再会
「コネクト、一帯をスキャンしてくれ!」
俺はリーナさんが消えたことに焦っていた。
(スキャン可能範囲ニハ、リーナサンハ感知デキマセン。)
「くっ、それなら、エクストラ・エリアスキャン!」
俺はとっておきのスキルを試してみた。このスキルは広範囲を詳細にスキャンできるのだ。
俺を中心に風景が全て透けていく、壁が透け、柱だけになり、何処に何があり、誰がいるのか手に取るようにわかる。
「ゼントさん、そのスキルは魔力を使いすぎます。焦らないで、余り無理をしないでください!」
「でも、このままじゃあ!」
「焦ってはこの前の二の舞になってしまいます。落ち着いてください。」
(エクストラスキャンデリーナサンガ検知デキマシタ。)
「よし!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「え、お嬢さんよ、白馬の騎士は遅いねぇ~。」
アスコナは小ばかにするような笑みを浮かべながらリーナに迫っていった。
アスコナがリーナに手を伸ばしたその時、一瞬空間が歪みの中からゼントが現れ、アスコナの手首を掴んで叫んだ。
「リーナさんに何をする気だ!」
「ゼントさん!」
突然現れたゼントにリーナは、驚きと嬉しさから涙を流しそうになっていた。
「何をしようと俺の勝手だろ!」
「それなら・・・・つ。スキルが発動しない! まさかスキルオフフィールド。」
「そのとおり、それにしてももう見つけるとは思っていなかったね。」
部屋の隅の椅子に腰かけていた少女がゼントをあざけるように笑いながら見ていた。
「君は?」
「名乗るほどの者じゃあないさ。しかしあんたもバカだね、同じ手に引っかかるなんて。まあ、今回は転移を検知すると自動で発動するようにしておいたけどね、あはは!」
「アスコナさん達、思う存分叩きのめしてやってよね。」
「お前はスキルが無ければ半人前の剣士だよな、Sランクの剣を教えてやるよ!」
スキルオフフィールドの中にはアスコナを含め4名の屈強な剣士がいた。
「リーナさん、これを羽織って!」
俺は着ていたジャケットをリーナさんの肩にかけた。
「おら、よそ見してんじゃねえよ!」
左側から切りかかって来た男の刃を躱し脇腹に木刀を叩き込んだやった。
「「「「なっ!」」」
間髪を入れず木刀の刃の向きをを切り替え、左側にたもう一人の男に切りかかる。
男は慌てて剣を繰り出して出してきたが、
「遅い!」
俺は男の繰り出してきた剣を弾き、そのまま木刀で男を弾き飛ばした。
「ぐ、ぐぎゃー。」
俺が左側の男を倒している隙に右側の男がリーナさんの首を左手で押えてリーナさんに剣を突きつけて叫んだ。
「おとなしくしないとこの女の命はないぞ!」
余りにも典型的な悪役のセリフに一瞬呆れてこけそうになったが持ち直して俺は叫んだ!
「ヴェノ頼むぞ!」
バゴン!
轟音と共に男は吹き飛ばされ背後の絶対シールドに叩きつけられた。ジャケットの一部がげんこつのように飛び出しリーナを押さえつけていた男を吹き飛ばしたのだ!
男は悲鳴を上げる間もなく意識を失った。
「なんだ、今のは! おまえ、汚ねえぞ!」
「人質を取るような奴に言われたくないわ!」
俺はアスコナとの間合いを一瞬で詰めて横薙ぎに木刀を振るった。
アスコナは木刀を後ろに避けた躱したが、2撃目の突きを避けることが出来ず後ろに吹っ飛んでいった。
アスコナは呻き声をあげながら崩れ落ちた。
「ほう、凄い腕を上げたじゃあないか?」
「なんだ、お前は!なぜ俺が以前にスキルオフフィールドに引っかかったことを知っているんだ!」
「まあ、それは乙女の秘密ということで。どっちにしろあんたはそこから出られないんだから。」
「そうかな?」
俺は絶対シールドの境界まで行き居合抜きの形で木刀を構えた。
「絶対シールドは魔素を高密度で空間に固定する魔法だ、魔素の結合を壊す衝撃を与えれば破壊することは可能だ。」
「だからって、あんたにあの青烏の様な事はできゃしないだろう!」
「そうか、やっぱり君はスクルスか。」
そう言い終わらないうちに俺は高速で木刀を繰り出した。
パキ————————ン!
絶対シールドは透明なガラス板が割れるかのように砕けて消えて行った。
「な、化け物か?」
スクルスは目を丸くしてゼントを凝視した。
「お前に言われたくないわ! 何で若返ってるんだ!右手も生えているし!」
「それは乙女の秘密だよ・・・・え、何?体が動かない・・・・。」
「スクルス、久しぶりですね。」
ヴェルスがムーブで転移してきた。
俺は一人で来たふりをして奴らの気を引いていたのだ。
俺が絶対シールドを破壊した後に敵を捕まえる手はずなっていた。
「ふん、ヴェルスかい!」
「その昔のままの姿・・・一体どうしたのですか?」
「乙女の秘密って言っただろう、あんたも聞いてたんじゃないのか?」
フリーズフレームで拘束されているにも拘わらず。余裕な笑みを浮かべて相変わらずふてぶてしい態度を取っている。
「あんた達、これで私を捕らえられたと思ってるんじゃあないよね?」
スクルスの魔力が急激に高まったと思うとすたすたと歩きだした。
「どう?フリーズフレームは魔素を捕獲対象の表面に魔力で結合させて拘束する技なんだから、その魔力を上回る魔力で拘束を解けばいいんだろ?ねえ、ゼントさん?」
「わ、私の魔力を上回るなんて・・・。」
ヴェルスは顔から血の気が引いて体を小刻みに震わせていた。
(告:スクルスカラ変異E魔素ノ魔力ガ検出サレテマス。)
「変異E魔素か?」
「ご名答! 花丸あげるわ。ほら、ここよ!」
スクルスが自分の額を指さすと、額の真ん中付近が縦に割れてそこから赤紫色の光が漏れ出した。
「なんてことを・・・・・。」
ヴェルスはその様子を見て声に詰まってしまった。
「どう、お姉さまぁー? 昔の妹の姿を見られるなんて、嬉しくて声も出なくなったのかしら?」
スクルスは不敵な笑みをうかべたままヴェルスに近寄って行ったたそ瞬間、何かが部屋の中に飛び込んでき一瞬でスクルスを吹き飛ばしたのだ。
スクルスは部屋の反対側まで吹き飛び反動で床に倒れこみ、顔面を強打していた。
「お待たせ―!」
スクルスを吹き飛ばしたのはミュウで、右手でガッツポーズを決めていた。
「つ・・・・猫娘まで来たのかい。」
スクルスは鼻血を拭いながら起き上がってきた。
「何ー!我の拳を受けて起き上がってくるのか?」
「流石にお前ら3人を相手にするのは気が向かないねぇ。じゃあまたね、ねぇーさん!」
そう言うとスクルスは転移装置の輝きと共に消えて行った。




