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#25 アゼムのクリスタル

ノクスって…。

いや…。(視線を逸らす)

……。

性格ひん曲がってるな!(言ってしまった…)

サンクレットは、

真剣な表情で切り出す。


「感動の再会はさておき、本題に入ろう」


アルフィノは、

周囲を見回しながら、

落ち着いた声で問いかけた。


「外の荒れ具合を見たところ……私たちが駆けつけるまでに、何かあったようだね?」


カリオンは、

小さく息を吐き、肩を落とした。


「……俺が話す」


短く、

事情を説明すると、

暁の面々の間に、ざわめきが広がる。


アリゼーが、

目を見開いた。


「アゼム?」


アルフィノも、

驚愕を隠せずに声を上げる。


「十四人委員会の……あのアゼムのことかい?」


仲間たちは、

顔を見合わせ、

理解の及ばないまま首を振った。


カリオンは

唇を噛み、視線を伏せる。


「悪い……何のことだか……」


エメトセルクが、

低く呟き、

その沈黙を、断ち切った。


「……私と同じ、転生したアゼムだ。……やれやれ、それくらい察しろ」


英雄が、

ゆっくりと、

クリスタルを取り出す。


淡い光が、

揺らめいた瞬間、空気が一変した。


エメトセルクの胸の奥が熱くなる。

手がわずかに震える。


「そ……それは……」


喉が塞がる。

視界が滲む。


胸の奥に、

押し込めていた何かが、

堰を切ったようにあふれ出す。


彼は、

崩れるように、

膝をつき、唇が震えた。


「……厭だ……厭だ……どうして、こんな……」


嗚咽が零れ、

部屋の空気を震わせた。


アリゼーは、眉を寄せる。

けれど、どこか優しい。

微笑を浮かべた。


「エメトセルクが泣くなんて……なんか変な感じね」


アルフィノは

そっと頷き、

目を伏せる。


「人として生きている証拠じゃないか」


英雄は、

静かに歩み寄り、

クリスタルを差し出した。


エメトセルクは、

涙を拭うこともせず、

それを胸元で抱きしめる。


冷たい光が、

指先から伝わる。


次第に、

温かいものが、

心を満たしていく。


「……すまない……」


掠れた声で、

それでも言葉を絞り出す。


謝罪とも、

祈りともつかぬ声だった。


彼は

肩を震わせ、

深く息を吐いた。


長い孤独の幕が、

静かに降りていくようだった。


サンクレットが、声を張る。


「お前たち、アゼムが今どこにいるか、知っているのか?」


カリオンは、

肩を落とし、

小さく首を振った。


「いや……わからない」


ヤ・シュトラが、

周囲を、

警戒するように、目を走らせる。


「ただならぬ気配は感じる。案外、近くに潜んでいるのかもしれないわね」


カリオンは、腕を組む。

眉を寄せて呟いた。


「彼女は斧術士のはずだ。なのに片手剣をあの器用さで扱っていたんだ」


オルフェンが、

唇を噛んで首を傾げる。


「なんか、違和感があるんだよな」


サンクレットは、

目を閉じ、

小さく息をつく。


「そこが引っかかるな」


オルフェンの、

顔がぱっと明るくなる。


「そうだ。居場所ならエメトセルクの転送術で探せばいいんじゃねぇの?」


カリオンの、

表情が硬くなった。


「お前、空気読めよ。肉体だけでなく精神もボロボロだ。無理をさせるな」


エメトセルクは、

小さくため息をつき、肩をすくめる。


「やれやれ……私を甘く見るな」


オルフェンが説明する。


「気を一点に集中すれば、一瞬で転送できる」


エメトセルクは

腕を組んで眉間に皺を寄せた。


「軽々しく言うな。それには膨大なエーテルが要る」


ルミナが確認する。


「確か、四人までしか転送したことがないはずです」


エメトセルクは、

沈んだ声で、頷いた。


「ああ。その通りだ。人数が増えれば、私の体が持つかどうか分からない」


ノクスが、

不敵に笑う。


「一か八かってわけか」


エメトセルクの瞳が鋭くなる。


次の言葉は、

震えを含んでいた。


「厭だ、厭だ……私を殺すつもりか?」


両手が小刻みに震え、

部屋の空気が一瞬凍る。


視線が全員に集まる。

沈黙が続いた後、アルフィノが慎重に問う。


「エメトセルクの術は、エンシェント・テレポのようなものなのだろうか」


ヤ・シュトラは、肩をすくめる。

エメトセルクを見つめる。


「逆に、私が本人に聞きたいわ」


エメトセルクは、

息を整え、ゆっくりと答える。


「私は魂を感知できる。それを頼りに、その人物の近くに転送するだけだ。だが――」


眉間に皺を寄せ、声が低くなる。


「それには相応のエーテルを消費する。私が耐えられなければ、皆が散り散りになる可能性もある」


