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アンダーグラウンド

「湖に巨大な魔素の動きと発光現象があります。凄い速さでこちらに近づいてきています!」


 ヴェルスが悲鳴に近い声を上げた。


「全員直ぐに魔動車に乗って!ウイリアムさん直ぐに全速で発進してください!」


「分かった!!」


「キャウ―!」


 最後にブルーが魔動車に滑り込むと即座に魔動車は発進した。


 この速度だと追いつかれるな!


 石のゴーレムを積んでいるためか魔動車の速度は思ったほど早くない。ミュウの全力疾走よりかなり遅い・・・。


「そうだ、魔石を!」


 俺は亜空間倉庫から手持ちのデカい魔石を数個取り出した。


「どうするつもりだ!」


 ウイリアムさんの問いに俺は答えた。


「これを辺りにばらまいてデコイにするんだ。」


 俺はムーブで魔石を湖の周囲にばらまいた。

 これでもこちらは動いているから誤魔化すのは難しい。


 後ろを見ると奴の巨大な姿が見え始めた。

 ピリピリするほどの魔力を感じるぞ。


 やっぱりピラニアドラゴンだ!しかも以前戦った奴よりデカいぞ。


(告:アレハ『ピラニアドラゴンキング』SSS級ノ魔物デス。)


 ん?SSS=スーパー・スポーツ・セダン、いや冗談言ってる場合じゃない!


 無理! 勝ち目はない!


 さあ、何とするか・・・・・・・・・・・・・・・・


 よし、一か八かだ!


「ヴェルス!土魔法で車の前方に車が通れるサイズの穴を掘れないか?」


「どうするんですか!?」


「逃げ込むんだ! 車が入ったらそのまま掘り進んでくれ!」


「わ、分かりました!」


「ウイリアムさん、ヴェルスが穴を掘るので魔動車ごと逃げ込んでください!」

 

「よし、分かった。」


 ドガ! ゴガガガガガガガガガガガ————


 前方の地面に穴が開き吸い込まれるに魔動車は入っていった。


 魔動車が入ると直ぐに俺が土魔法で入口を塞いだ。


「ギヤ————!」


 前席にいるカール教授が悲鳴を上げている。

 まあ、壁に突っ込んでいくような間隔だから仕方ないか。


「いや、これは面白いのう!」


 ばあちゃん・・・・。


「よし、車を止めて!ヴェルスも土魔法を止めて、隠ぺい魔法を使って。」


「あ、はい!」


 ズシン!!


 車を止めると同時ぐらいに物凄い振動が伝わってきた。


「奴が上陸したんだ。」


 全員が硬直したように息を潜めた。


  ズシン、 ズシン、  ズシン   ズシン     ズシン


 連続して伝わってくる振動はこちらに近づくというよりは遠ざかっている感じがする。


 よし、デコイに引っかかってくれた。


  ズシン、     ズシン、   ズシン、 ズシン、ズシン


 暫らくすると音と振動が大きくなってきた。


 近づいて来ている・・・地面の中なのに凄い魔力を感じる!


 車の中は真っ暗なため各々の表情は分からないが、皆息を殺して緊張しているのを感じる。


 ズシン!!


 一際大きな音がしたと思ったら、ピタッと止まった。


 やべ、見つかったか! 


 物凄く静かなのだが、強大な魔力で肌がピリピリする。


 ズシン、 ズシン、  ズシン   ズシン     ズシン


 良かった、遠ざかっていく。


「「「「「「「はあ———————。」」」」」」」


 思わずため息をハモってしまった。


 暫らく彷徨い歩くような音が聞こえたと思うとまたピタッと止まった。


 その瞬間、奴の魔力が爆発的に高くなった。

 

 来る、ブルーブレスだ!


 ドゴアァァァァァァァァァァァァァァァァァ——————————!


 すさまじい轟音が聞こえてくる。


 ドゴアァァァァァァァァァァァァァァァァァ——————————!


 轟音は止まることなく響き続けている。


 一体どれだけ長く吐き続けるんだ!SSランクのピラニアドラゴンでは数秒だったぞ!


 ドゴアァァァァァァァァァァァァァァァァァ——————————————!


 音が一段と大きくなってきた。


 奴は周りにあるもの全てを焼き尽くす気で全周に吹きまくってるんだ!


 俺達は全員手で耳を塞いで息を潜めた。


 ここは地下およそ50mはある。めったなことは無いと思うが・・・・。


 ドゴアァァァァァァァァァァァァァァァァァ———————————————!


 最大級の音が頭上で鳴り響いている。


 ドゴアァァァァァァァァァァァァァァァァァ—————————————!


 ドゴアァァァァァァァァァァァァァァァァァ—————!


 はぁーっ、音が遠ざかっていった。何とか持ったようだ。

 暫らくすると轟音は止まり奴の魔力が弱くなっていくのを感じる。


 奴の魔力が完全消えた頃に、車内が妙に暑くなってきた。地表を焼き尽くした熱量が地下に伝わってきたのだ。


 誤算だ!ここまでの熱量があるとは思はなかった。


「ゼント——かなり暑いぞ!」


「そうですね、この暑さは堪えます。」


「そうだな、この暑さは魔動車も耐えられるかわからない。」


「そろそろ地表に出ませんか?」


「この真上はおそらく灼熱地獄だからかなり遠くに移動しないとやばいな。」


「ヴェルス、二人でムーブを使ったらどれくらいの距離を移動できるかな?」


「ええ、二人の魔法を合わせれば通常の倍くらいは何とかなると思います。」


「約4kmか、それなら大丈夫かも。やってみよう、もしだめでも絶対シールドで保護すれば何とかなるだろう。」


 俺達は魔動車ごと4km程離れた地表にムーブで転移した。


 辺りは焼け焦げた様子はなく普通の荒野だった。


「この辺りまではブルーブレスは届いていないようですね。」


 リーナさんがそう言った瞬間、俺達は『にやり』とでも言っているような強大な魔力を後ろに感じたのだ。

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