魔会への招待 (1)
黒田佐久夜は知らないベッドの上で目を覚ました。
「ん…ここは…どこだ?」
佐久夜はゆっくりと体を起こし、きょろきょろと
辺りを見渡してみる。
彼女が寝ていたベッドは、まさにお嬢様が寝ていそうな
屋根とカーテン付きのキングサイズベッドで、可愛らしい
ぬいぐるみなどが枕元にいくつか置かれている。
無論、佐久夜はこれらに見覚えがない。
さらに部屋を見渡してみると、壁や床は石で出来ており、
正面の壁には鉄格子の扉があった。
これらを見ただけでここがどんな場所かがわかる。
「…ここ…刑務所か?」
佐久夜はベッドから離れ、鉄格子に近づいた。
掴んでいると、当たり前だが冷たくて硬い。
揺さぶってもびっくともしない。簡単には出れなさそうである。
鉄格子の外の景色も想像通り。同じような鉄格子の扉が
あり、同じような部屋がある
…だが、他の部屋には佐久夜が寝ていたようなベッドは見当たらない。この部屋だけ特別仕様らしい。
すぐにはこの部屋からは出られないと考えた佐久夜は
とりあえずこの部屋を調べ尽くすことに決めた。
まず正面から見て右側。
一見何もないかと思ったが、壁の中央に小さなテレビが
取り付けられていた。電源はついておらず、真っ暗である。
それ以外は何も見つからなかったので反対側。
左側には小さな机があり、その上にコップと飲食チェーン店
とかでよくみる水が入った大きな円柱があった。
この水が安全かはわからないが、脱水で死んでしまう、
という心配はしなくてよさそうである。
そしてもう一つ、机の横に縦長の鏡があった。
体全身がしっかり映るほどの大きさだ。
佐久夜は鏡の正面に立つ。するとそこには、
着た覚えのない不思議な服装をした彼女がいた。
「何この服…魔女?」
佐久夜が別にコスプレ好きとかいうわけではないが、
彼女が着ている服は、よくアニメとか映画で出てくる魔女の
着ている服___ローブであることがわかった。
黒いローブで、妙にダボっとしており、赤いメッシュが
所々にある。
「赤いメッシュ…私の髪に合わせてるのか。」
佐久夜は一応高校からイカつく行こうと赤いメッシュを
入れたのだが、それに合わせているようだ。
ここで、佐久夜は今ものすごい違和感を感じた。
そして思わず口からその違和感が出てしまった。
「何で私こんなにも落ち着いてるのだろう」
佐久夜は普段緊張や焦りはしないタイプではあるのだが、
流石にこの状況だと少しは緊張するはず。
しかし、それも杞憂と考えあまり気にしないようにした。
その後も部屋の隅やベットや枕の下やシーツの中なども
調べたが、目ぼしい発見はなかった。
特にやることも無くなった佐久夜は、再度ベットに
潜り込み、この後どういうことが起きるのか予想してみた。
ここは明らかな「牢獄」である。それも古い時代の。
タイムスリップや別の世界に移動していて____みたいなのは
テレビがある時点でなしであろう。
しかし、この服装は謎である。
ローブ、魔法を使う人がよく着るやつ(多分)。
もちろん、この世に魔法など存在しないし、佐久夜が
使えるというわけでもない。しかし、この服装が
何か関係しているのは確かであろう。
…何かの実験に巻き込まれたとか?
変な会社が魔法を開発して実験者たちに使わせて
何かをするみたいな…?
ならまさか___
「魔法が…使えるのか?」
いや、流石にそれはアニメの見過ぎだろう。
(恋愛ものしか見てないけど…)
しかしそんなことをずっと考えていると流石に飽きてくる。
「時計もないから何分経ったとかわかんねぇな…」
テレビにも___って思ったのだが、ベットの上からじゃ
ベットの屋根を支える柱が死角になって見えないのか。
「…ま、いっか。」
と、またもや佐久夜は布団に潜りそのまま眠りに着こうとした。
だが、死角になっていたテレビには何かが映っていた。
それはまさにデジタル時計であり、「残り」という言葉の
下に、1ずつ下がる4つの数字があった。
『残り:58分22秒』
そして佐久夜は、それを知らない。
つづく




