遺跡潜入
翌日、ゼント達が遺跡の所まで来てみると遺跡の穴は半分くらい砂で埋まりかけていた。
よく見ると遺跡の穴のシールドの上には砂だけではなく石や砂利等も載っており、ファイアランスが作った巨大な穴の反対側にはかなりの量の土砂が吹き飛ばされたようになっていた。この遺跡は砂に埋もれていたのではなく土砂に埋まっていたようだ。
「リーナさん、これを羽織っておいて。」
ゼントはヴェノのジャケットをリーナに渡した。
「これは?」
リーナが少し嬉しそうにゼントに問いかけた。
「俺がスキルオフフィールドに入るとリンクが切れる可能性があるのでヴェノにコネクトの機能の一部をコピーしたんだ。それを羽織っておけば問題なく魔力をコントロールできるんだ。」
「分かったわ、ありがとう!」
「じゃあ行ってくるよ。」
ゼントはそう言うとウイリアム達と共に遺跡への入口を探し始めた。
スキャン出来る範囲には入口が無いので、スキルオフフィールドの中を探すと直ぐにそれらしき扉が見つかった。真っ赤に錆びた鉄の扉がアーシオ遺跡の様に地面に直に取りつけられており、半分程地面に埋まっていた。
「この扉はおそらく本来の遺跡の扉ではないぞ。」
ウイリアムは怪訝そうにその扉を見て言いきった。
「古代遺跡の金属は何で出来ているか分からないが、全く錆びていないんだ。」
「そうですな、私が調査した遺跡も全てこの様に錆びたものはありませんでした。私達が後から取り付けた扉を除いてですがね。」
カール教授も同意見だった。
「それじゃあ誰かが既に調査してるって言うんですか?」
「おそらくそういうことですな。半分地面に埋まっているからかなり以前の事のようですな。」
カール教授がゼントの問に答えてくれた。
「よし、開けてみるか、まずは地面を掘り起こすぞ。」
ウイリアムがドアに載っている土をどかそうとすると。
「我がやるぞ!」
ミュウが意気揚々と扉の前に立って右手を挙げた。
「ミュウ、スキルは使えないぞ。」
「我の力は身体能力だからスキルは関係ないぞ。」
ミュウはそう言うと扉の取っ手の部分を掴み力を込めた。
「おい、まて、せめて上の土をどかしてから・・・。」
ウイリアムの言葉を無視してミュウはそのまま取っ手を引っ張り始めた。
「うっ、ぐぐっ。」
ミュウが真っ赤な顔をしながら尚も力を込めていった。
「う、ぐ、ぐぐ、ど、どおおおおおおりゃ———————————!!!」
ミュウの掛け声と共に錆び着いたドアは上に載っている土ごと地面から剝がれて上空に飛んでいった。
「「「「「「「「す、凄い!」」」」」」」」
全員が唖然として扉が消えて行った方向を見ていた。
扉が開くと中から古い地下室などに漂う異臭が漏れ出してきた。
入口から下へは木製の階段があり、下の通路へと繋がっていた。
「まずは儂とゼントで入ってみるぞ。」
「いや、ゼンさんそれなら俺も行く。」
「ウイリアム、指揮官のあんたがいなくなったらまずかろう。儂らが先に入って様子を見てくる。いいな、ゼント!」
「分かった!ブルーも一緒に行くか?」
「キャウ―!」
ブルーはゼントの肩に載り行く気満々である。
「よし、それなら頼むぞ。絶対無理はするなよ。」
「分かっとるわい。ほら、ゼント行くぞ。」
そう言うとゼンはゼントとブルーを連れて中に入って行った。
スキルなしなら、この中でゼンが最強で、次にゼンに死ぬほど鍛えられたゼントなのである。さらに、いざとなれば魔素に頼らないブルーのスキルが使える。
「やっぱ暗いなー。」
遺跡の中は入口付近から漏れた光が当たっている所はそれなりに見えるが奥は全く見えない。幅約4m高さ3m位の通路が奥まで続いているように見える。
「ほれ、ゼントこれを使いな。」
ゼンはゼントに筒状の物を放り投げた。
「ばあちゃん、これってもしかして懐中電灯か?」
「ああ、魔道具の懐中電灯じゃ、これならスキルなしでも使えるぞい。」
「いや、準備いいなー!」
「儂やースキルが使えんから、健康で快適な生活のためにこういう魔道具を集めとるんじゃ。」
「よっと。」
ゼントがスイッチを入れると懐中電灯が通路を照らし出した。
「おお、明るい! LEDライトみたいだ。」
「よし、奥にいくぞい。」
ゼントとゼンは通路を奥に向かって歩きだした。
通路は遺跡の穴の外周の沿っているようで通路が湾曲している。
「遺跡は生きているみたいだけど、全く人の気配がないな。」
「お前もわかるのか?」
「俺はこっちの世界に来てからソーリの森を彷徨っていたから、生き物の気配に敏感になったんだ。スキルを使わなくてもそれなりに感じることはできるさ。」
「成る程のう、この世界に来ていきなりあの森はしんどかったろうなぁ!」
「いや、ばあちゃんの特訓の方がしんどかったぞ。」
「なんじゃと!」
「おっと、ばあちゃん、あれドアじゃあないか?」
ゼント達の前方に真ん中に縦に一本の線がある壁が立ちはだかっていた。
「これは自動ドアかいな?」
「見た目はそうだけど、近寄っても開かないね。」
「隙間に指先を突っ込んで開けるぞ。儂が下側を引っ張るからゼントは上を引っ張りな。」
「分かった!」
ゼントとゼンは指先を何とかドアの隙間にかけて構えた。
「「いっせーの!」」
ずる————————————!!
