リバイアサン①
リバイアサンと呼ばれる海龍は、姿かたちは日本人がイメージする龍に近く、蛇に短い手足がついたような体躯をしているが、体は金色の鱗を持っていた。
「リバイアサンか、ちと面倒な相手じゃのう、それにしても何でこうSSランクばかり出てくるんじゃ?」
「強いのか?ちょっとワクワクする。」
「ヤバい、橋に近づいていくぞ!」
ゼントはブルーの視覚を介してリバイアサンの動きを追っていた。
「私、見てきます!」
ヴェルスは風魔法を使って一気に宙に浮いて加速した。
「我も!」
ミュウはジャンプして城壁の上に飛び乗った。
「ゼントー、あいつどんどん端にちかづいてる!」
「分かってる。」
シェリーは何が起きたのか分からずおろおろしていた。
「シェリーさん失礼します。ばあちゃん行くぞ!」
「は、いえ、何で———!」
「ああ!」
ゼントはシェリーをお姫様抱っこして、城壁の上に転移した。
ゼンは器用にも村雨の斬撃を地面に叩きつけその反動で壁の上まで飛び上がった。
城壁の上からリバイアサンの状況が一望できた。今にもリバイアサンは橋を破壊できるところまで来ていた。上空にはブルーとヴェルス。
「ヴェルス、橋を絶対シールドで守ってくれ!」
(分かりました!)
ヴェルスは橋の上に降りると、リバイアサンに気が付いた人々がパニックになって右往左往していた。
「これから橋に絶対シールドを展開します!落ち着いて岸に向かって避難してください!」
人々は突然空から降りてきて叫んでいる美しい女性を何事かと目を向けると、その女性から金色の光が漏れ出すと、その光はあっという間に橋を覆って行ったのだ。
「女神の降臨だ!」
何処からともなくそんな声がすると皆が口々に言い出した。「女神様が助けに来てくれた。」「皆落ち着いて岸に向かって走れ!助かるぞ!」
パニックになっていた人々は落ち着きを取り戻し、岸へ向かって走り出した。」
(ゼント、ソニックアタックやってみる。)
「ソニックアタックか、無理するなよ!」
(うん!)
ブルーは高速で旋回しながら羽を畳むと橋側から水面近くをリバイアサンに向かって突進していった。ブルーが起こした風圧で水面は左右に飛沫を上げ始め、ブルーの速度が音速を越えた。
ドン!! 盛大な水飛沫が上がったかと思うと、リバイアサンは吹き飛ばされた。
「やったか?」
リバイアサンが吹き飛ばされた場所に巨大な水柱が立ち上がって雨の様に水が降ってきていた。その中から。
カッ!! 水飛沫の中を一つの怪光線がブルーに向かって放たれた。
ブルーは旋回していたため辛うじて避けることが出来たが、怪光線は次々に放たれた。
(だめ、失敗!)
「ブルー、沖に向かって飛んで奴の射程外まで逃げるんだ!」
(うん!)
ブルーが音速まで加速し射程外まで遠ざかるとリバイアサンは再び橋に向かって進みだした。
「あれはヤバい!ばあちゃん、ミュウ、シェリーさんを連れてここから遠ざかってくれないか?」
「ああ、分かった。あの攻撃はヤバすぎる。」
「頼んだ!」
ゼントはそう言うとムーブ転移していった。
「ミュウ、シェリーさんをケイラ商会の送り届けてくれんか?」
「ん————良いけど、ばあちゃんは?」
「儂は彼奴の相手をする。ゼント達だけではちと心もとないのでな。」
「我もやりたい———!!」
「まあ、少し我慢せい、お前の速さなら直ぐに戻ってこれるじゃろう。」
シェリーはゼンやミュウが何を言ってるのか理解できなかった。リバイアサンには軍隊で立ち向かって勝てるかどうかの相手なのに、たった数人で立ち向かうなど正気の沙汰ではないのだ。
「分かった!じゃあ、シェリーさん少しの間我慢してね!」
「え。何?アレ—————!」
ミュウはシェリーをおんぶするとシェリーの叫びは無視して風のような速さで城壁から飛び降り走り去った。
「さて、儂も行くぞ!」
ゼントは一気にリバイアサンより海側に転移してヴェノの翼を開いて宙に浮いていた。
「黄金の龍か。円盤になって飛んだりしないだろうな?」
ゼントは小学生の頃父親に見せてもらった古い特撮物のビデオに出てきた怪獣を思い出した。
「効くかどうか微妙だけど。」
「アイスニードル!!」
ゼントが木刀を振り下ろすと、数本アイスニードルが高速でリバイアサンに向かって行ったが、カーンという甲高い音共に全てにアイスニードルが弾かれてしまった。
リバイアサンはアイスニードルが当たったことを全く気にかけることなく、橋に向かって移動している。
「くっ、全く歯が立たないのか!」
「雷撃!」
ゼントの木刀から放たれた巨大な雷がリバイアサンを直撃した。
リバイアサンは目を閉じ、その動きを止めた。体から水蒸気が上がっているが倒れる気配はない。
やったのか?ゼントは半信半疑でリバイアサンを見つめていた。
カッ!!
