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寝てる

結局、村田が終電で帰ると、美桜はソファで寝ていた。

カーテンが開いていて、窓から月光がさしている。

きっと寂しかったんだろうな。

付き合っている時、美桜は一人で寝るのは嫌だと言って

バイトから帰ってくる俺を待っていた。

結局ソファで寝ちゃって、ベッドに連れて行くのが大変だった。

美桜は背が高いから、意外と重いんだよな。

今日は美桜を運べないんだなあ。残念だ。

…ああ、だめだ。

美桜の顔を見て、こんなことを思っていたら暴走してしまう。

カーテンを閉めて、居間を出る。

美桜が居間で寝ているので、台所で立って弁当を食べていると

「おかえりー…。」

眠そうに美桜が起きてきた。半分しか目が開いてない。

「寝てていいのに。」

「んー大丈夫…。お弁当温めた?」

「いや、温めてない。」

美桜を起こさないようにと思って。

「温めるよ。ソファ座ってて…。」

美桜は言うが、村田は持っていた弁当を見せて

「でも、ほとんど食べちゃった。」

と笑った。

「あー、遅かったかあ…お味噌汁も作ったのに…。」

「明日食べるよ。もう遅いから寝よう。」

すごく眠そうでふらふらしている美桜。

何かにぶつかって怪我したり、火傷しそうで目が離せない。

美桜の体を方向転換させて居間に誘導する。

ソファに横たわりながら、美桜が言った。

「…カーテン開けててもいい?閉まってるとこわい。」

「うん。閉めちゃってごめんね。」

カーテンを開ける村田。

「月を見てると落ち着くから。」

そう言う美桜だが、目は開いていない。

もう一定のリズムで息をし始めている。すぐ眠れそうで良かった。

髪を撫でたいが、抑えがきかなくなりそうなので我慢して

「おやすみ。」

と小さく言って、居間を出た。

シャワーを浴びながら、このまま眠れる訳がない、

帰ってきても徹夜か、と覚悟を決めたが、

まだ疲れているのか、ベッドに入るとすぐに寝てしまった。


カーテンを開けて寝たから、目覚めがいい美桜だった。

6時半か。7時に起こしてって言われたから、ちょうどいいかも。

歯を磨きながら、昨日村田が帰ってくるまで待っていられなかったな、と反省する。

味噌汁作っておいたのにな。…でも、明日食べるって言われた気がする。

私、寝てたよね…覚えてない。まあ、いいか。

7時に起こして、村田はご飯を食べられるのかな。

会社でパンを食べるつもりなんだろうか。お味噌汁を食べてほしいなあ。

…ちょっと早いけど、起こしちゃおう。

ノックして「おはようー」と声をかけながら、寝室のドアを開ける。

ベッドを覗くと、村田はふとんを抱いて寝ていた。

私の声には全然気付いてない。疲れているんだろうな。

起こすのが可哀想だけど、仕方ない。

カーテンを開けて

「村田ー朝だよー。」

と声をかける。

眩しそうに布団で顔を隠して、寝続ける村田。

「村田ー、お味噌汁作ったから食べて。」

揺すりながら言う美桜。

「うん…。」

返事はするが起きる気配はない。

「何も食べないで行くの?」

「うん…。」

どうやら質問の内容は届いていない。

今までどうやって起こしてたんだっけ。…付き合う前は、ひたすら怒ってたな…。

もう起こさないから!なんて言って。今は可哀想でできない。

付き合ってからは、えっちなことばかりしてた。

起きないとキスマークつけるよーって…その手も使えないし。

とりあえず布団をどけて、村田の顔を出してみる。

こんなに明るいのによく寝られるよなあ。感心してしまう。

目をこじ開けると、怖い顔になるんだよな。

と思いつつ、片方の目をこじあけてみる。全く反応がない。

あ、また熟睡してるな。

「村田!朝だよ!」

びくっとして

「うん…。」と答えるが、やっぱり起きない。

「村田ー。」

言いながら、ほっぺたを伸ばしてみる。

タコの口にしたりして、村田の顔で遊んでいると

「…やめてよー。」

笑いながら言って、美桜の手を握る。その手を胸の上に置いて、また寝た。

変わらないなあ、村田は。寝顔をじっと見る美桜。何だか私も眠くなってきた…。

目が閉じそうになり、はっとすると、村田の目は開いていた。

「おはよう…。」

村田は驚いた顔でそっと手を離し、起き上がる。

「おはよ。一緒に寝そうになっちゃった。ご飯食べていく?」

「あ、うん…。」

「じゃ寝癖なおしてきなよ。」

「うん…。」

キッチンに向かう美桜の背中を、ベッドから見つめる村田。

手を握って一緒に寝てた…。顔が笑ってしまう。

ふふふふふ…。笑いが止まらない…。

「村田ー、7時半になっちゃったー。大丈夫?」

美桜がキッチンから声をかける。

…やべっ。慌ててシャワーを浴びに行く村田だった。

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