決闘×2
今回の話と合わせるため、前回のスーの「勝負してくれ」という言葉を「決闘してくれ」に修正しました。
昨日ミュウの従妹のスーって言う娘に会ったら、いきなり決闘を申し込まれたので、今ハヤトシティの郊外の荒地に来ている。どうしてもミュウの夫の力を自分で見たいと言い出したのだ。
今はハヤトシティでウイリアムさんが魔道車を修理しているので、俺達は別段やることもないので構わないのだが、ここで怪我をするわけにはいかないのだ。
「ゼント、いいな、スキルを使うんじゃないぞ!」
「ばあちゃん、なんでそうなるんだ!クーマオ族相手にスキルを使うなは無いだろう!」
「バカ言え! 儂はお前をスキル無しでも最強になるよう鍛えとったんじゃ!クーマオ族ごとき恐れる出ない!」
「いや、そんなこと言っても・・・。」
「そうだコネクト、ゼントの組織再生スキルをオフしておきな!」
『了解!』
「おい、コネクト!何でばーちゃんの言うこと聞くのー!」
『スーサンモスキルヲ使ワナイノデコレデ対等です。』
「この裏切り者ー!」
「ぐずぐず言ってないでさっさと行ってこい!」
ばあちゃんに背中をひっぱたかれてよろけるように俺はスーの前に歩いていった。
「クーマオ族ごとき何て言って!後悔させてやるから!」
「いや、俺が行ったんじゃないし!」
「えー、それではスーさんとゼントさんの模擬戦を行います。審判は私が務めます。」
ヴェルスがスーと俺の前に歩いてきて模擬戦について説明を始めた。
「スーさんは決闘をしたいとの申し出でしたが、この国では命の奪い合いをする決闘は禁止されていますので、模擬戦とさせていただきます。」
「模擬戦の時間は20分で、その間にどちらかが戦闘不能になりましたら模擬戦は終了となり、20分後にどちらも戦闘可能状態であれば引き分けとします。それから大怪我しても完全に息を引き取っていなければ私がエクストラヒールで直しますので、安心して思う存分戦ってくださいね。」
いや、そんな恐ろしいことをニコニコしながら言わないでほしい・・・。
「それでは構えてください!」
俺は木刀をスーは両手をぐーに握り体の両脇に構え戦闘態勢にはいった。
「始め!」
ヴェルスが両手を頭の上で交差させて試合が開始すると、スーが一気に間合いを詰めて殴りかかってきた。
速い!
一撃目を横に体を逸らし紙一重で躱すと次には右足回し蹴りが襲いかかってきた。
それを躱したと思った瞬間、不意打ちの様に尻尾による回し蹴りがきた!
尻尾の攻撃を木刀でいなすと今度は息をつかせぬパンチの連続技!
木刀を横薙ぎにするとバク転をして躱してまた一気に間合いをつめてパンチ、蹴り、尻尾の連続技を繰り出してくる。
ほんと、クーマオ族の身体能力は凄いな!躱すのがやっとでこちらに攻撃の隙を与えない。
俺は木刀で攻撃しようにも間合いが無さ過ぎて攻撃しあぐねていた。
今度は肘打ち!
とりあえず一撃も喰らっていないのだが・・・・ん?
俺、あの連撃技を全て躱してたの?
体が無意識に反応して躱していたみたいだ・・・スーの動きも見えてるし・・・。
連撃の速さに惑わされていたが、スーの動きは完全に見えてるし反応できてるな。
うん、ばあちゃんが言ってたのはこの事か!
それなら。
俺はスーの左の打撃を右に躱すと同時に右手に持った木刀の柄の部分でスーのうなじを強打した。
スーは前のめりなるとそのまま数メートル程つんのめる様に進んで倒れた。
「くそ―、まだまだ!」
スーはそう言うと飛び上がる様に起き上がってきた。
「いや、スー、お前の負けだ!」
知らない声の方を振り向くとそこには獣人の男が立っていた。
「「「あんた誰?」」」「キャウ―?」
「「族長!」」
「「「え??」」」「キャッ??」
ミュウとスーの『族長』という言葉に皆が目を丸くした。
「いやー、すまない。決闘の邪魔をしてしまって。」
男は2m近くある上背に金色の鬣のような髪型をし、ミュウ達と同じ様にピンと耳を立てていた。
ただ、威厳のあるその風貌に対して、態度は妙に腰が低い
「我は、クーマオ族の族長、ミュウの父親のラオ・マオと言います。」
「とーちゃん、何でここにいるんだ!」
「そりゃあ、娘が縄張りの試練を失敗したとわかれば親として放っておくわけにはいかないだろう。」
ラオさんはミュウの頭を撫でながら優しい目でミュウを見ていた。
ミュウは父親の所作が嬉しいような恥ずかしいような複雑な顔をしてラオさんに聞いた。
「でも、縄張りの試練を失敗したクーマオ族は、一族の恥だからクーマオ族として生きていく資格は無いと我は聞いていたぞ。」
「お前、そんなこと誰に聞いたんだ?」
「近所のラー兄だよ。」