リバイアサンは急にゼントの方を振り向くとを、口から先程の怪光線を放ったのだ。
ゼントは多重シールドで辛うじてを防いだが、怪光線の勢いで水面を水切りの様に飛ばされていき最後には盛大な水飛沫と共に海に沈んでしまった。
「バカが、何をやっておるのじゃ。」
ゼンは港まで来て、辺りを見回していた。
港の漁師達は派手な衝撃音と雷鳴から、リバイアサンが川を遡上していることに気が付き、船が被害に合わないよう河口から遠ざけようしていた。
「ああ、おったおった。」
ゼンは先程あったゲンを見つけて近づいていった。
「ああ、さっきの別嬪さんか、どうしたい。逃げるなら乗せていくぞ。」
ゲンは船を避難させるために丁度出向するところだった。
「いや、ゲンとやら、金を払うからこの船で河口までつれていってくれんかのう?」
「おい、あんた正気か?物見遊山ならやめておけ!」
「いや、儂は彼奴を倒しに行くんじゃよ。」
ゼンは村雨を抜いてにやりと笑った。
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ゼントが雷撃を飛ばしたころ、ヴェルスは橋の人が避難するのを待っていた。
「ゼントさん!!」
ゼントは雷撃を放った後、リバイアサンの怪光線により海まで吹き飛ばされてしまった。
リバイアサンは橋の方に視線を戻すと今度は絶対シールドを展開しているヴェルスを凝視し、間髪を入れず怪光線を放った。
「しまった、間に合わない!!」
ヴェルスが多重シールドを展開する前に怪光線がヴェルスに襲い掛かった!!
巨大な橋全体がきしむ様な音と共に橋全体が震えた!
「え?どうして?」
ヴェルスは自身が無事であることに驚いていた。
(間一髪デシタネ。私ガ多重シールドニ切リ替エマシタ。)
ヴェルスの頭にコネクトの念話が響いた。
「ありがとうコネクト!」
(ドウイタシマシテ。デモマダ状況ハ予断ヲ許シマセン。)
そう、今の一撃は防ぐことはできたがまだリバイアサンに睨まれたままなのだ。
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「エルフの姉さん、何ちゅう事するんだ!」
「ふん、このぐらいで海の男が音を上げてどうする!」
ゼンはゲンを何とか説得して船を出してもらったが、船の速度が遅いので船の後部から海の村雨を突っ込み斬撃を放ったのだ。
斬撃の衝撃波により船はモーターボートの様な速度であっという間にビヨンド川の河口まで到達したのだが、流石のゲンもこの船の動きには耐えられず、恥ずかしいことに船酔いしてしまったのだ。
「う、げ、げぇー」
「うるさい、これからあやつに斬撃を放つの集中できんぞ。」
「そ、そんな事を言ってもな・・・う、ウグェー。」
ゼンんはそんなゲンを無視して村雨を大上段に構えて目を瞑って集中した。
「空斬刃!!」
目を見開いて村雨を大上段から振り下ろして斬撃を放った。
斬撃は飛沫を上げながらリバイアサンに向かって行きリバイアサンの近くで急に上昇し、右腕に突き刺さった。
リバイアサンの右腕から盛大に鮮血が噴き出したかと思うと、ゆっくりと右腕が水面に落ち、盛大に飛沫を上げたのだ。
「よし、関節なら行けるぞ!」
「す、すげえなエルフの姉さん!」
ゼンは船上でガッツポーズを取っていた。
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一方、ヴェルスの方は。
「ばあちゃんやったなー!」
ミュウがヴェルスの近くでリバイアサンの腕がもげ落ちた所を眺めていた。
「ミュウさん!」
「ヴェルス、もうみんな避難終わったから、絶対シールド解除していいよ。」
「あ、はい。」
ヴェルスが絶対シールドを解除するとミュウがヴェルスの所に駆け寄ってきた。
「ヴェルス、お願いがあるんだけど、あいつの上、大体あいつの倍くらいの高さの所に絶対シールドを張ってくれないか?」
「良いですけど、どうするんですか?」
「うん、あいつをぶん殴るんだ!」
ヴェルスがリバイアサンの上に絶対シールドを張るとミュウはクーマオ族の姿になり一気に加速してジャンプ、なんとミュウはリバイアサンの頭の上に着地、そのまま人間の姿に戻ると思い切り上空ジャンプしたのだ。
ミュウは体勢変えて逆さになり絶対シールドに足をつけると思い切り絶対シールドを蹴った!
