リジェネレーションⅡ
リーナの相手をミュウとゼンが受け持ってくれている間にヴェルスはゼントにエクストラヒールをかけていた。
「ゼントさん、ゼントさん!」
「ん、—————ん? ヴェルス!」
ゼントは直ぐに現在の状況を思い出して飛び起きた。
「ヴェルスありがとう。リーナさんは!」
「ミュウさんとゼンさんの攻撃で今は動きを止めています。」
リーナはまるで祈るかのような姿勢でじっとしていた。
腹部からは血が出ているようだが、致命傷とは思えない・・・。
「きっとリーナさんはコントローラの命令と戦っているんだ!」
「え?でも・・・そんなこと。」
「リーナさんは心の無い魔物じゃない。コントローラに贖うだけの意志を持っている。」
「このチャンスを逃すわけにはいかない、接近してコントローラを破壊する!」
「無理です!接近すればまた魔力攻撃を直接受けてしまいます。」
「あのピンポイントを破壊するには接近するしかない。」
「でも木刀では歯が立ちません!もう無茶はやめてください!」
「俺に考えがある、ブルー、力を貸してくれ!」
「キャウ——————!」
ブルーが舞い降りてきてゼントの肩にとまった。
ヴェルスはそれを見て意を決したようにゼントを見て言った。
「私も一緒に行きます!止めても絶対に行きます!」
ゼントはヴェルスを止めようと思ったが、ヴェルスの強い意志を尊重した。
こんな俺のために・・・。
「わ、分かった、いざという時は絶対シールドを展開してくれ。」
「はい!」
ゼントとヴェルスはムーブでリーナの背後に移動し、ゼントは木刀を上段に構え、ヴェルスはいつでも絶対シールドを展開できる体制を整えた。
「アイスニードル!」
ゼントは特大のアイスランスを木刀の切っ先に出現させた。
特大のアイスアランスは見る見る細くなり、以前ゼントが放ったアイスニードルよりもさらに細く、最後には正に針のような細さになっていた。
この攻撃はミリ単位の精度が必要だ、外すことはできない。
「ブルー、頼むぞ。」
「キャウ―!」
「いけ———————!」
ゼントの掛け声と共に氷の針は一瞬で姿を消した。
コツ—————ン!
攻撃としては迫力も何も感じない全くあっけない音が聞こえた。
針のようなアイスニードルはリーナのうなじのコントローラと変異魔石を破壊し首へと貫通してリーナの首を串刺しにするような形地面に突き刺さった。
リーナは一瞬目を見開いたが、一筋の涙をこぼして砂の大地にうつぶせで倒れていった。
アイスニードルは砂漠暑さに一瞬で溶けてしまった。
ゼントは倒れたリーナに瞬歩で駆け寄り大急ぎでエクストラヒールを使った。
腹部にできた傷とうなじから首元に貫通した針のような小さな傷が見る見る治っていく。
一瞬、止まっていたリーナの息が吹き返した・・・。
「良かった、もう少し遅かったら駄目だったかもしれない・・・。」
首元の傷は致命傷だったが、ゼントの対処が早かったためリーナを救うことが出来たのだ。
(コネクト、『魔素を操る者』と『組織再生スキル』を起動してくれ!)
(了解!)
ゼントはリーナを抱き起すとリーナを抱いた手の辺りから光る靄が出始めた。
「これはもしかしたら魔素か?」
気が付くとゼンとミュウがゼント達の傍まで来ていた。
「ああ、リーナさんから変異魔素を抜いている。」
「以前、我を助けてくれた技だな。」
「ああ、そうだ。」
リーナから光る霞が出なくなると、コネクトはリーナとのリンクを回復させて『組織再生スキル』をリーナにシェアした。すると体の色が青から肌色に変わると浮き出ていた肉塊の様なものがすべて消えて行く、さらに角が抜け落ち、最後には黒い羽がバサっという音をたてて全て抜け落ち風に飛ばされていった・・・・。
ゼントは亜空間に手を突っ込みシーツを取り出すとリーナにかけてあげた。
「ん・・・・・あ、ゼントさん・・・。」
「リーナさん、大丈夫?」
「え、あ、私は死んだはずじゃあ・・・・。」
「はっ、イャ—————————!、見ないで————!!」
リーナはそう言うとシーツを羽織るようにして丸くなりブルブル震えだした。
ゼントはリーナの肩にそっと手をかけて優しく話しかけた。
「リーナさん、見てごらん、全て元通りだ。悪夢は終わったんだ。」
「えっ?」
リーナは自分の両手を見つめ、それから全身をさするように確かめた。
「良かった、本当に元に戻ったのね?私はもう魔物じゃないんだ!!」
「うっうぅぅぅうぁ—————————ん!」
リーナは子供の様に鳴き声をあげながらゼントに抱き着いていった。
「ほ、本当に元通りなのね?」
「ああ、本当だ。」
ゼントはリーナを優しく抱きしめてやった。
炎天下の砂漠の中、ゼントらを目指してウイリアム、カール教授、シルビアとカペラが歩いてきていた。




