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ビヨンド港

「おーでっかい帆船!」


 ゼント達は昼食の後、ビヨンド港に来ていた。港には帆船や多数の漁船が泊まっていた。


「あの帆船は南方の島国との貿易に使われている船なんですよ。ちなみに当商会が建造したものです。」


 シェリーがどや顔で説明していた。


「ところでさ、海にも魔物がいると思うんだけど、こんなあけっぴろげな状態で大丈夫なの?」


 港には陸地みたいな城壁は無く、普通の港なのだ。これでは海の魔物が王都に入り放題だろう。


「昔は海岸側にも城壁があったのですが、大きな船の出入りが大変だったので今では魔石を用いた結界で河口から港の周りを覆っているんですよ。沖合にいくつか灯台が立っていますよね、あの中に結界用の魔石が入っているんですよ。更にですね。この結界は許可を得た船しか出入りできないようになっていまして、海賊避けにもなります。」


「へー凄いんだね。」


「はい、これも当商会が造ったもので、私の祖母がやっている頃でした。」


 本当、この商会何でもやってるんだ。ゼントはしみじみ思った。


「それでは、次は河口の方に行ってみませんか?」


 ゼント達が港沿いに河口の方に歩いていくと漁師らしき男の一団がいて皆がシェリーさんを見て挨拶をし、その中の一人がこちらに近づいてきた。


「シェリーお嬢さん、別嬪さん達を引き連れて今日はどうしたんです?」


「あら、こんにちはゲンさん。この方々は冒険者で、先日お世話になったお礼を兼ねて王都をご案内してるんですよ。」


「そうなんですか、ああ、俺はここで漁師をやってるゲンって言うんだ。」


 ゼント達は一通りゲンに挨拶をすると、ゲンはゼントに対して、背中をバシバシ叩きながら羨ましいと言っていた。

 このゲンと言う男は2m近くある巨漢で、日焼けして真っ黒になった肌と厳つい顔つきで一見怖そうであったが、思ったより気さくな人だった。


「まあ、俺らも海の冒険者みたいなもんだから、よろしくな!」


「はい、よろしくお願いします。」


 海での漁は海のモンスター襲ってくることが多く、陸の冒険者の様に漁師もスキルを駆使してモンスターと戦いながら魚を獲っているのだ。当然魚のモンスターも捕獲対象である。


「ところでゲンさん、最近海の魔物の様子はどうですか?」


「それがね、最近は全く魔物が出ないんですよ。まあ、普通の漁はしやすいので文句はないんだが、こうも出てこないと薄気味悪いっすね。」


「そうですか、何かの前兆じゃないといいですが・・・。」


 シェリーは少し考えた後、ゲンに言った。


「ゲンさんお願いがあるのですが、他の漁場でも魔物が出ないのか知り合いの漁師の方にきいていただけませんか?」


「そうだな、俺と同じところで漁をしている奴も魔物遭遇しないっていってたからな、他の漁場の漁師に聞いとくよ。」


「お願いします。後でお礼はしますので。」


「そんな、お嬢さん、お礼なんていらないよ。それより今日取れた生きの良い魔アジをお店の方に持っていくからよかったら食べてよ。」


「本当、いつもすみませんね。」


「いやいや、お世話になっているのはこっちなんだから気にしなくていいよ!」


 ゲンは軽く頭を下げると、漁師仲間と思われる一団に戻っていった。


 その後ゼント達はシェリーに連れられてビヨンド川の河口にやってきた。


 ビヨンド川沿いには河口まで城壁があり、そこから結界システムに繋がっているのだ。


 ゼント達が階段を使い城壁の上の見晴台に昇った。この見晴台は観光用に造られたもので周囲が一望できるようになっていた。


「あそこに見えるのがフィールド大橋です。」


 河口から少し上流に巨大なフィールド大橋が見える。王都に来る途中で見た時も巨大だと思っていたが、近くで見ると本当に大きい橋だ。対岸の部分が霞んでいる。


「あの橋もケイラ商会が造ったんだよね?」


「ええ、そうです。よくご存じですね。」


「いや、何となくそうかなーって。」


 ゼントは少々呆れながら返答していた。


「キャウ―!」(ちょっと橋、見てくる。)


 ブルーが巨大な橋に興味を持ったのか、急にゼントの肩から飛び上がった。


「気をつけて行って来いよー!」


「キャキャウ―!」(分かったー!)


 ブルーはゼント達の上を旋回すると橋に向かって飛んでいった。


 まるでブルーとゼントが会話をしているかのような光景(実際会話をしているのだが)を見てシェリーが目を丸くしながら質問をしてきた。


「ゼントさん、あ、あの鳥と会話ができるのですか?」


「あ、まあ何となく・・・でもブルーは人の言葉を良く理解してるんですよ。」


「凄いですね!感動しました!!」


「俺ももっと橋に近くで見たいんだけど、いいかな?」


「はい、直ぐに参りましょう。有料ですが渡ることもできますよ。」


「「是非渡ってみたいです!」」


 シェリーの言葉にゼンとゼントが食い気味に返事を返した。


 ゼント達は見晴台を降り城壁沿いに橋に向かって歩いているとブルーの念話が届いた。


(ゼント、橋の所、何か『デカいの』いる!)


(何だ『デカいの』って?)


(コノ反応ハSSクラスモンスターの『リバイアサン』ダト思ワレマス。)


 コネクトの回答を聞いてゼントは思わず声を張り上げてしまった。


「リバイアサンだと!!」


「え、ゼントさんリバイアサンがどうしたんですか?こんな場所にいるはずないですよ。リバイアサンはこんな陸地には近づかないはずです。」


 シェリーはゼントが何を言っているのか分からず困惑していた。


「コネクト、ブルーの視界とリンクさせてくれ。」


(了解!)


 ゼントの視界に黄金の巨大な蛇が現れた。


「でっかい黄金の龍だ!」


「それは・・・。」


 そう、それは正にリバイアサンだった。

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