97 経験値として回収されるだけとなり
レベルを上げた魔族を駆逐していく。
人類の生存圏から魔族が遠ざかり、人は平穏を取り戻していく。
この事に多くの人々は疑問を持ったが、深く考える暇は無かった。
拡大した安全圏に人々の居場所を作るのに忙しくなるからだ。
そんな人々の動きを横に見ながら、ソウマはひたすら魔族を倒し続けていった。
ただ、怪物と迷宮は問題の無い範囲で残していった。
レベル上げやエネルギー源として必要だからだ。
これらまで取り上げたら、人類は文明を失ってしまう。
ただ、魔族は確実に処分していった。
怪物を凌駕するこの危険な存在は放置出来ない。
地球から霊気を吸い上げてレベルを上げてるので、より凶悪になってる。
ソウマ達以外では対処が出来ない。
なので、魔族はソウマが責任もって処分していった。
魔族もこの動きを感じ取ってる。
自分たちの同族が次々に消えている事を。
同族の死をいたんでるわけではない。
共感性、いわゆる思いやりなど持たない魔族である。
仲間であろうと自分以外の誰かがくたばったところでなんとも思わない。
だが、同族が集中的に処分されていってる事態に危機感を抱いていた。
敵は自分たちを狙ってる────。
この事実にだけ恐怖を抱いていた。
隣の誰かがどうなろうと知った事ではないのだが。
自分が巻き添えになるかもしれないと思うと恐ろしさを感じる。
次に死ぬのが自分になるのではないかと。
その為にレベルを上げてるのだが、何の効果もない。
どれだけ強くなっても魔族は駆逐されていく。
むしろ、レベルが上がったものから先に倒されていく。
真っ先にレベル1000になったものが最初に倒された。
しばらくして再びレベル1000があらわれればまた倒された。
これが何度か繰り返され、それからしばらく何もない日々が訪れた。
この間に魔族はレベルを上げ、そのうちレベル1500が登場した。
そして、再び駆逐された。
レベルが一定値に上がる度に倒されていく
そして、間を置いてまた倒されていく。
繰り返される魔族への攻撃のパターンは単調でわかりやすいものだった。
「敵は俺たちを狩っている」
計画的に。
衝動的な行動では無い。
偶発的な事件でも無い。
狙って、一定のパターンで行動を起こしてる。
この事が魔族に焦燥と絶望を抱かせた。
やるせない憤りも。
「俺たちを見下してやがる!」
最強種である自分たちという自負を砕かれる。
魔族は傲慢である。
己が優位である事にだけこだわる。
だからこの事態は許しがたい事だった。
自分たちよりも強く、自分たちよりも優位にいる事を示されてるからだ。
魔族は対抗する事も出来ない。
だが、敵は魔族を好きなときに好きなように狩る事が出来る。
戦うではない、狩るのだ。
同等の立場で殴り合い殺し合うのですらない。
一方的に殺される立場に追い込まれている。
事実が魔族に突きつける。
そう宣言されたわけではないが、置かれた状況を理解させる。
解決しようにも出来ない事も。
「ふざけるな!」
罵り声だけが響く。
だが、敵は淡々と魔族を刈り続ける。
ソウマからすればほどよく育った経験値を回収してるだけである。
魔族のレベルを上げて経験値としての質を高めてから回収する。
確実に倒せて、それなりの量を確保出来るようにと。
だから育つのを待って収穫し、レベルの上がった魔族が減ったら動きを止めた。
勢い余って魔族を全滅させないように気をつけて。
上手く魔族を養殖して経験値を得る。
その為にソウマはほどよく襲撃を繰り返し、適度に攻勢を控えていった。
それでも魔族の数は少しずつ減っていく。
決して増大はしない。
そうなるようソウマは調整している。
仕事の合間に。
宅配の仕事は今も続いてる。
これが終わってからの数時間でソウマは経験値を集めている。
なので、魔族を倒してる時はソウマも忙しい。
息がつけるのは、経験値が育つのを待ってる間だけ。
「もう少し楽が出来ればなあ……」
願いがかなうのはかなり先になりそうだった。