「こんのやろ—————。」
ミュウは絶対シールドを蹴った勢いに乗ってリバイアサンの首の近くを思い切り殴ったのだ。そう、そこは逆鱗と言われる場所だった。
「グキャ——————!!」
リバイアサンは壮絶な叫び声と共に崩れ落ちていった。
「ミュウさーん!」
ヴェルスはリバイアサンと共に川に落ちそうになっているミュウの所まで転移し、抱きかかえたのだ。
「サンキューヴェルス!」
「どういたしまして。」
「かなりダメージ与えたけど、あいつまだくたばってないよな。」
ミュウは川の中で呻いているリバイアサンを見て呟いた。
「それなら、今度は私の番です!」
ヴェルスは風魔法で飛翔して橋に戻りミュウを下ろすと両手を前に出して魔力を集中し始めた。
「さっきのお返しです! シールド・バースト!!」
ヴェルスの詠唱が終わると光の球体がリバイアサンの上に現れ一瞬で拡大して川でうごめいているリバイアサンを押しつぶした。ヴェルスは絶対シールドを防御に使うのではなく急拡大させることで攻撃に使用したのだ。
「ググギャ———————————!!」
リバイアサンは再び盛大な叫び声を上げて川の中でのたうち回っていた。
「まだ足りないみたいだな。」
ミュウがそう言うとヴェルスはゼンの船の方を見ながら言った。
「後はゼントさんに任せましょうね。」
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ずざざざー。
「ギャーモンスターだ!」
悲鳴を上げたのは漁師のゲンだった。
海藻の塊みたいなのが海から船に乗り込んだ来たのだ。
「酷いなー、人をモンスターだなんて。」
海藻の塊から手が出てきて船上に海藻を引きずり落とした。
「ゼントかい。」
「ああ、ばあちゃん。この海藻昆布だぞ!」
「そうか!そりゃあいいもん見つけたな!」
ゼンは嬉々として海藻を手に取って確かめていた。
「お、おまえ、さっきスッとばされていたあんちゃんかい?」
「ああ、そうだ。ところで奴は?」
「今、ミュウとヴェルスにやられてのたうち回っているぞ。」
「そうか、じゃあとどめをさすか。ブルー!」
「キャウ―」(お待たせ!)
ブルーが海側から飛んできてゼントの肩にとまった。
「どうするんじゃ、彼奴の鱗は簡単に貫けないぞ。」
ゼンが片腕を落とせたのは関節を狙ったからで、ゼンの斬撃でも鱗を貫くのは難しいのだ。
「大丈夫!考えはあるよ!」
川の中でのたうち回っていたリバイアサンは体を起こすと再び橋に向きなおした。
「よし、丁度いい具合だ。」
ゼントは木刀を構えて魔力を木刀に集中させると木刀の先端に黒い球体が出現した。
「そいつはあの豚のスキルか?」
「ああ、そうだ。行くぞブルー!」
「キャキャウ―!」(いいよー!)
「次元槍」
ゼントが詠唱すると黒い球体は一瞬で槍の様になったかと思うと姿を消した。
カッツ——————————ン!! 黒い槍は背中からリバイアサンを貫いた。




