第十九章 第八十二話 神の判決、世界の猶予
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是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。
白い空間に、説教の空気が満ちていた。
「……少し、よろしいでしょうか」
ネコルトの声が、神々の会話に割って入る。
コスモの視線が向く。
「人が、神の会話に口を挟むな」
「確認です」
紙を軽く持ち上げる。
「この契約を、無効にはなさいませんね?」
コスモの眉が、わずかに動く。
「……神に詐術を仕掛けておいて、後悔しても知らんぞ」
冷たい声だった。
脅しではなく、警告。
ネコルトは一瞬だけ目を伏せる。
「まったくです」
小さく、息を吐く。
「商人の端くれたる自分が、こんな詐欺まがいの契約をさせてしまい、
あまつさえ悪用までしなければならないとは……
本当に、情けない限りです」
悔しそうな表情。
だが、次の瞬間。
笑った。
「ですが――」
紙を軽く振る。
「コスモ様も、カオス様も。
まさか神が、正式な契約を反故にはなさいませんよね?」
コスモの目が、細くなる。
沈黙。
「……忌々しい」
低い声だった。
「秩序神が、契約を破ることはできん」
カオスが「えへへ」と笑う。
「よって」
コスモは全員を見渡す。
「カオスを殺すことはできない。
貴様らを殺せば、連動して消える」
一拍。
「人類、魔族、教会。
世界運営代行を全うし、争いを減らす努力を継続する限り――
処分は、保留とする」
宣告だった。
最初に息を吐いたのは、ネコルト。
次に、ピサラ。
教皇。
ライブ。
イグナーツ。
「つまり……」
イグナーツが呟く。
「世界は、守られたということです」
フォードたちが顔を上げる。
教皇が深く頭を下げた。
「我々の存続を賭け、子々孫々まで引き継いで参ります」
コスモは何も言わない。
カオスが「よろしくねー」と手を振る。
「では、帰るぞ」
「はーい」
白と混沌の光が交差し、
二柱の神は天へと消えた。
静寂。
世界は、残った。
数日後。
王城、大広間。
玉座の前に、勇者一行と教皇、イグナーツ、ネコルトが並んでいた。
「……つまり」
王女シレッタがゆっくりと息を吸う。
「神を、説得したのですね?」
フォードが頷く。
「説得っていうか……」
横でピサラが肩をすくめる。
「契約で首輪つけた、が近いかな」
「言い方!」
クエラが小声で突っ込む。
シレッタは小さく笑い、そして真顔に戻る。
「ですが、世界は救われた」
玉座から立ち上がる。
「皆の尽力に、王家として最大の感謝を」
頭を下げた。
王女が、頭を下げた。
大広間が静まり返る。
ネコルトが一歩進み、軽く礼を返す。
「報告は以上です。
今後は、世界運営代行を継続します」
「……本当に、行ってしまうのですね」
シレッタが小さく呟く。
勇者一行のほとんどが王国に残らないと知って。
「でも」
フォードが笑う。
「呼ばれたら来ますよ」
ナリアが頷き、ミーニャが手を振り、
ダイアンが無言で親指を立てる。
シレッタは苦笑した。
「その言葉だけで、十分です」
玉座へ戻る。
「この世界は、まだ不完全です。
ですが――」
高らかに宣言する。
「守る価値があると、神が認めた世界です」
その言葉が、大広間に響いた。
戦いは終わった。
だが、世界はこれからも続いていく。
最後までお読みいただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか。
これで本編は終わりになり、残すは後日談一話のみです。
ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。
また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。
そちらもよろしかったらご一読ください。




