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完結済『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


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第十九章 第八十三話 それぞれの未来

最後までお読みいただきありがとうございます。

ここまで書けたのは読んでくださる皆様のおかげです。

最後まで楽しんでもらえると嬉しいです。

 神が去っても、世界はすぐには変わらなかった。

 だが、少しずつ、確かに、流れは変わっていった。

 王都の外れに、新しい学校が建てられた。

 剣の音と、魔法の詠唱と、子供たちの笑い声が同時に響く場所。

 戦災孤児も、冒険者を目指す子供も、

 身分も種族も関係なく受け入れる学校だった。

「姿勢、腰が引けてるぞ!」

 木剣を振るフォードの声が響く。

「詠唱は短くてもいいの。意味が分かっていればね」

 クエラが子供の手を取り、魔法陣をなぞらせる。

 教えるのは戦い方だけではない。

 読み書き、計算、商売、交渉、薬草、鍛冶、農業。

 “生きるための技術”そのものだった。

 そして、理事長室。

 山のような書類に埋もれた男が一人。

「……予算が合いませんね」

 帳簿を閉じ、ネコルトが小さく息を吐く。

 学校経営、王国の宰相職、世界運営代行。

 さらに最近は、ナリアとイグナーツに付き合わされて体まで鍛えている。

「商人が、なぜ腕立てを……」

 ぼやきながらも、口元はわずかに緩んでいた。

 魔王領。

 ピサラの城では、新たな四天王が顔を揃えていた。

 ダイアン。

 ライブ。

 ヘトルビース。

 そしてもう一人――毒竜王の名を継いだ、その息子。

 彼らの仕事は征服ではない。

 保護と調停だった。

 少数民族、迫害される種族、行き場を失った集落。

 戦場ではなく、交渉の場に立つ四天王。

「……戦うより、よほど面倒だね」

 玉座で足を組み、ピサラが苦笑する。

 だが、その表情はどこか楽しげでもあった。

 なおダイアンは、ライブとヘトルビースの暗躍により、

 保護したエルフ族の族長の娘と妙に親しくなっているらしい。

 本人だけが、その事実に気づいていなかった。

 ちなみにピサラは、王女シレッタと文通を始め、

 いつの間にか「親友」と呼ばれる仲になっていた。

 王国では、新たな騎士団編成が行われた。

 騎士団総長バラントスのもと、体制は大きく組み替えられる。

 ラグナ率いる近衛騎士団は第一騎士団へ。

 ネコルトが率いていた親衛騎士団は、団長をクリフに引き継ぎ第二騎士団へ。

 そして――新設。

 第三騎士団長、ナリア。

 第四騎士団長、ミーニャ。

 近衛と親衛の再編は単なる人事ではない。

 王国が次の時代へ進むことを示す、新しい秩序の象徴だった。

 クリフは正式に第二騎士団団長として任命され、

 今日も王城最奥で静かに槍を構えている。

「やっぱり、勇者一行は全員残らないのね……」

 王女シレッタは、時折そう呟く。

 寂しさは隠せない。

 それでも同時に、どこか誇らしげでもあった。

 そして今日。

 王城の大広間に、久しぶりに全員が集まっていた。

 王国、魔王領、天聖府。

 三者同盟の調印式。

「この同盟が続く限り、平和は保たれるでしょう」

 王女シレッタが高らかに宣言する。

 拍手が広がる。

 彼女はネコルトを見る。

「よくここまで成し遂げました。

 褒美は何を望みますか?」

 ネコルトは少し考え、隣を見る。

「一年ほど、休暇を」

 ナリアの手を取る。

 大広間がざわめく。

「一年!?」

「世界回らなくなる!」

「学校は!?」

 ネコルトは苦笑し、窓へ歩く。

 ナリアが龍化する。

「久しぶりに、商人に戻りたいんです」

 背に乗り、囁く。

「世界中を回って、商売をしよう」

「……大丈夫?」

「大丈夫ですよ」

 城下を見下ろす。

「今度は、みんなが何とかします」

 ナリアが笑う。

 翼が広がる。

 二人は空へ舞い上がった。

 世界は、まだ不完全だ。

 争いも、過ちも、なくなりはしない。

 だが――

 守る価値があると、神が認めた世界。

 それを、彼らは人の手で守り続ける。

 空の彼方で、龍の影が小さくなっていく。

 そしてどこかで、二柱の神がそれを眺めている。

 世界は今日も、動いている。

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

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