ep.1姉ちゃん~天宮 今日子 27歳~今日子視点
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今日のエビフライ最高!
マジでうまかった
また同じのよろしく
てか今、目の前で翔がトンカツ食ってんだけど
めっちゃ食いたくなってきた
晩飯トンカツがいいな
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毎日お昼休みに必ず届く、弟からのお弁当感想LINE。
そして日によって違う色んなバリエーションの「ありがとう」「うまい」のスタンプ。
毎日毎日、変わらずに届くそれを見ると自然と頬がゆるむ。
そしてそんな私を見て呆れたように悪態をつく友人と、それを諌めるもう一人の友人。
私の同僚兼親友。そのうち一人は私の義姉でもある。
「何?またシスコンLINE?毎日毎日うっざ~~…。アタシだったら弟とか妹にID教えない。てかLINEしない」
彼女は
足立 リサ
この会社に入社してから仲良くなった、同期の中でも特に親しい友人。
「リサ!!またそんな事言って…ハァ……前君、なんだって?」
こっちの彼女は
一之瀬 菜々子
大学の先輩で、この会社の同期で、なんと私の義姉でもある。
「ん?海老フライ美味しかったと、今日の晩御飯トンカツが良いんだって」
そして私
天宮 今日子
大手化学系メーカー勤務、新商品開発チームのチームリーダーを務める27歳、独身。
チームリーダーといっても、あくまで代表。チームをまとめる存在。
そしてこの二人は私のチームの頼れる同僚であり、何でも話せる親友だ。
そんな二人と食べるお昼ご飯。
話題はほとんど私の兄弟の事。
「前君だっけ?んな事いちいちLINEする意味わかんない。完璧シスコンだよね。それに喜ぶキョーコもブラコン。ナナの旦那もシスコン傾向あるし……何?シスコンブラコン家系なの?」
「シスコンじゃなくて未来也さんも前君も妹と姉が大切で大事なんだよ」
「それがシスコンじゃん!!」
「違うってば!!キョーちゃんも反論しなきゃダメじゃん!」
「いや~……毎日毎日言われたらさ、反論するのも面倒になって」
「もう…キョーちゃんまで」
何ともくだらない、変わらない会話。
ほのぼのとは言わないけど、口煩くも楽しい友人二人。
でも家はシスコン、ブラコンではないと思うな。
家庭環境がそこそこ特殊だから、そう思われる言動や行動が目立つのは仕方ないと思うし。
何より自慢の兄と弟だから好かれているのは嬉しい。
うん。普通に嬉しい。
「そんなんじゃ弟君は彼女できないね。一生独身!一生姉の後ろをついて回る!断言できる!!」
「断言した後で悪いけど、前には彼女いるよ。しかもめっちゃ可愛い彼女。中学の時も二人いたしね」
「へぇ~。前君彼女できたんだ。めっちゃ可愛いって、惚気てたりするの?」
「ううん。前って、惚気どころか彼女のこと全然話さないんだよね。詩織ちゃんは……あ、前の彼女ちゃんね。詩織ちゃんは前の友達に会った時に、たまたま紹介してもらったの」
「あ~~~あ!!シスコン高校生にすら彼氏が出来るのに、なんでアタシにはイイ男が出来ないかな!?」
「あれ?リサって若手議員の彼氏が出来たとか言ってなかった?」
「菜々ちゃん知らなかったの?その人とは先月別れたんだよ。理由は口煩くてお父さんみたいだからだって」
「そうなんだ」
「その後も消防士とか占い師とか医者とか……色々付き合ったけど、全部別れたってさ」
「……ある意味凄いね」
「はぁ~……イイ男………どこかに………あぁっ!いたよっ!めっちゃイケメンの優良物件が!!」
リサがいきなり小声になり、私達のテーブルの数個前のテーブルを綺麗なネイルで指さした。
後でネイルが派手過ぎるって注意しよう。
ネイルするなって言っても聞かないしね。
「リサ!ネイル派手過ぎ!!一応薬品扱う現場預かってるんだからもっと自覚しなよ!」
私が注意しなくても義姉が先に叱
ってくれた。
ごめんなさい。本来ならリーダーの私が1番に怒るべきなのに……リサのファッションに関しては……もう諦めてるからな~……私は。
「いいじゃん。リーダーが黙認してるんだから」
「いや、認めてはいないからね。ネイルするなって言っても聞かないだろうけど、今日のネイルは派手過ぎ。むしろギラつき過ぎ。そして白衣の下ワンピース胸元が空きすぎ。ヒール高過ぎ。髪は巻き過ぎ。ピアスも多過ぎ。せめてもう少しおとなしい格好してよ。薬品扱う時は指輪も外す」
「はぁあああ?ネイルしてても爪は短いしワンピの色なんて地味なボルドーだしパンプスのヒールなんて7cmだしピアスも小さいリングばっかりですけどぉお!?てか指輪ならナナもしてんじゃん!?家族だからって依怙贔屓?」
「私のは結婚指輪です!」
リサはいつも全体的に派手な格好。
ファッションの事はよくわからないから何系かは知らないけど…こう……男を誘うような格好ってやつ?
私達は共通の白衣を着ているけど、リサの白衣の下はいつも凄い。
それに加えてハーフの彼女は肌も白く可愛い顔をしている。
こんな会社で薬品相手にするより、新宿や銀座のお店で働いた方が似合うんだろうけど……客への愛想笑いってリサの性格上無理だろうな。
飲みに行った店でたまたまリサの好きなお酒が品切れになった時も、かなり店員にキレて……菜々ちゃんと二人がかりで止めたのはまだ記憶に新しい。
ただ、暴れたリサを擁護する訳じゃないけどアレは店員の態度も最悪だったからキレてもしょうがないっちゃしょうがない。
……いい大人なんだから我慢しなさいよ、とは思うけども。
「まぁまぁ、そんな事より……あの人!」
「誰?」
リサの言葉に振り向く菜々ちゃん。
ちなみに今は私の右隣にリサ、向かいに菜々ちゃんがいる。
菜々ちゃん越しに見ると……私達のテーブルから数個先のテーブルに座るダークグレーのスーツを着た男性が一人で食事中。
見た感じは茶髪にピアスで軽そうな20代後半か30代前半かな?
少し日本人離れした顔は隣に座るリサに近い。
「誰?」
先程菜々ちゃんが言った言葉をもう一度私が告げるとリサは嬉しそうに、むしろ興奮気味に話す。
「ほら!今月から来た営業の櫻木さんだよ!!キョーコ知らないの!?」
「営業?……あぁ、支店から移って来たっていう人ね。営業部の部長が言ってたような……?」
「そう!その人!!成績はめちゃくちゃ優秀で本社のうちに引き抜かれた営業部のエース!身長188cm!趣味はピアノと料理!しかもコーヒーは豆から淹れるタイプ!海外留学もしてたらしくて、おまけにイギリス人のクォーターの超ぉおおおイケメン!!」
「逆になんでリサそんなに詳しいの?」
「菜々ちゃん…多分リサは次の彼氏として目をつけてるからだと思うよ」
「……………リサってホントに逞しいよね」
呆れたように話すと、菜々ちゃんはもうリサの彼氏候補には興味ないのか、体の向きを正して、サラダに入っているトマトをフォークで刺した。
私も例の櫻木さんとやらを覗き見るために左へ傾けていた体を正し、弟が気に入ってくれた海老フライをかじる。
衣をキャラメルコーンで作った海老フライ。
テレビで見たのを真似したんだけど、結構美味しい。
今度はサワークリームオニオン味のポテチでも使ってみようかな。
なんて考えてるとリサが爆弾を落とした。




