#21 いやぁッ!!
儀式の部分、
初代と大きく変更されたんです。
そこは、
湿った空気と、
冷たい岩壁に囲まれた暗い洞窟。
白く輝く鎖が、淡く揺る。
影が壁を踊る。
奥には、
薄暗い祭壇が、
ぼんやりと浮かんでいた。
「嫌だ!離して!うあ〜ん…助けて、アイデネウスー!!」
アゼムは
体を必死にひねる。
強力な魔力に、
押さえつけられ、逃げられない。
「アゼム、うるさい!」
メレアスの、
魔力で口を塞ぐ。
もがく手足は、
宙を泳ぐようで、
体の自由は奪われていた。
恐怖と絶望で、
アゼムの瞳は、大きく見開かれる。
鎖が、
胸を締め付ける。
圧迫感が、
奥深くまで突き刺さる。
メリアスは、
扉の前で深呼吸し、
覚悟を決めて中へ入る。
「お待たせ。連れてきたよ」
ダスクランが、
笑みを浮かべ出迎える。
「待ってたぜ、メレアス!」
ノクスは
ガッツポーズを決める。
アシエルは、
微笑みながら、
メレアスの頭を優しく撫でる。
「よしよし、偉かったねぇ」
メレアスは、
達成感と悪戯心の混じった笑みを浮かべる。
ノクスは、
舌なめずりしながらアゼムに近づく。
アシエルが、鋭く睨む。
「触れるんじゃないよ!」
「…ちっ!」
ノクスは、
舌打ちする。
ダスクランは、
興味本心で尋ねる。
「エメトセルクは抵抗してきたか?」
メレアスは、
肩をすくめ、苦笑。
「いや…全然。ただの人間だったよ」
アシエルは、
顎に手を当て考え込む。
「転生すると…こうも弱くなるものか」
ノクスが、
冗談めかす。
「あいつ、追って来たりして」
メレアスは、
額に汗をにじませる。
緊張しつつ言った。
「強烈なのをお見舞いしたから、もしかしたら…殺しちゃったかも!」
――手加減したけど…大丈夫だったかな?
洞窟の闇に、
高笑いが冷たく響き渡る。
アゼムは、
恐怖と悲しみで泣き崩れる。
「ん!んっんー!!」
心臓が早鐘を打ち、
体をもがくたび鎖が締め付ける。
現実とは、
思えぬ光景に、逃げ場はない。
ノクスは、
手揉みをしながら確認する。
「で、お楽しみの儀式は?」
白く輝く鎖が、
揺れるたびに、
光が暗闇に反射し、
不穏な空気が辺りを包む。
アゼムの、
恐怖は増すばかり。
逃れられない。
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ノクスは、
ウロウロ歩き回り落ち着きがない。
「なぁ……俺、もう待ち切れない!!」
ダスクランは、
苛つきながらノクスを宥める。
「焦るな、準備が整ってない。おい!お前も手伝えよ」
メレアスは、
手を止め不安そうに呟く。
「あいつ……追ってくるかな?」
――追ってくるだろうな…怒ってそう…。
ダスクランは、
黙々と準備をする。
「ふんっ!どうせ来ても一人だろうよ」
準備が整う。
アシエルが、声を上げる。
「始めるわよ」
アゼムは、
涙目で焦ってもがく。
「ん!んぅっ、んー!!」
鎖は、
一層きつく締まる。
暗い廊下の奥。
重々しい扉が並んでいた。
ひとつ開かれる度、
ひやりとした空気が流れ込む。
視界に映るのは、
無機質な壁と揺らめく影、
そして蠢く白い魔力の鎖だけ。
どこへ、
連れていかれるのか、全く見えない。
扉を抜ける度、
湿った冷気と、
石の匂いが強まる。
恐怖と絶望が、
胸を締め付ける。
――逃げなきゃ……逃げなきゃ……!
頭の中で
必死な声が響き続けるが、
鎖はその望みすら封じるように強く食い込み、逃げ場はどこにもなかった。
闇と静寂の中。
アゼムはただ、
白い鎖に引かれるまま、
儀式の場へと運ばれていった。
辿り着いたのは、
湿った石壁に囲まれた薄暗い部屋。
床には、
禍々しい魔法陣が刻まれる。
その線は、
不気味に淡く光を放っている。
アゼムは、
見えない力に、
押さえつけられ、中央に跪かされた。
その周囲を
取り囲むように、
メレアスたちは円を描く。
ゆっくりと、
低く唸るように声を合わせる。
空気が震え、
石の壁に反響する、
その音は、
まるで洞窟そのものが、
呪文を唱えているかのようだった。
(全員一斉に演唱)
“我が身を縛る力よ、今ここに断て“
(二人ずつ演唱、声が重なり渦を巻く)
“外なる存在よ、我が意志に従え”
(合唱、声が幾重にも重なり低音が部屋を震わせる)
“濁れる霧よ、散り去れ”
(全員で一斉に、響き渡る声が床と鎖を震わせる)
”清き光のみ、この身を照らせ“
(最後、全員の声が轟き、魔法陣が強烈な光を放つ)
“干渉するものよ、我が前より退けよ”
その瞬間、
アゼムの視界が、
裂けるように歪んだ。
光と闇が交互に点滅し、
過去の記憶が勝手に浮かび上がっては消えていく。
夢や願望。
それらすべてが、
鎖に絡め取られ、
強引に引き剥がされていく。
――いや……いやぁッ!!返して!これは……私の…体…!
胸の奥から、
何かが剥ぎ取られる感覚。
魂そのものを、
削がれるような痛み。
叫び声は、
魔法陣の光に飲まれ、
跡形もなくかき消された。
やがて、
静寂が訪れる。
残響だけが、
いつまでも石壁にまとわりつくように響いていた。
光は消え、
鎖はただ白い灰となって崩れ落ちる。
そこに残ったのは、
跡形もない外なる力だけだった。
最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。




