熱狂
完全に忘れてたすいません
ラウール『そういえば、ガウゼルさんは、王の最初期から仕えていますよね?』
ガウゼル『ええ、そうですね。陛下が王に即位してからいますね』
ラウール『馴れ初めて言い方おかしいすけど、どう言う感じで宰相の地位についたのかな?と思いまして』と問う。
ガウゼル『それは、あの陛下に賄賂を渡そうとした時の話です』
ラウール『賄賂!。結構アレっすね。汚い場面なんすね』
〜回想〜
ガウゼルは王の書斎の扉をノックする。王は『入れ』と言う。私は『失礼します』いい、その部屋に入る。
勇儀『お前か。なんのようだ』と机いっぱいに広がる書類と格闘する王。それに私は『休憩も必要です。茶菓子の方を持ってまいりました』と言うと王は『そうだな。少し休憩するか』といい、ペンを置く。そして、私は鞄を応接の机に置き、開ける。その中身は大量の札束であった。それを見て、王は眉を顰める。王は立ち上がり、ボードゲームを取り出す。私は『これはー?』と疑問符が浮かぶ。
勇儀『お前、このボードゲーム得意なのだろう。私はこれをやろうと思っていたんだが、いかんせん教えてくれるものがいないものでな。いい機会だから教えてもらおうとな』
ガウゼル『しかし』
勇儀『いい、要件は教えながら言え』
ガウゼル『わかりました』と少し困惑しながらも、駒を並べ駒の動かし方を一通り教えた。先行後行を決め先行は王であった。
王は駒を動かしながらこう言う『お前は金で人を動かすのか?』と鋭い眼光でガウゼルを見る。
ガウゼルもまた、駒を動かしながらこう言う『いいえ、そんなことはありません』
勇儀『じゃ、あれはなんだ?。あれを見たら大多数の者がそう思うだろ』と駒を動かしながら、私が持ってきた鞄を見る。
ガウゼル『時に王よ。求心力を高めるためにはどうすれば良いでしょうか?』
勇儀『さぁな、俺にとってはどうでも良い話だ。俺の目的が果たされれば』
ガウゼル『そのスタンスでは誰もついてきませんよ』
勇儀『そうかもしれんな、だかな、俺はこの国の独裁体制に終わりを告げた。その結果国民はこれで自由になると熱狂している』
ガウゼル『そうかもしれません』
勇儀『それで、お前の言う求心力とはなんだ。恐怖か金か』
ガウゼル『どちらでもありません』とまっすぐと王を見る。
そして、私はこう言う『"恩義"です』
勇儀『恩義か。言わんとすることはわからなくもないが、あくまでも感謝されるだけだろう。人がついてくるとは思えん』。王もまた、ガウゼルを見る。
ガウゼル『いいえ、ついてきます。助けられた人間は一生離れません。恩を仇で返すような人間は、利己的な自己中しか居ません。対して今の王は言うなればボロボロの土台に座っている状態だ。何かあればすぐに崩れ去る』
勇儀『は!。なら崩れぬようにすればいい。そう思わんか?』
ガウゼル『どうやって?』
勇儀『俺の玉座を奪おうとする者、土台を壊そうとする者を排除しただければいい』
ガウゼル『それでは敵を作るだけです!』
勇儀『そうかもな、お前のやり方も賛同できん。裏で配って、繋がって、それで国はまとまるのか!』。そこにあるのは完全なる思想対立。
ガウゼル『まとまります。なぜなら、利害一致するからです。先ほど恩を仇で返す者は利己的な自己中と言いましたが、撤回します。人は理念では動きません、損得で動く。利己的な生き物です。その目の前の利益、欲を満たせる者があれば、簡単に情すら捨てるでしょう』
勇儀『は!。そうか。だが、俺は理念では勝った。この国のクソ国王とその取り巻きを殺したあと、民衆の支持を集めこの国の王となった。その時に言った、この国を世界一豊かな国にすると。これは理念じゃないのか』
ガウゼル『いいえ、あなたのやったことは理念じゃない、怒りだ!。民衆の怒りを前国王に対する不満を利用したんだ!』。バンと机を叩く。その衝撃で駒が倒れる。
勇儀『少し熱くなり過ぎたな。茶でも飲んで落ち着こう』
ガウゼル『そうですね』といい、駒を元に盤面に戻す。
勇儀『お前は熱狂は好きか?』と茶を啜りながら問う。
ガウゼル『熱狂ですか?』と少し考え、『まぁ、好きですね』と答えた。
勇儀『私は確かに、理念で王になったわけじゃない。しかし、怒りを利用したわけじゃない』
ガウゼル『何を利用されたのですか?』
勇儀『熱だ!。さっき俺は言った、国民はこれで自由になると熱狂している。と、俺は国民の熱狂を利用したのだ』
ガウゼル『しかし、その熱狂の裏には怒りがあった違いますか?』。勇儀は黙る。そんなのお構いなにガウゼルは言う。
ガウゼル『怒り、熱狂、それらを利用し、支持を集まる。これを悪いとは言いません。しかし』といい、一拍を開け、言う。『敵が生まれる。敵が生まれると言うことは国内が分断する事になります』。勇儀が反論する『敵はいつの時代もどんな国も一定数存在する。敵がいない世界など存在しない』
ガウゼルは怯まずに応える『ならば、その敵すら恩義を売りましょう。そうして、敵を味方に変え続ける』
勇儀『面白い理論だな。仮にその理論が正しいとしよう。敵が全員消えるまで、一体どれほどの時間がかかる?』
ガウゼルは黙る
勇儀『お前は先ほど人間は情を簡単に捨てると言ったな。それは大きな間違えだ』
ガウゼル『と、おっしゃいますと』
勇儀『お前は人間の一面しか見ていない。何度も見てきた。人間が激情に任せ、人を殺すところを。常に湧き続ける負の感情は、時に理性すら置いてゆく。復讐の為に、利益や時間を気にしなくなる。復讐をした事による不利益すらを気にしなくなる。お前の理論は負の感情をどう感じさせないか。取り除くかが重要になってくる。果たして、それは一体どれほど時間がかかる?』と少し笑う。続けて『俺は一瞬で人を動かす。俺についてきたくなるように。国民を一瞬にして、熱狂を生み出そう』。その後のガウゼルの返答は勇儀を驚かせる。
ガウゼル『冷めぬお湯が無いように、冷めぬ熱狂もありません。一瞬で作り上げたものは一瞬にして崩れ去るでしょう』
勇儀はハハハハハハと笑う。そして、その返答はガウゼルを動かす。
勇儀『冷めぬ熱狂はない。一瞬で作り上げたものは一瞬で崩れ去る。そうか、そうかもな。ならば結構だ。だったら作って見せよう!、永遠に終わらぬ、冷めぬ熱狂を!。俺はいつだってそうして来た。お前も黙ってついて来い!。俺がお前に冷めぬ熱狂を見せてやる!!。チェックメイト』と言うであった。
まだ慣れないせいか。仕事めちゃめちゃ疲れる




