第24話 本気になる勇気
南雲桃花
山桜高校吹奏楽部で部長を務めているクラリネットの3年生。吹奏楽に誰よりも真摯に向き合う。幼く可愛らしい顔立ちだが、独特のオーラがあり人を惹きつける。
オーディション終了直後、結果について話すために幹部で集まっていた。
「とりあえず、幹部は全員Aメンバーになれて良かった。」
私、山吹京、吉川いろはは無事Aメンバーになれた。幹部とはいえ、容赦をしないのが藤先生だ。京も、安堵しているようだった。
「万が一、ってこともあるから良かったわ。去年までとはまた違う緊張しちゃった。」
京の言葉に、いろはも頷き話し出す。
「3年生で落ちた子達が立ち直るまで時間がかかるとは思うけど、Dもチームとして成立させなきゃいけない。Dのリーダーを誰にお願いするのか、なるべく早く決めないとだ。」
自分たちはAメンバーだが、部全体のことも気にしなければならない。AメンバーとDメンバーで不和を起こさせないことも、私たちの役割だ。気まずい、話しかけづらい。そんなことは言っていられない。
現状を確認した後、私は2人に提案したかったことについて切り出した。
「今年、具体的にコンクールの目標立てない?西関東出場。どうかな。」
私の言葉に、京は苦い顔をした。
「目指すって意味では良いんだろうけど。こいつら何言ってるんだ?って思われないかな。」
それを聞いたいろはは、珍しくむっとした。
「ねえ、京自身が無理だと思ってるんじゃないの?」
「正直、そう。西関東行ける高校は大体決まってるし。食い込むのはかなり厳しいでしょ。口に出して、行けなかったら…怖いでしょ」
西関東大会出場は、非現実的とまではいかないが厳しいラインだ。口に出すことで部員と自分たちで温度差が生じるかもしれない。しかし、山桜高校が1つ上のステップに進むためにはこの目標を立てるしかない。
「無理かもって気持ち、正直わかる。口に出さないと、叶えられない。西関東出場はそれくらいの壁。できないじゃなくて、まだわからない。可能性はゼロじゃないよ。私、ちゃんと頑張ってみたいの。」
不安げな顔だった京は私の言葉で決意を固めてくれたようだ。
「桃花がそうしたいなら、ついていくわ。怖いけど、言ってみよう。」
京の言葉に、いろはも続ける。
「他の部員のリアクションに関してはある程度覚悟の上で。私たちはそのために何が必要か、具体的に考えよう。」
「そこは、私たちが頑張らなきゃいけないね。あと、これは藤先生に頼らず自分たちで伝えよう。大事なことだからね。」
3人で方針を固めることができた。幹部として活動し始めて半年。気づかないうちにここまで本音で話せる存在になれたのは幸せだ。
次の日、私たちは『西関東を本気で目指したい』という想いを部員たちに伝えた。どうなるかはわからない。ただ、これは大きな一歩である。
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