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デーモンオーク

 切り刻まれた男たちの近く人はよく見ると初老の男と女性が尻もちをついたような状態でがくがくと震えながら身動きが取れずにいた。

 

「ゼント!あの二人を避難させるんじゃ!」


 ゼントは頷くと瞬歩で二人の前に一瞬で動き、二人を連れてムーブで転移しようとした・・・その時!モンスターの口から黒い球体が放出されたのだ。


「多重シールド!」


 ゼントは直観的のこの球体はヤバい!と判断し、通常の絶対シールドではなく多重シールド展開した!


 クォン! 不思議な音ともに黒い球体は多重シールドを何もなかったかのように追加したのだ。


 ヤバい、このままだと後ろの人たちに当たる!そう考えるより早くゼントは左手で球体を遮ろうしていた。


 クォン、クォン! 球体は速度は落としたものの、そこには何もなかったかのようにゼントの左手の肩の付け根まで到達すると消えたのだ、ゼントの左手を喰らい尽くして・・・。


「ぐぁ—————————!」


 ゼントの左手から鮮血が噴き出した!


「ゼント!」


 その様子を見たゼンはデーモンオークに村雨の斬撃を放った。


「くっ、ムーブ!」


 ゼントは痛みで意識が持っていかれそうになるのを堪えてムーブで二人を連れて移動した。


 ゼンの放った斬撃はデーモンオークの腹を直撃し、腹の中にめり込んでいった・・・。


 ぼよん! まるでそんな音がしたかのように斬撃がめり込んだオークぶよぶよした腹は元に戻ったのだ。


「つ・・・こいつは少々厄介な奴だね。」


 ゼンはそうつぶやくと攻撃を再開した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ゼントは魔物に襲われていた二人をムーブでギルドの傍まで転移していた。


「ここまでくれば大丈夫、俺は戻りますので二人でギルド行ってで保護してもらってください。」


 ゼント左腕の出血は止まっていたが、明らかにヤバい状態だった。

 二人共何が起こったのか良く分からない状態であったが、目の前の若者が自分たちを助けてくれたのだけは理解できた。


「貴方も一緒にギルドに行きましょう。その傷では」


 若い女性が我に返りゼントを引き留めた。


「いえ、連れの者を助けに戻ります。」


 ゼントはそう言うと二人の前からムーブで転移していった。


「一体、あのお方は・・・。」


「シェリー、とにかくギルドに行って応援を頼もう。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ゼンは村雨の斬撃を縦横無人に放ちながらデーモンオークに接近し、首元に切りかかった。


 ぼよん! 村雨はオークの首を切り裂くことが出来ず、先程の斬撃と同じように弾かれてしまった。

 剣を弾かれたゼンはその反動で後方に弾き飛ばされた。


「ちっ!」


 ゼンが体勢を崩したのを見逃すことなく、デーモンオークはオリハルコンの剣から光の刃を連続して放ってきたのだ。


 ゼンは光の刃を村雨で捌いているとその中にゼントの左腕消滅させた黒い球体がゼンの目前に迫っていた。


「光の刃は囮かい!」


 ゼンは光の刃を裁くのを止め、無理やり体勢を変え、ぎりぎりの所で黒い球体を避けたのだ。


 結果、捌ききれなかった光の刃がゼンの体を切り刻み、ゼンの全身から血が噴き出した。


「この、化物め!」


 ゼンは血を流しながらも急所を避けることが出来たので、デーモンオークから間合いを取り対峙した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ゼントは戦況を把握してから加勢するため、ゼンが戦っている場所が見渡せるよう近くの家の屋根の上に転移した。


 丁度ゼンがデーモンオークに斬撃を乱射している所だった。

 

「コネクトさっきの黒い球体は何だ?」


『アレハ、”次元喰ディメンションイーター”デス。接触シタ物体ヲ全テ食ライツクシマス。ユグドラシルノ木刀モ、村雨モ例外デハアリマセン!』


「くそ、何て厄介な!」


「しまった、ばあちゃんが!」


 加勢を躊躇していたゼントの目の前でゼンが 次元喰を避けて光の刃に切り刻まれていた。


 ゼントが何も考えずに出ていこうとしたその時。


「キャウ―!」


 ゼントを引きとめるかのようにブルーがゼントの肩にとまってきた。


(ゼント!僕のスキル シェアする。)


