みーつけた!
ゼント達は通路からの死体のあった部屋までは危険は無いと判断し、一旦ウイリアム達に報告するため遺跡の入口に戻ってきていた。
「あれ、入口の上に屋根があるぞ。」
ゼントが入口の所の階段の下から見上げると空が見えずに茶色い天井が見えていた。
「よう、お疲れさん。どうだった?」
階段を上がるとウイリアムがゼント達に声をかけてきた。
「遺跡内に古い死体が8体ありましたが、とりあえずの脅威はなさそうです。ところで、この砂で出来たドームはどうしたんですか?」
遺跡の入口には茶色のドームが覆いかぶさるようになっており、そこから外に向かっていると思われる茶色いアーチ状の通路が出来ていたのだ。
「ああ、これはヴェルスさんが作ったんだ。」
「いや、スキルオフフィールド内では土魔法が使えないのでは?」
「ああ、だからフィールドの外で物理的にくっつけた後、フィールドの外から押し入れたんだ。」
「なーるほど!」
「皆向こうで待っているから、そちらで詳しいことを教えてくれ。」
ゼント達がアーチ状の通路で歩いていくともう一つのドームがあり、そこで皆が土で出来た椅子に座っていた。
「ゼントさん、おかえりなさい。」
ヴェルスが真っ先にゼントに駆け寄ってくると、リーナは駆け寄るタイミングを逸してしまっていた。
「ゼント、中はどんなになっていた?」
ミュウが興味津々に聞いてきた。
ゼンとゼントは遺跡の中の死体や金属製のゴーレムの話をし、とりあえず中ではスキルが使えるのと直接の脅威らしきものは無いことを皆に伝えた。
「金属製のゴーレムですか・・・。」
「ヴェルス、何か知っているの?」
「ええ、ゼントさん、確か150年前のアイーラ軍と勇者との戦いで金属製のゴーレムが使われていたと聞いたことがあります。」
「それってイエローデザートでの戦闘ってことだよね?」
「はい、そうです。」
「その戦闘の時にスクルスが『女神の鉄槌』を使ったって言うのなら、この地下の人達が生き埋めになったのはその時か!」
「やはり、そう言うことじゃな。」
「ばあちゃん、気づいていたんだ。」
「ああ、余りに安直な結論なので黙っておったのじゃ。」
「その戦いで使用されたということは、そのゴーレムは勇者を圧倒出来る兵器ということだな。」
「ウイリアム、そう言うことじゃ。」
「俺達はとんでもない物を見つけてしまったようだな。とりあえずはこの目で確かめたいのでカール教授と一緒にもう一度潜入するぞ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今度はリーナ、ヴェルス、カペラ、シルビアが地上に残り、他の者が遺跡の調査に向かった。
「これがゴーレムか!!」
「まさかこんなにあるとは。この世界の勢力図を一変させてしまいますぞ!」
「それに150年前にアイーラから遺跡発掘の報告など受けた記録は無いので、アイーラは王家に黙っていたとしか考えられません。これは由々しき問題ですな!」
普段は何事にものほほんとしてカール教授がこの時ばかりは憤っていた。
「ちなみにここのドアからゴーレムの所に行けますよ。」
ゼントが計器盤の横のドアを開けると、そこにゴーレムの格納庫への通路があった。
通路に壁は無く、左右に手すりがついているだけで格納庫にむき出し状態の通路である。
「ここはゴーレムのメンテナンス用の通路か?」
「その目的もあるようですけどパイロットの搭乗用も兼ねているみたいです。」
「パイロットって何だ?」
「ゴーレムの中に入って操る人ですよ。まあ、行って見た方が分かりやすいでしょう。」
ゼントを先頭にゴーレム用の通路にウイリアム達が入って行った。
通路を歩いていくと途中から遺跡の穴の方に分岐した通路が二つあったが、その先には何も無く、三つ目の分岐がゴーレムの背中に繋がっていた。
「このボタンを押すとほら、ハッチが開くんですよ。」
ゼントが妙に楽しそうにゴーレムの説明をしていた。
そう、ゼントは以前のガ〇ダム等のアニメに夢中になっている時期があったのだ、ファンタジーの世界と思っていた異世界で、まさか巨大ロボットに出会えるなど思っていなかったで、少々舞い上がった状態なのだ。
ゼントはハッチからゴーレムの中に入って説明を続けた。
「ここから中に入って正面にあるラウンドしたモニターで外を見るみたいなんですよ。」
「この椅子のひじ掛けの部分に付いている半球形の物がこのゴーレムを動かすコントローラで、コネクトが言うにはこれに魔力を込めると動き出すらしいんですよ。」
キィ———ン
ゼントがコントローラに手をかけた瞬間、何かが稼働する音が聞こえ、それに続いて機械的な音声が聞こえてきた。
『コントロールシステムノ初期化ガ完了シマシタ。駆動系ニ魔素ヲ重点シマス。』
「えっ?コネクト何か言った?」
『違イマス!アレハゴーレムノコントロールAIノ起動メッセージデス。』
「何?」
『モニターヲ稼働シマス。』
ゼントの目の前がまるで透けているかのように遺跡の中の景色を映し出した。
「おー凄い!」
『後部ハッチヲ閉ジテクダサイ。コノママデハ発進デキマセン。」
「こいつ動くのか!」
「ゼント、直ぐにこいつを止めるんじゃ!」
「なんで?」
「こいつが起動している時の魔力の波動は異質じゃ!スクルスに気が付かれるやもしれん!」
「分かった、コネクト、どうやれば止まる。」
『私ト同ジ音声認識ガ可能ト考エマス。『停止シロ』ト行ッテミテクダサイ。』
「停止しろ!」
「了解シマシタ。システムヲシヤットダウンシマス。」
「リーナらが心配じゃ、一旦戻るぞ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ヴェルスさん、氷魔法が使えるなんていいですね~!」
シルビアが巨大な氷の塊のに近づき涼んでいた。
日が高くなり気温がかなり上昇してきたので、砂のドームの中に居ても暑いのでヴェルスが氷魔法で氷塊を作ったのだ。
「ゼントさんが準備しておいてくれた『ジュース』を飲みませんか?」
ヴェルスが魔法瓶の様な形をした物とコップを皆の前に持ってきた。
「『ジュース』って何ですか?」
リーナが興味深々にヴェルスに聞いてきた。
「果物の汁を絞った飲み物ですよ。これはみかんとレモンと『サンガの実』の果汁をブレンドした物です。」
「「「サンガの実!!!」」」
「え?お嫌いですか?」
「「「いえ、それは幻の果実です!!」」」
「まあ、気になさらないで皆で飲みましょう。」
ヴェルスは氷魔法で冷やしたジュースを皆に配り終わると、何処からともなくその声が聞こえてきた。
『・・・・・・・みぃーつけた!』
その声はとても美しい声であったが、皆の背筋が凍り付かせるような冷たさを持っていた。




