞ」
早速ソウマは手近にいた敵を何十体か囲い込む。
いずれもレベル1000からレベル2000程度。
対処出来ない強さではない。
だが、それでも一度に数十体となると簡単にはいかない。
「厳しいよ、いくら何でも!」
「ぼやかない、ぼやかない」
サユメの反対を無視して、ソウマは仲間をけしかける。
「がんばれよ。
がんばれないと死ぬぞ」
「鬼だ」
「悪魔です」
カナヤとシラベがため息を吐いた。
2人もソウマがこうしたムチャクチャなスパルタ教育を施す事を実体験として知っている。
今更驚く事はない。
ただ、ひたすらに呆れるだけだ。
容赦なく戦闘を強制される。
やむなく4人は目の前の敵に向かっていく。
「気をつけろよ
自分をしっかり保て」
後ろからソウマが注意事項を伝える。
「でないと、消えるぞ」
その言葉の意味を確かめる前に、怪物が向かってくる。
それらを4人は次々に迎撃していった。