「彼奴か、変なことを吹き込みおって!縄張りの試練を失敗したら一族の恥と言われていたのは大昔の話だ。我の先々代の頃から縄張りの試練に失敗しても生きていたなら、もう一度やり直してもいいし、後進に譲っても良いことになっている。恥でも何でもない!そもそも縄張りの試練を受けられるということは一族の中でも優れた力を持っていることなんだから、誇ってもいいことだ。ラーの奴は自分より先にミュウが試練を受けることになったので妬んだのだろうな。しょうがない奴だ。」
ミュウは一瞬「え?」という表情をしたが、直ぐに清々しい笑顔になって言った。
「なんだ、そうだったのか! まあ、いっか、我はゼントと一緒になれたから。」
「そうか、ミュウはクーマオ族の村に戻る気は無いのだな?」
「うん、我は旦那と一緒に行く。」
ラオさんは少し考え込むとゆっくりと話し出した。
「そうか、分かった。お前が選んだ道だ、好きにするがいい。」
「ありがとう、とーちゃん!」
ミュウは笑顔でラオさんに抱き着いていった。
「ところで、貴方が旦那のゼント君か、先程のスーとの戦いぶりかだだとかなりの力を持っているようだな。」
「ああ、ゼントは強いよ!我も負けたし、一人でピラニアドラゴン倒しちゃうぐらいだからな!」
ミュウは何故か自分事の様に得意満面でいる。
「そうか、それならゼント君、我と決闘してくれんか?」
「「「「「「へっ?」」」」」」「キャッ?」
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クーマオ族は何でこんなに決闘が好きなんだろう?
決闘する理由をラオさんに聞いてみたところ、娘の旦那になる男の力を見ておけば安心できるからとのこと。
そう言う分けで俺は今ラオさんと相対している。
「ばあちゃん、ラオさん相手にスキルなしはきついぞ!」
「泣き言をいうな、ほれ頑張ってこい!死にそうなってもヴェルスさんが直してくれるらしからな!」
「いや、でも怪我は痛いし・・・。」
「いゃあすまんゼント君、我の我儘に付き合ってくれて。」
ラオさんの物言いは穏やかなのだが、凄い威圧感だ、相対するだけでラオさんの実力がひしひしと伝わってくる・・・・強い!
「えーそれではラオさんとゼントさんの模擬戦を行います。審判は私が務めます。」
ヴェルスがスーと俺の前に歩いてきて模擬戦について説明を始めようとすると。
「模擬戦の説明は、失礼ながら先程、盗み聞きしていていましたから大丈夫ですよ。直ぐに始めましょう。」
「そうですか、大怪我しても完全に息を引き取っていなければ私がエクストラヒールで直しますので、安心して思う存分戦ってくださいね。」
うん、その笑顔、怖い・・・。
「それでは構えてください。」
「始め!」
ヴェルスが両手を頭の上で交差させて試合が開始したが、お互い睨み合ったまま動けないでいた。
(スーの奴、よくこんな男にラッシュをかけていたな 。本当に怖いもの知らずだ。)
やっぱり凄い威圧感だ・・・・うん、このままだと埒が開かない。胸を借りるつもりで一丁いくか?
俺はラオさんとの間合いを詰めて木刀で横薙ぎに切りかかっていった。
ガン!
鈍い音と共に俺の木刀の動きが止められた。木刀を持つ手には反動で凄い衝撃が伝わってきた。
なんと、ラオさんは右の拳で木刀を受け止めていた!
驚きで一瞬動きが止まった俺に向かって物凄い勢いで左の拳が繰り出されてきた。
拳が当たる寸前で辛うじて躱すことが出来たが、拳の風圧で体勢を崩しかけたので一旦飛び退いて体勢を立て直そうとするとラオさんは俺との間合いを詰めて右の回し蹴りを仕掛けてきた。
「くっ!」
俺は無意識に木刀を繰り出し蹴りを止めようとしたが、猛烈な勢いでけりだされたため木刀では制止できず木刀と共に後ろに吹っ飛ばされた。
俺は片膝を付いて着地すると直ぐに横っ飛びで着地点を離れた。
ドゴン!
凄まじい音がして地面が凹み砂塵が舞った。
ラオさんが俺を狙った拳が空振りして地面を貫いたのだ。
俺はチャンスとばかりに大上段から木刀で切りかかった。
斬!
俺の木刀は躱され、斬撃の跡が地面に一直線に伸びていった。
つ・・・上か!
木刀を避けて飛び跳ねたラオさんが、真上から両手を合わせた拳を振り下ろしてきた。
俺は拳を避けるのではなく、木刀をラオさんの横っ腹に切り付けラオさんの拳の軌道を変えたのだ!
バコガコ——ン!
ラオさんの拳は空振りしたが、斬撃が地面に大穴を空けた!
「うむ、良い判断だ。」
ラオさんは木刀の打撃を横っ腹に受けているが全く効いていない!
「あの打撃を受けて平気でいられるとはすごいですね。」
「これは楽しめそうだ。」
ラオさんはそう言うとにやりと笑って再び拳を繰り出してきた。