アルフィノは、

静かに考え込んだ。


部屋の空気が、

少しだけ重くなる。


ウリエンジェは、

胸の前に片手をそっと添え問いかける。


「魂が耐えられないかもしれない、と受け止めてよろしいでしょうか……」


言葉の端が震え、

返答は祈りにも似ていた。


全員の視線が、

自然とエメトセルクへと吸い寄せられる。


カリオンは、

息を呑み、声がかすれる。


「お前……魂を犠牲にしていたのか」


エメトセルクは、

小さく肩をすくめる。


微かな、

ため息を漏らす。


顔には、

疲労の影が落ちていた。


「命がけなのは紛れもない事実だ」


ノクスは、

苦笑を漏らしながらも、

どこか哀れみを含んだ目で彼を見た。


「結局、一か八かの賭けか」


エメトセルクの瞳に鋭さが戻る。


声は低く、

震えていた。


「……軽々しく言うな。命を賭けるというのは、そう易々と出来るものじゃない。理解しているのか」


カリオンは、

両手を広げ、

仲裁の仕草を見せる。

その目は、揺れていた。


「落ち着け。まずは状況を整理しよう」


サンクレットは、一歩前に出る。

眉を寄せた。


空気は、

氷のように冷たい。


「居場所は特定できるのか?」


エメトセルクは、短く首を振った。


「出来ない。それが問題だ」


その仕草に、

一瞬だけ、脆さが垣間見えた。


しばしの沈黙。


誰もが、

その言葉の重さを噛み締める。


ダスクランが、口を開いた。


「最大四人まで転送可能だ。まず偵察部隊を出して、時間を稼ぎつつ術の負担を最小化するのが現実的だろう」


言葉は、

冷徹だが役に立つ。


緊張は、

少しだけ行動へ向かい始める。


サンクレットが、

英雄を鋭く見つめる。


「俺はその偵察部隊に入る。お前も来るだろ?」


英雄は、

短く頷く。

視線をそらさずに応じた。


アルフィノは、

胸に手を添えて答える。


「私も行こう!エメトセルクは、体を休めつつ補助だけで構わない。どうだろうか?」


エメトセルクは

肩をすくめ、少し苦笑する。


「やれやれ…まぁいいだろう。私はあくまで補助だ。戦力にはならないと思え」


アルフィノは、

深く頷く。


「承知した」


アリゼーは

眉をひそめる。


軽く、

視線を巡らせながら問いかける。


「で、アゼムはどうするの?」


カリオンは、

拳を軽く握り、

意を決したように言う。


「正気を取り戻させたい」


アリゼーは、

再び眉をひそめる。


視線を、

アシエルに向ける。


「戦う以外に、何か手はあるの?」


アシエルは、

俯き、考え込む。


「何か混乱している様子があった…話し合えばもしかしたら…」


突如、

サンクレットのリンクパールが鳴り響く。

手を耳に添えて応対する。


「取り込み中、申し訳ないが…アゼムの目撃情報が入った」


アルフィノは、身を乗り出す。


「場所は?」


サンクレットは、

耳に集中し、唇を引き結ぶ。


「スウィフトパーチ入植地近辺だそうだ」


ノクスは、

小さく肩を落とす。


「えぇ…転送術、見られないの?ちょっと楽しみにしてたのに…」


目線は、

エメトセルクに向けつつも、

諦めたように、腕を組み直す。


オルフェンは、

首をかしげ、眉をひそめる。


「スウィフトパーチ?あそこって何かあったか?」


カリオンは、肩をすくめる。


「いや…入植地以外には何もなかったはず…」


ダスクランは、

鋭く目を光らせる。

体を前に傾けた。


「こんなチャンス、二度とない!」


アリゼーは、

少し前のめりになり、

唇を噛んで決意を固める。


「すぐ行きましょう!」


サンクレットは、眉をひそめる。


呼吸を整え、

静かに言った。


「俺は先に偵察しに行く。お前も来るだろ?」


英雄は、

軽く頷く。


二人は、

互いに目配せた。


気配を、

抑えながらテレポした。


光の粒が弾け、

二人の姿は、

その場から掻き消えた。


カリオンは、

鋭い視線で、エメトセルクを見つめた。


「エメトセルク、どうする?」


エメトセルクは、

ゆっくりと呼吸を整える。

眉間に深い皺を寄せた。


「勿論、私も行く…」


言葉は短く、

その声には迷いはない。

決意と、

微かに、

張り詰めた緊張が混ざっていた。


部屋の空気が、

一瞬、

静まり返る。


皆の視線が、

自然と、

エメトセルクへ集中する。


体の奥を、

冷たいものが這う。


次に訪れる戦いと、

未知の危険がそう感じさせた。

最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。

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