表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/31

健吾の家

美桜は母の運転手をして、健吾の家にいた。

健吾の父のカウンセリングをする母のために

一ヶ月に一度はここへ来る。

健吾は議員の父の手伝いをしていて、忙しいはずなのだが、

美桜が来る日は必ず家にいた。

カウンセリングは短ければ30分、長ければ2時間、と時間が読めず、

どこかに出かけて、時間をつぶすことができないので

健吾が話相手になってくれるのは、美桜にとって好都合だった。

それに、健吾は美桜に気を使わずに何でも話すし、

話すことが無ければ黙っているので、一緒にいて楽な相手だ。

しかし、美桜は何度か健吾の部屋で押し倒されたので、

二人はたいだい庭か、リビングで話をしていた。

今日は暖かいので、庭のベンチに二人で座る。

「美桜、暇ならうちの仕事手伝えよ。

 パソコン使えるやつがほしいんだよなー。」

「え。忙しそうでやだ。」

それに議員事務所の仕事なんて、何だか荷が重い。

「仕事無くて毎日暇なんだろ。ちょっとでいいからさ。」

「…そこそこ暇だけど、暇じゃない。」

「なにそれ。」

健吾はじっと美桜を見る。心を読まれそうで目をそらす美桜。

…健吾には言いたくないなあ。村田の家のこと。

何か痛いところを、突かれる気がする…。

「村田の家に行ってるんだろ。お前は何も俺に言わないな。

 お前のママから聞いてるんだぞ。全部。」

健吾が一瞥を投げながら言う。

えー。ママのおしゃべり…。口止めしておけばよかった。

「俺は美桜のこと親友だと思っているのに、美桜は違うんだもんな。」

確かに、親友って感じではないよなあ…友達ではあるけど。

親友はえっちなことしようとしないし。

そう思うが、言っても聞かなさそうなので黙っておく。

「俺は光がいなくなったことも知ってるけど、

 村田に言わなかったぞ。親友だからな。」

「え、そうなんだ。」

意外に思って健吾を見る。きっと、光のこともママに聞いたんだろう。

それは言うタイミングを逃してただけだからいいけど、

村田に言わないでいてくれてよかった。

悲しい顔の村田を思い出す美桜。

「黙っててくれてありがとう。

 …でも、もっと早く言えばよかったのかなあ。」

村田を悲しがらせずに、すんだのだろうか。

「お前は元カレを気にしすぎだ。

 もう終わったんだから、気にするなよ。」

健吾の言葉に頷く美桜。

浮かない顔の美桜にため息をつきながら、健吾は続ける。

「そんなんで、村田の家に行って大丈夫なのかよ。

 光のことだって、気になってるんだろ。不器用なくせに。」

確かに、光とちゃんと話をしないと、とは思ってる。でも踏み出せない。

それを村田に言うのは、気が引ける。

…だったらそばにいちゃ、いけないよなあ。

思いつめたような顔の美桜に、健吾が言う。

「無理するなよ。ちゃんと親友の俺に頼れよ。」

しつこく”親友”を強調する健吾に、思わず笑ってしまう。

健吾は健吾なりに、私のこと心配してくれてるんだよね。

「うん。ありがとう。」

そう答えて、庭に咲く花を見つめる美桜だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