「駄目じゃ!びくともせん!」
「いや、さすが古代遺跡だな。ブルー、ソニックアタック使えないか?」
カチャ!
「ん?なんかひじに当たった様な・・・。」
ピカ—————!
「何? キャウ?」
ピカ、ピカ、ピカ、ピカ、ピカ、ピカ、ピカ、ピカ、ピカ、ピカ、
通路の電気がゼント達がいる場所から遠ざかる方に連鎖しながら点灯していった。
「「あーびっくりした! キャーキャウ!」」
「ゼントが急にスイッチを触るから悪いんじゃぞ。」
「キャウ、キャウ!!」
「暗くて見えなかったんだから仕方ないじゃないか。」
「おっと!とっとっとっとっとっとっとっ。」
ゼントがドアに寄りかかったところドアが急に空いてゼントはつんのめる様にドアの内側に駆けこんでいったのだ。
「あーびっくりした。」
「ふむ、ドアの電源も兼ねておった様じゃな・・ってこれは!」
「うげっ!」
ゼントはドアの内側に広がる光景を見て思わず吐き気をもよおしていた。
ドアの内側にミイラ状になった遺体が複数散乱していたのだ。
「こいつあ、何があったんじゃろうな?」
「ナンマンダブ、ナンマンダブ!」
ゼンは両手を合わせて遺体を拝んだ後、着衣などのチェックを始めた。
「ばあちゃん、よく平気でいられるな。」
「まあ、元の世界とこちらの世界で合わせて150年生きていれば、大抵のことでは動じないぞ。」
ゼントは気を取り直して立ち上がり、遺体はおいといて辺りの確認を始めた。
部屋の中には遺跡の穴側に窓がありそこに至るまでの両側に半球形の大小の突起が複数出ている制御盤の様な設置されていた。
「この遺体はアイーラ領の騎士だな。こやつが着ていた鎧にはアイーラの紋章があるぞい。」
「え?騎士だって。騎士だったら領主から国王に連絡が行ってるんじゃないか?こんな遺跡ゴード国内では知られていないんだろう。」
「領主が黙っていたら、国王には連絡は行かんじゃろ。」
「そうか!遺跡の事を黙っていれば遺跡からの発掘物を独り占めできるって事?」
「その通りじゃ。」
「まあ、何処にでも悪い奴はいるんだね。それにしても何でこんなに大勢が死んでしまったんだろうね?」
(今ゼンサンガチェックシテイル遺体ヲスキャンシタ結果、胃ノ部分ニ食物ガ残ッテイル痕跡ガミラレマセン。)
「わっ!コネクト復活したの?」
(ハイ、コノ部屋ニハスキルオフフィールドガ展開サレテイマセンノデ。)
「コネクトが復活したなら儂にも声が聞こえるようにしてくれんか?」
「分かった、ステータスオープン。」
「胃に何も無いということは餓死したのかい?」
『ハイ、ソノ可能性ガ高イとオモワレマス。』
「やはりそうかい。」
「ゼント、遺跡のドアの上に土砂が載っておったのは覚えておるか?」
「ああ覚えているよ・・・・つ、生き埋めになったのか!」
「ほぼ間違いないじゃろうな。」
「・・・・・・・・・・・・」
二人は少しの沈黙の後、再び部屋の中を調べ始めた。
ゼントは近くのテーブルらしきものの上の半球形の物をいじくりまわしていた。
「コネクト、この机の上の半球形の物は何なんだ?」
『コレハコノ設備ヲコントロールスルUIト考エラレマス。
現在機能ハ停止シテイマスガ、魔力ヲ付与スルコトデコントロールデキル物トオモワレマス。」
「そうか、電気は点いてもこちらは死んでるのか。」
ゼントは残念そうな面持ちで計器盤から離れて遺跡の穴の方にある窓の方に近づき窓から外を覗いていみた。
「ばあちゃん!こっち来て!窓の外に凄い物があるぞ!!」
「何じゃい。」
「!!!・・・・・これは、魔物かいな?」
「いや、どう見ても金属で出来てるぞ。」
ゼント達が見ている窓からは遺跡の穴の内周が一望でき、内周には人型をした物体がびっしりと格納されていた。
この人型の外観は金属光沢があり、見た目は人型ではあるが目は一つしかなく、腕は身長に対してかなり長い。
「じゃぁゴーレムじゃな?」
「いや、そんなものより、ガ〇ダムとかに近くね?」
『遺跡ノ内周ニ格納サレテイル人型ヲシタ物体ノ表面ハオリハルコンデ出来テオリ、身長ハ23m胴体内部ニハ人ガ搭乗デキル空間ガアリマス。』
「やっぱりガ〇ダムだなー。それにしても、この数は凄いなぁ。」
「これが古代遺跡の遺物で、仮に今でも動くとなると・・・えらいことになるぞい。」




