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バスケ

村田はバスケサークルで一緒だった健吾と、今でも一緒にバスケをしている。

忙しくてあまり行けないが、健吾は

『人数が足りないから絶対に来い』

という脅迫まがいの文章とともに、必ず誘ってくれた。

デスクワークでなまった体をほぐすために、

村田はできるだけ参加するようにしていた。


健吾の顔を見るなり、村田は言った。

「俺、美桜に会ったよ。」

「…やっとか。」

村田は健吾に会うといつも、美桜は元気?会いたいなあ、とつぶやいていた。

健吾はそんな村田にうんざりして、一度キレたことがある。

そんなに会いたいなら家に行け、できないなら忘れろ、とはっきり言った。

美桜には「待ってる」とメールした手前、無理に会いに行くのは気が引ける。

そう村田は思ったが、健吾に言っても、わかってくれそうにない。

それから、健吾に美桜の話をするのは、控えるようになった。

それでも、美桜は元気?と聞いてしまって、健吾に睨まれる村田だった。

「美桜フリーだったろ。やったか。」

健吾はニヤニヤしながら言った。

「…やれるわけないじゃん。」

呆れて答える村田。

でも家に来てくれたんだから、やれなくもなかったのかな。

健吾ならやれたんだろうか。…いや、どっちにしろ俺には無理だ。

「それより、健吾は光のこと知ってたんだ?」

「美桜ママからこっそり聞いた。

 ママは村田のほうがいいって言ってたぞ。

 村田、美桜ママ狙えるんじゃね?」

美桜のお母さんは離婚して独身だ。

綺麗だし、美桜に似てるけど、やっぱり美桜のほうがいいよなあ。

健吾の冗談を真に受けて、真剣に考える村田。

いやいや、それよりも。

「光のこと教えてほしかったな。」

「俺だって、美桜を諦めたわけじゃないからな。敵に塩を送ってたまるか。」

「友達甲斐のないやつ。」

「それに、村田に言うと、すぐ美桜に直接聞くだろ。

 ママから口止めされてるのに、バレたら絞められるからな。」

ああ、そうかも。確かに、すぐに美桜に聞いただろうな。

それで、おとといと同じようにしつこく聞いて、嫌われただろう…。

「未練ありすぎなんだよ。新しい彼女にもそれで振られただろ。」

「しょうがないじゃん。…まだ好きなんだもん。」

彼女を見ようとしても、どうしても美桜と比べてしまって

美桜の存在の大きさを思い知るだけだった。

3年も付き合ったんだ、

忘れるにはまだ時間が足りないんだと思っていた。

でも、違った。忘れられないんじゃない、忘れたくない。

美桜に会って、やっぱり好きだと思った。いや、大好きだ。

「好きだからって、押すだけじゃだめなんだよ。

 それしかとりえがないから、しかたねーけど。」

健吾はモテるだけあって、恋愛に関しては的を得たことを言う。

いつか大崎にも言われたなあ。

「はい。」

思わず敬語になる村田。

「まあ、あまりガツガツしないでやってくれよ。

 美桜もお前と同じで器用じゃないから。」

健吾にしては珍しく小さな声で言って、コートへ行った。

健吾はこの一年、美桜の何を見てきたんだろう。

聞きたいけど教えてくれないんだろうな、と思っていると

バスケは始まってしまった。

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