第23話 私たちが目指す場所
堺田芽衣
山桜やまざくら高校に入学した1年生。クラリネットパート。
落ち着いた印象を持たれるが、感情の起伏は人並み。
オーディション翌日、本格的にAメンバーとDメンバーで分かれての活動が始まった。クラリネットは12人いたのが8人に絞られてのパート練習は、寂しさを感じざるを得なかった。やること自体はオーディション前とさほど変わらないが、人数が減るとミスも目立つ。全員が神経を使いながら、練習をこなしていた。
合奏の前に、Aメンバーのみのミーティングが行われた。部長の南雲先輩、副部長の山吹先輩と吉川先輩が主導の集まりのようだ。南雲先輩が話し出す。
「音楽と向き合うことも重要ですが、コンクールに出る以上は結果にもこだわりたいと考えています。昨年度は県大会銀賞という結果でした。今年度は、県大会金賞、西関東大会出場を目指すという方針で活動をしていきます。埼玉県大会を突破するのは簡単ではありません。1人1人、自分の課題に向き合っていきましょう。」
その言葉の後、山吹先輩も話し始めた。
「例年、具体的な目標というのを立てていませんでした。あくまで音楽をするのであって、結果はそれについてくるものだと。ただ、具体的な目標があった方がそれに届いた嬉しさも、届かなかった悔しさも増す。山桜の未来に良いものをもたらしてくれることを期待して、このようにしました。」
吉川先輩も、口を開いた。
「まあ、具体的に言うと。特に課題曲は、上位の団体と聞き比べても劣らない演奏をしなきゃいけない。同じ曲を吹いていた場合には、差が浮き彫りになる。完成度が求められるのから、その分曲を理解しないといけない。大変だけど、頑張るしかありません。」
この人は気怠そうに見えてちゃんと喋るらしい。むしろ、音楽に関してはリーダー的な存在なのだろう。
最後に、また南雲先輩が話し出した。
「特に2・3年生にとっては、口に出さないけど目標にしていたことだと思います。ただ、『どうせ無理だから』と思って言葉にできずにいた。私たち幹部だって、一緒です。これをみんなに伝えるかどうかで、少し揉めちゃいました。でも、口に出して本気で目指さなければ叶わない.そのくらい、西関東大会出場は高い壁です。みんなを信じて、言葉にしました。どうか、一緒に走ってほしいです。」
「いいね。南雲たちらしい決断。」
藤先生がいつのまにか入り口に立っていた。そのまま、先生も話し出した。
「西関東を目指すから、といって何か変えるわけではありません。でも、言葉にするのは良いことだ。後輩たちはこの姿、よく覚えておきな。」
まとまった、といえるのかは分からないが雰囲気は引き締まった。先輩たちのこの決断がどう影響するかは、今後わかるだろう。
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