95 ありがとう強くなってくれて
霊気溜まりに集まっていた魔族がレベルを上げていく。
レベル1000に至った者が多数生まれる。
【時空】の能力でそれを見ていたソウマは、仲間にこの事を伝えていく。
こう言いながら。
「計画通りだ」
追い込まれた魔族が霊気溜まりに向かうのは当然。
簡単にレベルを上げるならこれくらいしか方法がない。
あとはいつ気づくのかという時間の問題でしかない。
「思ったより時間がかかったけど」
魔族の能力を考えればもう少し早くこの方法に気づくと思っていたが。
なかなかそうはいかない。
知能が高くても、思い込みの壁を越えるのは難しい。
だから時間がかかってしまった。
「けど、これならやれる」
「いよいよだね」
サユメが期待に胸を膨らませていく。
「おう、待たせたな」
ソウマもねぎらっていく。
これまでソウマは仲間の行動に制限をかけていた。
極端に早く魔界を壊滅させないように。
全てはレベルを上げるためだ。
経験値となる霊気結晶の質は、魔族や怪物のレベルによって変わる。
当然、レベルの高いものが残す霊気結晶の方が質が高い。
この質の高い霊気結晶が、レベルを上げるために必要不可欠になる。
特に今のソウマ達には。
既にレベルが極度に高くなってるソウマ達である。
レベル100程度の魔族ではレベルアップは期待出来ない。
だからある程度追い込んで霊気溜まりに向かうように願った。
追い詰められたらそうするだろうと予想して。
その間、仲間には活動をある程度控えさせた。
魔界や迷宮を破壊しすぎると、レベルを上げた魔族が減る。
レベルを上げるにはそれなりの数の高レベル魔族が必要だ。
簡単には繁殖しない魔族を、極端に減らすわけにはいかなかった。
この制限をようやく解除出来るようになった。
高レベルの魔族も増えて、経験値には十分となる。
これらをあらためて殲滅していき、経験値を手に入れていく。
「じゃあ、やるぞ」
止まっていた魔界攻略が再開される。
この時からソウマ達は今まで異常の速度で魔族を駆除していく。
レベルの上がった魔族を倒すのは手こずる。
しかし、ソウマの敵ではない。
オトハやサユメ、カナヤにシラベでは相手にならなくても。
ソウマは瞬時に魔族を倒していく。
レベル1000に到達した者達を。
「どんどん倒していくから。
落ちてる結晶を使ってレベルを上げていって」
仲間にそう言いながら、ソウマは魔族を殲滅していく。
空間ごと魔族を引きちぎりながら。
そんなソウマを仲間は呆然と見つめる。
明らかに強化された魔族が、塵芥になっていくのを見ながら。
「相変わらずですね」
「兄ちゃんらしいよ」
「でも、これだと俺たちいる意味があるのかな?」
「気にしないでいよう。
考えると疲れるから」
ソウマの後ろで、4人は己の存在意義を疑い始めていった。
「……もう、ソウマさん1人でいいんじゃないでしょうか?」
「ボクもそう思うよ。
けど、それは言わないでおこう」
サユメの言葉に従い、4人は考えるのをやめた。