 ブルーが肩にとまると、念話で女の子の声が聞こえてきた。


「え?え? ブルーなのか?喋れるの?」


 ゼントは思わず肩にとまったブルーを振り向いた。


(説明後、急ぐ)

 

「わ、分かった。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 あの黒い球体は連射は苦手な用じゃ、それでオリハルコンの剣を持っておるのじゃな。体はどこもぶよぶよして駄目じゃ、頭か?口か? 口はあの黒い物を出されたら村雨がひとたまりもない。ゼンは血だらけになりながらもデーモンオークへの対処方法のために思考を加速した・・・が、次の瞬間にその加速した思考が遮られた!


「どぉりゃぁ——————————!!」


 ゼントがデーモンオークの頭上に出現したかと思うとデーモンオークの頭を思い切り木刀で叩いたのだ。


 カッコ——————————ン! 打撃音と共に木刀はデーモンオークの頭に当たることなく宙に停止した。


 やっぱり頭はシールドされておるのじゃな。ゼンの狙いは無駄であることをゼントが証明してくれたのだ。


 ゼントは攻撃が無効であることに別段驚きもせずデーモンオークから間合いを取り、ゼンから離れたところに着地した。肩にはブルーがとまったままだ。


 あやつ、あの顔は何か企んでおるな。ゼンはゼントの顔を見てにやりとした。


 ゼントは着地すると直ぐに複数のアイスニードルを放った。


 ぼよん、ぼよん、ぼよん!!全てのアイスニードルがデーモンオークの腹に突き刺さったかと思うと飛び出してくる。


 突き刺さりはしないが痛いのか、激怒したデーモンオークは光の刃を放ってきた!


 ゼントが絶対シールドで光の刃を防いでる間にデーモンオークは間合いを詰め、巨大なオリハルコンの剣で大上段からゼントに切りかかってきた。


 ガゴ————ン! オークの剣をゼントは片手で持った木刀で何とか受け止めると、ゼントのいた石畳の地面が半球形に沈み込んだ。


「くっ、このバカ力————!!」


 ゼントはデーモンオークの剣を押し戻すと雷撃を放った。



「グヒ——————————グヒ——————!!」


 稲光がデーモンオークの全身を覆い尽くすとデーモンオークは苦しそうな叫び声を上げていた。


「すこしは効いたか?」


 稲光が消えるとそこには、怒りを露わにしたデーモンオークが目を血走らせてゼントを睨んでいた。


(ブルー、来るぞ!)


(わかった!)


 ブルーが頷くいたとき、デーモンオークは光の刃を乱射してきた。

 ゼントは光の刃を絶対シールドで防ぎながら合間にアイスニードルを放ち続けた。


 これは儂がやられた時と同じパターンじゃ。ゼンがそう考えるより早く次元喰はゼントの眼の前に出現した!


 待ってたぞ!ゼントはそうつぶやくと木刀を横薙ぎに次元喰に当てたのだ!


「バカ者!それでは木刀が食われるぞ!」


 ゼンは思わず声を出し、ゼントを助けようと駆けだそうとしたその時。


「えっ?」


 ゼンは面食らったような声を上げた。

 木刀は次元喰に食われることなく、木刀の刃先にくっつくように木刀の動きに合わせて動き始めたのだ!


 ゼントは木刀をそのまま後ろに向け、更に体を回転させながら木刀を一回転させたのだ。


「喰らえ———————!」


 ゼントの周りを一周した次元喰はデーモンオークに向かって直進した。


「グギャ—————————————————!!!」


 デーモンオークのどてっぱらに見事な風穴があいたのだ!


「雷撃!」


 ゼントは止めとばかりに風穴に雷撃を打ち込んだ。


 デーモンオークの口や眼、耳から漏れだした雷撃が消えると、デーモンオークはズシンという音と共にその場にぶっ倒れた。


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