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#11 ソロル

『ソロル』

古代人時代の生まれ持った名前です。

アゼムはエメトセルクの温もりに包まれたまま、すぐに深い眠りに落ちていった。

胸の奥の緊張がゆるみ、体全体が軽くなる感覚に、不思議と安堵が広がる。


夢の中で、目の前には自然豊かな園庭が広がる。

柔らかな風が草木を揺らし、かすかな鳥の声が響く。

冷たい現実の重さはどこか遠くへ消え、全身が風と光に溶け込むようだった。


すると、黒いローブをまとった男性が静かに近づいてくる。

歩くたびに周囲の空気が柔らかく震え、まるでその存在自体が穏やかな力を放っているかのようだ。


「ソロル」


優しい声が耳元でささやかれ、アゼムの心は自然と反応した。

驚きや警戒心はなく、ただただ、安心と柔らかい温もりに包まれる。


アゼムは自分の顔を指差し、小さく呟く。


「私…?」


「ソロル、自分の名前を忘れたのか?」


男性の瞳は穏やかで、どこか懐かしい光を帯びている。


「あ…え?! エメトセルク…さん?」


「? どうした、お前…頭でも打ったのか?」


声には苛立ちの影はなく、ただ優しさだけが残っていた。


「え?? 打ってませんけど…」


思わず答えたアゼムに、ため息混じりの小さな笑い声が返る。


「…やれやれ、その口調、どうにかならんのか」


そして、ふわりと腕に抱き寄せられる感触。

耳元でささやく声に、アゼムの頬が自然と赤くなる。


「ソロル…」


夢の中なのに、胸の奥がじんわりと熱くなる。

不思議なことに、現実では感じたことのない重みと、同時にほっとする温かさが入り混じる。

目を閉じれば、風の匂いも、エメトセルクの香りも、すべてが鮮やかに感じられ、夢であることすら忘れそうだった。


「……なんで、こんなに胸がざわつくんだろう」


小さく呟き、赤面しながらも、アゼムはその腕の温もりにそっと身を委ねる。

その温かさは、胸の奥までじんわりと染み渡り、緊張も不安も、少しずつほどけていくようだった。

夢の中の柔らかな時間に、アゼムはただ、安心と心地よさに包まれていた。


ここ、

この話、

覚えておいてくださいね。


――布石。

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